比翼連理
13. 神聖ナル時ノ流レ
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――沈む
――沈む
――沈む
浮力を持たぬ鉛のように。
永遠に続く海の底？
不安や恐怖は感じない。
むしろ、安堵感を感じる。
いや、回帰する想いか？
こぽっ……
肺に残った空気が、押し出される
人肌ほどの温かな水が、柔らかに己を包む。
ああ――これは。
羊水？
こぽっ……
最後の気泡を吐き出す。
ゆらゆらと 母の胎内に眠る赤子のごとく、
背を丸め、膝を抱える。
――生キテ！
――生キテ！
膜を通して聞く、悲痛な泣き声
泣いているのは誰？
なぜ、それほどまでに泣く？
おまえを苦しめるものがあるのか？
それとも耐えられぬ痛みがおまえを苛むのか？
――生きろ！
――生きろ！
ああ……生きることは辛きことだ
悲しきことだ
それでも人は生きていく
たとえ、
生まれ出でた時から死に向かう運命であっても
無常なる世界は、刹那の輝きに満ちている
――逝くな！
――逝くな！
絶望の闇が、哀しみの闇が、覆いつくす。
煌めく世界に絶望の闇は不要
哀しみの闇は不要
―――私ハ“破壊者”
闇ヲ打チ砕ク、光。
―――オマエノ中ニ棲ム闇ヲ、
オマエヲ捉エル絶望ヲ、
―――全テ、破壊シヨウ。
―――ソノタメニ、捧ゲヨウ。
コノ魂ヲ。
―――人間ニ、“未来”トイウ、“時”ヲ持ツ人間ニ、
希望ヲ託シテ。
ああ……光が眩しい―――溢れる光、溢れる心。
すべてが―――ひとつに重なり、融合（と）けていく……。