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こらぼでほすと 拾得物5

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 お開きになったのは、もう明け方近い時間だ。それぞれに、手配したハイヤーや自家用車、徒歩、バイクなんかで、自宅に戻る。

 キラとアスランも、ハイヤーに乗り込んだ。午後からとはいえ、すでに、眠気が押し寄せる時間だ。

「ラクスが、久しぶりに楽しそうに笑ってたね。」
「そうだな。」

 ここ数年の歌姫様は、何かしら思うところがあったからか笑顔全開になったことはなかった。CBの決着がつくまで、かなり気遣っていたからだ。全滅させてはならない。だが、手助けは、最小限で、その匙加減は、全てラクスがやっていた。だから、マイスターが無事生還し、組織も存続できた今、ようやく寛いだ気分を味わっているのだろう。

「しばらくは、きっと平和だ。・・・・・刹那たちが次世代の教育をする頃まで平和だといいな。」

 三つ巴の状態から、ひとつに纏まろうとしている世界は、しばらくは、戦争は減るだろう。纏まったら纏まったで、またぞろ、戦いは始まるのだろうけど、それでも、少しの時間でも平和であればいいと思う。

「十年か・・・・それぐらいは、どうにかなるかな。」

 アスランも同じことを考えている。ただ、実際問題として小競り合いは続くだろうし、それに組織は武力介入をするだろう。できれば、それも乗り切って欲しいと願っている。平和は蜃気楼のようなもので、目の前に現れて、すぐに消えてしまう儚いものだ。

「僕らだって解り合うのに、時間がかかったもんね。・・・・・ところで、アスラン? 僕のプレゼントは? 君だけ、何もくれなかったよ? 」

 いつもは日付けが変わったら、一番にお祝いの言葉をくれて、一番にプレゼントをくれるアスランだが、今回は勝手が違った。あのスタッフの前で、花束を渡して延々と説明するなんて、どんな羞恥プレイだよ? なんてことはやりたくなかった。

「花束は、用意しているよ、キラ。」
「今年のコンセプトは? 」
「それは見てのお楽しみだな。」
「今日は疲れちゃったから、軽いのでお願いします。」
「軽いの? どこらへんまでが軽いの、なの? キラ。」
「一回じっくり濃厚に、または、三回スピード重視のどちらかで。」
「難しいリクエストだな、それ。」
「うーん、たぶん、僕、それぐらいでダウンすると思うんだよね。だから、途中で寝たら、そこまでにして。・・・・あーアスランがやりたいなら続けてもいいけど、僕は起きない自信があるっっ。」
「・・・・・ふーん、起きない自信があるんだ。いいよ、そういうことなら、勝手に愛させてもらうからさ。」

 これで天然に誘っているわけでも煽っているわけでもないのが、キラという生き物だ。そんなことをいったら、アスランが俄然張り切るなんてことは眼中にはない。もちろん、アスランは、火がついている。絶対に寝かせてやらないなんて考えて、帰り道で、それをシュミレートしていたりする。

「明日、いや、もう今日の夕方、ラクスとデートするからね。アスランはお留守番だよ?・・・よろしくね。」
「はいはい。」

 おまえが起きられたらな、なんて内心で付け足して、微笑んでいるアスランは、とっても怖い。だが、肝心のキラは気付かない。恋人にだけ心の狭い男は、楽しそうだ。

「いつまでも、こうやって一緒がいいな。」
「俺も、それは願ってるよ。」

 地位も名誉も、何も欲しいとは思わない。ただ、恋人と幸せに平和に暮らしたいとキラは願っている。できるだけ、それは叶えるつもりをしているアスランとしても、恋人のお願いは絶対だと思っている。キラが願うものは、周囲の人間も平和で穏やかであることも含まれている。だから、ラクスとキラが作った『吉祥富貴』という場所を確保することも必要なことである。

「ティエリアがヴェーダを掌握したから、そういう意味では楽になったさ。刹那だって、度々帰ってくることができるだろうしね。連邦が暴走したら、叩けばいいだけだ。・・・・そういうことでいいかな? お姫様。」
「まあ、そんなとこだね。・・・・・あと、早く、ママを治せるようにダブルオーを作って欲しいな。」
「ラッセさんの検査と経過報告は、着々と届いているから、どうにかなると思う。ダブルオーは、ちょっとかかりそうだけど・・・・四年はかからない。」
「うん、そうだね。」

 自分の周りだけでも、と、キラは願っている。全部は無理だから、できる範囲で平和でいたい。それは、そのキラの手から零れている人間には、傲慢な願いではあるだろう。だが、一人の人間が出来ることなんて、その程度が限界なのだ。それを正しく理解していれば、判る道理だ。

「俺は、キラのそういうとこが可愛くて好きだ。」
「え? そうかな? 僕は、そのおかしなところを愛してるアスランが大好きだけどね。・・・・あ、コンビニに寄って。アイス食べたい。」
「はいはい。」

 これから、ハードな運動をしていただくので、アスランは素直にコンビニでクルマを一時止めさせた。



 それから、一ヶ月近く、刹那たちは、時折、マンションに帰るぐらいで、のんびりと休暇を楽しんでいる。もちろん、バイトもしているし、ラボのほうでMSを使ったトレーニングなんかもやっている。

 それが、ある日を境に、寺へ居候を決め込んだ。それからは、ライルが、どんなに誘っても動く気配がない。

「俺、浮気しちゃおうかなあー。」
「元カレならかまわない。不特定多数は、あまり感心しないぞ。」

 動じない刹那は、ライルの妬かせるつもりの言葉にも、この返事だ。素っ気無いので、腹を立てて、ライルは外出した。元カレは、たぶん、特区にはいないから、一週間かそこいらはかかるはずだ。中東まで、わざわざ遠征して浮気するなんて、マメなことだ、と、刹那は思う。

「・・・・あのさ、刹那くん・・・・」

 それを見ていたニールは、ほとほと困り果てたという様子で、草むしりしている刹那のとなりに座り込む。

「なんだ?」
「こういう場合は、おまえが悪い。」
「あいつの元カレとは話がついているから問題ない。」
「いや、そうじゃなくてさ。てか、どんな話をつけてあるんだよ? おまえさん。」
「浮気には付き合ってやってくれ、と、連絡してある。」

 浮気って・・・・おまえ・・・・と、ニールはがっくりと肩を落とす。男前といえば、そうだが、できたら、浮気しないようにするのが筋だろうと説明する。あまり推奨したくはないが、ライルが焦れるのもわかるから、ついつい口出ししてしまう。

「せっかく時間があるんだからな、いちゃいちゃしてやればいいんだよ。おまえ、今すぐ、ライルに連絡してマンションに帰れ。」
「ダメだ。」
「うちの弟とは遊びだというつもりか? 」
「そうじゃない。あいつは戻ってくるから心配していない。ただ、今は、おまえの傍を離れたくないだけだ。」

 何があろうと、ライルは、なんだかんだで刹那に惚れているので、離れることはない。こちらの時間の都合がつかないだけだから、元カレに相手をしてもらえばいい、なんて刹那は言うわけで、親猫としては、目頭が熱くなる。

・・・・・どっかで間違ってるんだって、それっっ・・・・・・
作品名:こらぼでほすと 拾得物5 作家名:篠義