島国さん~2~
アーサーが菊のことを好きになったのは数か月前のある雨上がりの日の事。彼は少し焦って走っていたら
やや大きい石に躓いて転んだとき水たまりにダイブ。見事に濡れてしまった。
「はぁ…ついてねぇな……」
そんな時、上から大丈夫ですかと声がした。アーサーは見上げてみたら一人の女性が立っていた。
「あ、あぁ…」
すると少女が急に蒼くなった。
「ア…アーサー……さん?」
「え………?」
この人とは会ったことがないはずだがなぜ相手は名前を知っているのか…そうしたら向こうはしまったという顔をする。
アーサーは首を傾げていたら見覚えのある人がやってくる。
「菊兄様!どうかされ………あ…」
「菊…?!お前、菊なのか!!?」
「……………はい」
何故女の格好をしているのか…まさか、そういう趣味を持っているのか…パニックになっていたら桜がアーサーに説明した。
彼女曰くコスプレというものらしく、とあるところへ行くためにわざわざ着て行くそうらしい。
(それにしても綺麗だ……)
変に胸もドキドキしている。それにあえて気づかないようにしたアーサー。
「あ、服着替えたほうがいいですね…迷惑でなければ着替えを何か貸しましょうか?」
「良いのか?」
「はい。」
「じゃあ、着替える」
「分かりました。桜、戻りますよ。」
「はい。」
菊の家に行く間もアーサーは菊の表情を見る度にドキドキしていた。それはなぜなのか…その時はわからなかったがすぐに判明する。
どうやら恋をしてしまったようだ。アーサーはそのことが分かったときは驚いた。しかも相手は男。男が男に恋をするのはおかしい。今までそう思っていた。
しかし自分がそうなった。相手がこのことを知ってしまったら気持ち悪いと思うだろうか…軽蔑するのだろうか…そう思ってしまい、モヤモヤしていたが
彼を見かける度目で追ってしまい、声を聞くだけで姿を探してしまう。そのことをなんどかやってしまった。そうしたらフランシスとアルフレッドにばれてしまったが
二人は特に気にしていなかった。その上応援までしてくれた。だが、一歩踏み出そうとしても躊躇ってしまって踏み出さない。それの繰り返し。
それに今日の出来事。すごく悔しく、悲しく、苛立つ。それがぐちゃぐちゃになってモヤモヤする。どこかで吐き出したい…