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比翼連理

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「沙織さん……アテナ、聖衣が戻ってきたの?あれ、シャカは?」
 到着したのは瞬たちが最後のようだったが、そこにはシャカの姿はなかった。
「処女宮を通ってきたのでしょう?いませんでしたか?処女宮を通ってきたのは貴方たちだけですから」
 ムウがアテナのかわりに答える。
「他のみんなは自宮から来たんじゃないの?」
「俺たちはアフロディーテのところにいたからな」
「お茶会をしていたもので」
 黄金聖闘士ともあろうものがそんなことでいいのだろうか?と瞬は疑問に思いながら、口にはしなかったが、しっかりムウにはバレていたようである。
「聖衣のことや、聖域の守りについての話をしていたのです。あなたたちみたいに草むらに寝転がってなどいるよりはマシでしょう?」
「――うっ」
「あんまり余計なことを考えないほうが身のためだぞ」
 サガは苦笑しながら、小声で忠告し、瞬の肩をぽんぽんと軽く叩いた。
「まぁ、シャカはきっと沙羅双樹の園にでもいたんだろう、そのうちやってくるさ。ところで、アテナ、聖衣は―――」
「ここに」
 アテナが指し示した先には5体の聖衣があった。傷一つないまま。
「……一体いつ?」
「つい、さきほど。何の前触れもなく突如、現れたのです」
 アテナは困惑していた。いや、困惑というよりは危惧している。
「またポセイドンかな?」
 のほほんと星矢が答える。
「いいえ、彼の小宇宙は感じませんでした」
「では、一体誰が?」
 静かにアテナの返答を待つが、なかなか返答がなかった。深く憂いているアテナの姿を見てサガは不安を感じずにはいられなかった。
「まさか、ハー….」
 全てを言い終わる前に、不意に感じた強大な小宇宙の片鱗に一同に緊張が走った。
「あれは!?」
「そんな」
「まさかっ!」
 皆が顔を合わせ、アテナを見つめる。
「……シャカっっ」
 悲痛な叫びと共にアテナの小宇宙が放たれた。
 アテナの強大な小宇宙が集まっていた聖闘士たちを一瞬にして飲み込んだ。



作品名:比翼連理 作家名:千珠