比翼連理
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万物の羅針盤の光が凝縮し、小麦色の肌の逞しい体躯と揺るがぬ強い意思を秘めた黒曜石の瞳を持つ者の姿を映し出した。
『その思念は“冥王に奪われた”と言っていた。何を奪ったのかは知らぬが、よほど怨まれているようだな、貴方は』
先刻のシャカの言葉。
まさか……まさか……不吉な予感にぞくりと総毛立つ。
もう、とっくの昔に諦めたのではないのか?
屈服したのではなかったのか?
ゼウスでさえも手出しできぬ、この冥界の果て。
届かぬ想いに絶望したのではなかったのか?
ずっと、ずっと耐え忍び、待っていたというのか?
この時を。
不滅の想いに身を焦がしながらも、耐えていたというのか、プロメテウスは?
光を望んだ我に、
己が野心を抱き、裏切ったアテナに、
光を与えたゼウスに、
報復を与えにきたのか?
プロメテウスの目的は―――ただ一つ。
「しまった!陽動か、これは!?」
冥王は思考を中断し、百花の花が咲き乱れる園へと意識を飛ばした。