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こらぼでほすと 拾得物6

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 もちろん、ランニングから戻ってきた刹那とライルが驚いたのは無理もない。一応、刹那は、その再生不能の身体は見知っていたが、こんな小さくなるなんて思っていなかった。時間の問題があったと言われたら、それはそうだろうと納得したが、刹那の嫁は、えええええーーーっと混乱している。

「ライル、落ち着け。」

 大正浪漫風の真っ赤な袴に花柄の着物、さらに臙脂のリボンという可愛い姿の女の子もどきが、兄の膝に座っている時点で、「兄さん、ロリコンだったのか? 」 と、のたまって、ハレルヤに殴られたが、それでも、まだ納得はしていないらしく、頭を抱えている。

「・・・・・えーっと、教えてなかったのか? 刹那。」
「ああ。だが、ティエリア、その身体ではMSへの搭乗ができないぞ。 」

 一応、マイスターなんだから、そういう事情は説明してやれよ、と、ニールが注意すると、刹那は、うん、と、頷いた。

「いま、ばいようしているほうは、もとのかりゃだだ。」
「そうか、なら問題はない。ライル、ティエリアはイノベイドだから、こういう芸当ができるんだ。・・・・・これでいいか? ニール。」

 遅すぎると思うのだが、刹那なりに誠意ある態度であるから叱れない。そのうち、ライルも慣れるんだろうけど、と、思っておくことにした。

「じゃあさ、刹那も、こういうことができるの? 」

 アレルヤの何気ない一言で、ニールが、はあ? と、刹那を見る。どっこも変わっていないと思うのだが、なんかやらかしているらしい。

「わからない。意識体として存在できれば可能だと思うんだが・・・・・・ティエリア、そちらのデータに、そういうものはないのか? 」
「いや、ちょっと待てっっ。刹那が、どうにかなってんのか? 」
「にーる、しぇちゅなはいのべーたあになったにょだ。」
「はあ? 」
「しぇちゅにゃ、そのでぇーたあーは、おりぃのなかにはにゃい。しょたいはよういしておけるじょ? 」
「準備だけしておくか? 」
「しょうだにゃ。」

 刹那とティエリアは、今後の展望として真面目に喋っているが、ついていけないニールは、はい? と、アレルヤを見る。アレルヤが、それについて説明して、どうにか納得はしたものの、なんだか、もう、いろいろと変わりすぎてて疲れてきた。

「つまり、あれか、ナチュラルに人間なのは、うちの弟だけってことか? 」
「その意見も、どうかと思うよ? ニール。ライルも、なんか変化する可能性はあるわけだからさ。」

 朱に交わればなんとやら、で、ライルだってイノベーターになっちゃう可能性もある。なんせ、その唯一の純粋種様と、いろいろやっちゃってる間柄だ。

「くふふふふふ・・・・・夫夫イノベーターか。いいな? それ。刹那、早く、俺も変革して? 」
「おまえより、ニールが先だ。ニール、身体のことは聞いているか? 」
「あーなんか、治る可能性が出てきたって鷹さんから聞いたよ。」

 ただ、それには、刹那とダブルオーライザーがフルセットでないとならないから時間はかかるとも言われている。まあ、これといって日常生活に支障はないので、治ったらいいな、ぐらいにニールも考えていた。とりあえず生きているという約束は果せたから、もうしばらく刹那たちと付き合えればいい、というぐらいの感覚だ。

「新しい機体が仕上がったら、まず、あんたの身体を治す。」
「おう、ありがとう。」
「できれば、あんたもイノベーターに変わってくれたら、俺と脳量子波をリンクさせられるんだが・・・・・努力はする。」
「・・・・・ごめん・・・・俺、ナチュラルな人間のままでいいから・・・・・」

 ナチュラルでいいです、と、ニールは頼んで、ふう、と、ソファに持たれこむ。身体が治るのは有難いが、そこから、さらに進化させていただかなくてもいい。いちいち、刹那と繋がっていたら、ライルとのあんなことやこんなことも筒抜けるということに他ならない。

「しぇちゅにゃ、にーるをどくしぇんしゅりぅことはみとめにゃい。」
「だが、そうすると、連絡が取れなくて心配させることもなくなるんだぞ? ティエリア。」
「しょれにゃら、おまえでにゃく、おりぃがりんくしゅる。」
「ふたりとも、それ、ずるいよ? そういうことなら、僕らもイノベーターにしてもらわないと。きみたちだけのおかんじゃないんだからね。」

 いつものように三人が言い争うのを見ていると、ニールはおかしくなってくる。これができるってことは、全員が生きていて、とても平穏だということだからだ。どっかりとソファに凭れこんで、その光景を笑って眺めている。ニールにとっては至福の時だ。

「兄さん。」

 騒ぎは放置して、ライルがソファの背後から近寄ってきた。

「なんだ? 」
「イノベーターにならなくてもいいけどさ。・・・・・身体は治してもらいなよ。俺、あんま兄さんが寝込んでるの見たくない。」
「まあ、そのうちにな。・・・・ライル、おまえはイノベーターになれよ。そしたら、刹那が、一人で感じてるものを少しは負担してやれるだろ? 」

 たった一人しかいないというのなら、刹那が感じるものは、刹那にしかわからないわけで、ある意味、ジレンマになる。それを理解してくれる相手があれば、少しは気持ちも和らぐだろうと思った。ああ、そうだな、と、ライルは、うんうんと頷いている。

「まいどーヴェステンフルス急便でーすっっ。よおう、子猫ども、無事生還おめでとう。」

 別荘の居間で、きゃあきゃあと騒いでいるマイスター組のところへ、ハイネが顔を出した。三人の魔女いやいやいや美女たちを送って戻ってきたらしい。脇に抱えていた紙袋をアレルヤに差し出す。

「ダコスタからの依頼で、用意した。男の子用の服一式が、何着かある。」

 八戒経由での依頼になっていたが、元はダコスタからのものだ。用意された子供用の服を見て、八戒が用意した。それは、あんまりだろう、ということで。

「ありがとうございます。貰った服が、全部、女の子のもので、どうしようか悩んでたんです。」

 魔女たちが贈りものと称して用意したものは、全てが女の子用だった。可愛いのだが、ティエリアの機嫌はよくないのだ。

「オーナーたちの前では、女の子仕様でいてくれればいいさ。・・・・それから、ニール。おまえの客が明日、軌道エレベーター経由で降りてくる。こちらに案内するから、そのつもりでな。」

 さっき連絡が入ったので、そのことも、ハイネは伝えに来てくれたらしい。降りてくる相手となると、該当者は、一人だ。

「フェルトか? 」
「正解。・・・・スメラギおねーさまが引率してくるんだ。おねーさまは、こっちへフェルトちゃんを送ったら、うちで遊んで移動するつもりらしい。」

 ただなあーとハイネは、ちょっと眉間に皺を寄せている。天気図を見て来たからだ。明後日から、梅雨明けの最後の足掻きに、二、三日は天候が荒れるらしい。

「ラクスが遊んでくれるだろ? おまえらも、フェルトと外へ出て来いよ。俺は三日ほどしたら落ち着くからさ。」
作品名:こらぼでほすと 拾得物6 作家名:篠義