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豊橋まりあ
豊橋まりあ
novelistID. 18949
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再会

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「暗証番号なに?」
「教えるわけがないだろう」
「うわ、待って待って」
官兵衛殿が俺から携帯を取り上げた。そのまましまおうとするのをなんとか奪い返し『黒田官兵衛』に関わる数字を思いつくままに打ち込む。
官兵衛殿の誕生日、命日。新暦も旧暦も入れてみる。日にちだけではなく年も。
全部、物心がついてすぐに調べ済みだ。俺がいなくなったあと官兵衛殿がどんな風に生きていたのか、気になるのは仕方ないだろう。
結果は……心配した通り、って感じだったけど。
やっぱりもっと一緒にいてあげたかったと、図書館で一人後悔した。子供が読むには難解な本を手に涙を浮かべている俺は、何も知らない人の目にはさぞ奇異に映っただろう。
俺の知識の及ぶ範囲で、彼の母親が死んだ年や息子が生まれた年、豊前に封じられた年や有岡城での戦いがあった年まで試したけれど、どれも外れだった。
「もう良いか。私はもう行きたい」
「もうちょっと!」
じれた様子で手を差し出す官兵衛殿を制し、次々と数字を打ち込んでいく。
ダメもとで『竹中半兵衛』の生没年やその日にちも。

――って、あ。

「開いた」
「な、」
「俺の誕生日といっしょじゃん。これって運命かもよ?」
広い意味では嘘ではない。俺の誕生日は何の嫌がらせか新暦で『竹中半兵衛』の命日にあたる日なのである。彼の暗証番号は旧暦での日付だったけど。
「誕生日……」
呆けたように官兵衛殿は繰り返して、それから「なるほどな」と呟いた。心当たりがあるらしい。もしかしたら彼の誕生日も『黒田官兵衛』の命日だったりするのかもしれない。
俺は改めてメニューを開く。赤外線……良かった、ついてる。自分の携帯を取り出して、そこに官兵衛殿のプロフィールを送った。
今度は逆に、俺のプロフィールを官兵衛殿の携帯に送信。『半兵衛』の名前でアドレス帳に登録する。フルネームはメモ欄に入れておこうっと。

「官兵衛か。良い名前だね」
「素直に変な名前だと言えば良いではないか」
「俺も似たようなもんだし」
「…………そうか」

官兵衛殿も、生まれ変わっても名前変わらなかったんだ。
思わず笑みがこぼれる。
苗字は黒田じゃなくなってるけど、そんなところも俺と同じで、寂しいよりは嬉しかった。
「はい、ありがと」
閉じた携帯を差し出すと、官兵衛殿ははっとしたようにして受け取った。
「俺のメルアド送っといたから」
「余計なことを」
アドレス帳を確認して官兵衛殿が眉をひそめる。
そしてそのまま携帯を閉じると、俺に向きなおった。
作品名:再会 作家名:豊橋まりあ