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Weird sisters story

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「残念だが、無理だ。…もう時間を過ぎているが、まだ来てないのか」
溜息と共に吐かれた言葉がわからなくて尋ねようとした時。
「へっえ〜君が噂の逆スパイ?」
背後から聞こえた声に飛び上がる。
勢いよく振り返ると赤いショートの女の子が立っていた。
「五分遅刻だ」
「っま〜〜相変わらず硬いわねぇ、レイは」
誰っ!?と言うタイミングを完全に逃してしまったシンは、マユと同じでただ固まっているしかなかった。
女の子はレイに人差し指を突きつける。
「しかもなぁに?こぉんなカワイー女のコ捕まえて。レイってそっちシュミ?」
「そういう類の話ならヨウランにでも話せ。…部屋はわかっているな?」
「あーハイハイ、わかってるわよ。あ、自己紹介、遅れちゃったけど…アタシはルナマリア・ホーク。ルナでいいわ」
にっこり微笑んで見せるが、急な展開に付いてきてこれないらしく反応がない。
う〜んと唸った後、マユと視線を合わせるためしゃがみ込んだ。
「マユちゃんでしょ?アタシあなたの案内兼指導担当、任されてるから」
よろしくね?といって差し出された右手を、少しためらいながら握り返した。
「んじゃ行くわよ〜」
「え?でも……」
名残惜しそうにシンとレイを見返すマユに、優しく落とした。
「大丈夫よ。会いたい時は直ぐに会いに行けるし」
「……あのっ、お兄ちゃん!レイさん!会いに来ますから!!」
言ったきり顔を背けたマユの手を握りながら、ルナマリアの唇が「この色男」と動いたのをレイは見逃さなかった。
苦痛に満ちた溜息を落とす。
「レイ、今の人…」
「ルナマリアはああ見えて一応エリートだ。問題ない」
「いや、そうじゃなくて…」
シンが珍しく俯いていたので、レイは真正面から向き合い「どうした?」と尋ねた。
「その…今の人は……レイの、何?」
「?」
一時経ってああ、と返事が返ってきた。
「ただの悪友だ」
「そう、なの?」
「そうだ」
また歩き出すレイに遅れないよう、シンも歩き出す。
不意に、軍の施設にある中庭が目に入る。
吹き抜ける風がここちよくて、シンは思わず中庭を眺める。
その隅を、何か小さいモノが通り過ぎた。
「…猫?」
違うかもしれないけど、何故かそんな気がした。
シンの呟きに、レイはふと思い出す。
「猫、だな」
また、歩き出す。
多分あの『猫』は、悪戯好きな貴方が用意したモノだろう。
ほら証拠に、その輝く瞳の色は。


ああホラ、また。
あの猫が。
路地裏の角を曲がったんだ。


作品名:Weird sisters story 作家名:ハゼロ