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比翼連理

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「さあ……もっと!もっと現れろ。おまえたちに死を与えてやる!」
 ごうっと巻き起こる黒い風の中心に立つ、死神。徐々に後退し、恐れをなしている敵陣をタナトスは嘲笑った。
「守れ!おまえたち!死神を決して中に入れるなっ!」
 人間らしきものも大勢いた。

 ―――すべての者に死の制裁を!―――

 闇の寵児の命を果たさんがために、雪崩打って出る者たちをものともせずに、死の祝福を与える。着実に死者の山を築き上げていく。
 半人半獣の者たちは奇声を上げながら怯むことなく、タナトスへと襲い掛かるが、圧倒的な力量の差で持って敵陣を打ち崩していく死神の姿に人間たちは恐れ戦いた。
「なんという……!我々では力及ばぬか……ティターンの神々の御力をお借りせねば、侵入者を防ぐことはできない」
 苦々しい表情を浮かべながら、半人半獣を先導している男が呻いた。

 さあ、出てくるがよい。
 ティターン神族よ。
 斯様な下賤な力では抑えられぬぞ!

 死の翼を広げ舞い上がる。美しき銀色の死神の足元は、いつしかおびただしい流血によって血の海と化していた。
「―――古の神の振るう力なのか。はたまた冥界の王の力なのか。どちらにしても、大事の前の小事よの。死神、おまえの相手は俺がしてやろう」
 大地を揺るがすかのような太い声が響き渡る。
「おお!アトラスさま!!」
 タナトスよりも更に一回りほども大きい男が前に立ちはだかった。ニイッと口端を上げた男は赤銅色に輝く瞳でタナトスを捉えた。
「アトラス、おまえもまた天の柱から逃れたか」
 強敵を前にタナトスの心の奥底から湧き上がる歓喜の声。それはまた同時に主である冥王の喜びの声なのかもしれないと遠く思い描く。
「久しぶりに大暴れできる。存分に楽しませてくれよ、死神よ!」
 右手を大きく掲げてアトラスの『力』が真円を描き、中心に向かって凝縮される。夜明け前の空色に輝きを放ちながら、『力』の球体はどんどん膨張し、アトラスの近くにいた半人半獣たち、人間たちをも吸収しながら、さらに成長を遂げる。

(どこまで凌げるか?)

 まるで天を支えるかのようなその姿に目を細めながら、タナトスに向かって放たれた脅威の『力』を真正面から捉えた。
 激しい衝撃とともに弾け飛ぶ光の粒子。
 巻き起こる気の流れは真空の刃となって、周囲を破壊し、美しい建築物も瓦礫の山と化した。ありとあらゆる場所で苦痛が、悲鳴が上がる。赦しを乞う声、救いを求める声。

「―――なかなか、やる。だが、ほんの序の口だ。すぐに壊れるなよ?」
「その言葉、そっくりおまえに返してやろう」
 濛々と巻き揚がる塵の中から現れたタナトスは傷一つ負うことなく、その場に立っていた。残酷な笑みを浮かべながら、タナトスは両手を大きく広げる。
 死を誘うかのように。

「―――さぁ、向かって来い」

 此処へ。
 おまえの魂からすべて滅してやる。我が主の喜びを感じるがいい。永久(とこしえ)の闇に抱かれる悦びを、アトラス、おまえにも与えてやろう。



作品名:比翼連理 作家名:千珠