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【カイハク】死が二人を分かつまで

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「魔物の召還には、細心の注意を払わなければいけませんからね。僅かな手違いが、文字通り命取りになってしまいますから」

カイトの言葉に、ハクは頷く。

「マ・・・・・・サファイア様は、いつも念には念を入れて、手順を確認されていたのですけれど」
「お気の毒なことです。ハクさんは、儀式に立ち会ったことがおありですか?」
「い、いえ、私は。邪魔になってしまいますし、それに・・・・・・あの・・・・・・少し怖いです」
「魔物が、ですか?」
「・・・・・・はい。実際に見たことはないのですが、本に書いてあるような、恐ろしい姿をしているのでしょう?」

人とは違う世界、「魔界」に住む異形の化け物。
魔道士達が儀式で召還し、取り引きする相手。
得体の知れない、恐ろしい生き物。

それが、ハクの認識だった。
だから、

「僕、魔物に作られたんですよ」

カイトの言葉に、ぎょっとして立ちすくむ。

「えっ、あのっ」
「冗談です」

にこにこと笑う相手に、一気に力が抜けた。

「もう・・・・・・!驚かせないでください」
「ふふっ、でも、ハクさんを好きなのは本当です」

さらりと言われ、ハクは一瞬で真っ赤になる。

「えっ、あっ、あのっ・・・・・・」


じょ、冗談で言ってるのよね。きっと。
本気じゃない・・・・・・本気じゃない。


それでも、微笑みながらこちらを見つめるカイトに、もしかしたらという思いもあった。
先日のプロポーズも、もしかして、と考え、慌てて心の中で打ち消す。


・・・・・・この人は、何処まで本気なんだろう。


「ハクさん、明日は何か用事がありますか?」
「えっ、い、いえ、何も」
「では、僕とデーとして下さい」
「ひゃ!?えっ、でっ、あのっ」
「嫌なら断って下さい。女性に無理強いする趣味はありませんから」
「あ、あのっ、私っ」
「一度や二度断られたくらいでは、諦めませんけど」

そう言って笑うカイトに、ハクは耳まで朱に染めて、

「い・・・・・・嫌じゃない、です、よ」

それだけ言うのが精一杯だった。