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比翼連理

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「――いつか、おまえとは話をつけねばならないであろうが、今はその時ではない。ムウ、闇の因子が動き始めたのだ。曲りなりにも今は教皇という立場であるからには、お前にも命じる。闇の因子からアテナをお守りしろ。アテナが処女宮から動かぬというのであれば、全力を以って白羊宮で敵を阻止しろ。よいな?」
 サガは静かに瞑目し、再び教皇の間にいる聖闘士たちに厳かに告げる。
「―――紅き月が空満ちるとき、闇の因子が聖域に訪れよう。招かざる客を排除せよ。処女宮より上の宮を守護する者たちは処女宮の守護に当たれ。それより前の宮にいるものは各自の宮を守れ。カノン、おまえは双子座の聖衣を纏い、双児宮に務めよ。青銅、白銀たちは白羊宮を重点的に処女宮までの宮に分かれて、宮の主と共に敵を迎え撃て。神との戦いだ。無事では済むまいが、皆……生きよ。生きて再び聖域に光を!」




 時をほぼ同じくして、ジュデッカにも斥候からの報告が齎された。
「何だと!?第1プリズンにティターンの一端が現れた!?」
「は。それが、第1プリズンだけではなく、第2、第3と……各プリズンで局所的事象が起こったと同時に津波のように巨神や怪物どもが押し寄せ―――このジュデッカにもいつ害が及ぶかわかりませぬ。どうか、ラダマンティスさまの御加護を賜りたく―――」
「わかった。アイアコス、おまえは此処を死守せよ。俺は先陣に向かう」
「よいのか?ハーデスさまにご報告しなくても?」
 ふっと男臭い笑みをラダマンティスは浮かべると首を横に振った。
「我らが冥王だぞ?冥界での事象はずべて把握なされておる。玉座にお姿を見せないということは俺たちで何とかしろという御意思であろう」
 薄絹で仕切られた主なき玉座を見る。片翼をもがれたかのように、いまだ苦しみの波間に漂う悲しき王。だが大丈夫だろう。御傍にはパンドラがいる。そしてアイアコスもいる。
「……して、奴らの狙いは?」
 振り返り、冥闘士に問いかけた。
「―――『我らの世界を取り戻そう、我らの王のために』やつらは口々にそう叫んでいました。聖域でも、此処でも同じように」
 不意に現れたミーノスが問われた冥闘士に代わって答えた。
「ミーノス!戻ったか。聖域でも攻めてきたのか?」
「ええ。ほぼ同時といえるでしょう。アテナの聖闘士たちは見たこともない巨神や怪物を相手に苦戦を強いられているようですが。まさか、この冥界でも同じことが起こっているとは思いも寄りませんでしたが。とにかく、ラダマンティス、私も加勢します。いまや遅しと我らを待ち望む仲間の下へ参りましょう」
「ああ。では、しかと頼んだぞ、アイアコスよ」
「おまえたちもな」
 消えゆく二人の冥闘士の姿を見送り、アイアコスはジュデッカを守るべく、直属の部下たちに指示を出した。



作品名:比翼連理 作家名:千珠