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豊橋まりあ
豊橋まりあ
novelistID. 18949
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再会

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「嘘……」
気がつくとそんな言葉が口からこぼれていた。
思わずほっぺたをつねって見たけど、目の前の光景は何も変わらない。
――夢じゃないんだ。

俺の視線の先には官兵衛殿がいる。

彼は教室の隅で文庫本を読んでいた。本物の病人なんかよりよっぽど不健康そうな顔色に、二色に分かれた髪。遠くからでも分かる、軽く目を伏せたその横顔は俺の記憶にあるものと全く同じだ。あの頃官兵衛殿が読んでいたのは大抵本ではなく仕事の書類だったけど。

戦国の世が終わって400年近く。
どうやら再び人間として生まれ変わったらしい俺は、『竹中半兵衛』としてのすべてを覚えていた。いわゆる前世の記憶、ってやつだ。
どうして記憶が残っているのか――考えたことがないわけではなかったけれど、正解が分かるはずもないし、正直どうでもいいことだった。
俺が思ったのはたった一つ。今度こそ、官兵衛殿と一緒に生きられる。

いつか会えると信じてた。
会えたらいいと思って官兵衛殿が行きそうな学部を受験した。
だけどいざ再会してみると、信じられない、と思ってしまう。何度も夢見た光景だから、今度もまた夢かもしれないと疑ってしまう。ほっぺたの痛みは、そんなことはないと俺に教えてくれたけど。
心が浮き足立って、どうしよう、考えがまとまらない。
官兵衛殿は俺のこと覚えてるかな。今までどんな風に生きてきたのかな。これから二人で何をしよう。

これから。
二人で。
何を。

「うわ」
「あ、すいません」
後ろからぶつかられて、ようやく教室の入り口で立ちすくんでいたことを思い出した。
そうだ、いつまでも呆然としてる場合じゃない。早く官兵衛殿の所に行かなきゃ。

作品名:再会 作家名:豊橋まりあ