二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【同人誌】カラフル・デイズ

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

「だって、ひどいんだよ。さっき、平助が起こしに来てさあ。いつもは様子も見に来やしないってのに」
 とうとう堪え切れずに、大きな口を開けて欠伸を漏らしている。
 はるは、思わずくすりと笑ってしまった。
「あ、笑ったね、今?」
「えっ? い、いいえ、とんでもない」
「誤魔化さない。しょうがないでしょ、昨夜帰ってきたのだって遅かったし、風呂にも入れなかったんだからさ」
「それなら、今からお風呂の支度をいたしましょうか?」
「んー、そうだね。お願いしようかな」
 茂は頷いた直後に、ふと眠気を吹き飛ばした顔で、はるをまっすぐ見下ろした。
「どうしました?」
「いや……君、そういえば、父さんの専属だよね」
「はい、そうですが」
「その割りに、けっこう俺たちの世話、焼いてる気がするよね」
 ふうむ、と観察するように上から下まで眺められると、何とはなしに、居心地の悪い思いがするものだ。
「あの、茂様?」
「今日、父さんは?」
「朝早くにお出になったので、今はいらっしゃいません」
「そっか。で、俺の風呂の世話までしてくれるわけだ?」
 どことなく、意味深長に見える、楽しそうな笑み。はるは、やや慎重になった。
「え、えっと、お湯を沸かすだけですよ?」
「なーんだ。おはるちゃんが背中流してくれるってわけじゃないんだ?」
「しませんよ!」

----以下略-----------
 

「俺も藪入りしてきたんだ」
「藪入りって、お前は働いているんじゃないだろう?」
「そうなんだけど、似たようなものなの!」
 夏休み、というわけでもなさそうだ。そも、博は秋から通う大学の入学準備のために、早めに洋行したのだ。今、時間をかけて帰国する意図が分からない。
「なんか、向こうで虎列刺(コレラ)が流行り始めたらしくてさ。強制退去になっちゃったんだよねえ」
 まだ、エゲレスに到着したばかりだったものを、帰国させられてしまったと言う。
 はーあ、と博は憂鬱そうな溜息を零す。
「せっかく頑張ろうって決めたとこだったのに、完全に出鼻挫かれちゃったよ」
 祖父の死を乗り越えて、旅立つ決意を固めたというのに、その思いを傾ける場所も失って、これではどうすればいいかも分からないままか。
「でも、流行病なら収まるだろう? そうしたらまた、戻るんじゃないのか?」
「戻るけど……なんかさ」
 そう言う気持ちも、分からないでもない。
 思わず、ぽんっ、と博の頭を撫でるような優しさで叩いてやった。
「まあ、とりあえずこっちで、のんびりすればいいんじゃないか?」
「……うん、そうする」
 ほっとしたように、博の口元に、いつもの笑みが戻ったようだ。
「さっきまで、はる吉にも、話を聞いてもらってたんだ」
 博ははるに向かって、笑ってみせる。すると、彼女も微笑んで返した。

----以下略-----------


 玄一郎は言った。
「ならば、はるが縁談によって辞めぬようにできるか?」
 これは父からの挑戦状だった。

----以下略-----------
 

 だから、彼は答えた。
「できるよ! 考えて、方法、見つけてみせるから!」
 今すぐには思いつかない。でも、ちゃんと考えれば、きっと方法がある。
「喜助と結婚しなくても、ちゃんと使用人を続けられるようにするから、だから父さんは、勝手に結婚とかさせたらだめだからね!」
 玄一郎は楽しげに笑った。
「楽しみに待っているとしよう」

----以下略-----------