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Weird sisters story

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Clotho 2




隣に立つシンが強張ったのが判った。
しかしレイ自身、雷に撃たれたような衝撃が走る。
それは青天の霹靂のような、あまりに大きすぎる意味を持ってレイを苛む。
ギルバートが口を開くが、何を言っているのかあまり聞こえてなかった。
「彼が、今期より配属となった」
あくまで淡々と、ギルバートは語る。
簡単に説明を終わると、直ぐに隣の影に言葉を促した。
紫紺の髪に青碧の瞳を持つその人の表情は、あまり晴れやかではない。
寧ろ苦しげですらある。
敬礼の形を取り、すっと前を見つめて言った。
「これよりザフトに入隊する事になった…アスラン・ザラです」
その場の空気が変わる。
皆が息を呑む声が聞こえた。
アスラン・ザラと言えばこの時代、知らない者は居ない。
彼は先の大戦の英雄の一人として、ザフトアカデミーでも伝えられている。
しかしその英雄は戦争の終結と共にその姿を眩ませていた。
天才的なMSの操縦能力、状況判断力と、どれを取っても他より秀でていた彼は、誰もが夢見る憧れの人物だ。
その人が今、目の前に居る。
動揺するのは当たり前の事であった。
アスランは言いにくそうに言葉を紡いでいく。
あまり頼りにならないかも知れないが、よろしく頼むとか、そんな事を言っていた気がする。
最後にもう一度敬礼を取り、アスランは一歩下がった。
見計らったギルバートが更に伝える。
これからここの上官として任に付く事、後のことは追って通達するという事、それを言い終えると労いの言葉を最後にギルバートは兵の前から姿を消した。
アスランも、それに倣う。
二つの影が完全に消えると、溜めていた緊張が一気に解けた。
互い互いに言葉を交わし、皆騒ぎ立てた。
「…とんでもない上官だな」
シンがポツリと零した。
彼はザフトの要人には詳しいから、アスラン・ザラという人がどんな人物か聞かせずとも判っているのだろう。
だがそれでも、ギルバートの思惑までは気付かなかったようだ。
騒がしいその場からふと足を背けた。
「レイ」
気付いたシンが呼び止め、駆け寄る音がするがそれを振り返らずに制する。
「済まない、先に戻っていてくれ」
「なんで?」
「急用が出来た」
訝しげにシンの顔が曇る。
それでもそこから、レイの気持ちを酌んだのだろう。
ギルバートが絡むと、もうシンには手も足も出せない所へとレイが行ってしまう。
「わかった。……早めに、帰って来いよ」
待ってるから。
そう付け加えた言葉に弾かれるように、レイは足を進めた。





目の前の人はゆったり椅子に埋もれて、ある書面に目を通していた。
散らばるデスクの前に立つと、敬礼をした。
「レイ・ザ・バレル、出頭いたしました」
「…私は呼び出した覚えがないのだがね」
「御用がないのであれば、このまま戻りますが」
返答に、ギルバートは苦笑を零す。
冗談にまともに乗ってくれないレイへと、見ていた書面を手渡す。
「どう思う?」
ギルバートは顔の目で手を組みながらそう尋ねた。
レイは相変わらず険しい顔つきで文字を睨んでいるようだった。
「…流石です。英雄と、呼ばれるだけの事はあります」
「ふむ…それで?」
「とぼけないで下さい。品定めは、貴方が特意とするところだ」
僅かに怒気を込めると、ギルバートは喉の奥で押し殺したような笑い声を出した。
「では、やってくれるか」
「元々そのつもりで此処へ来たんです」
「…いいだろう」
ギルバートは傍らのボタンを押した。
即座に画面が立ち上げられ、何事か言いつける。
レイは手にしていた書面をそっとデスクに戻した。
それから間もなく、声が掛かる。
「失礼します、デュランダル議長」
律儀に敬礼をして入ってきた彼だが、そこに居たのが一人だけではない事に面食らったようだ。
思わず、足を止めてしまっている。
「どうしたね?」
「いえ…お邪魔だったのでは?」
どうやら報告をしに来ていると思ったようだ。
ギルバートは立ち上がり、アスランへ此処へ来るように促す。
気兼ねしつつも、アスランはレイの隣へと立った。
「いきなり呼び出してすまなかった。特に頼みたい事があるわけでもないのだが…」
アスランの緊張が、僅かに緩んだのをレイは見逃さなかった。
赴任して早々に任を頼まれるのでは、と憂慮していたのだろう。
「君の世話役を紹介するのを忘れていた。これから此処での暮らしにも慣れなければならないし…第一、仕事も多いだろう。彼はザフトでも優秀でね、君の足を引くなんて事はないと思うが」
驚いたアスランは、ギルバートの言葉を遮る。
「あの、待ってください。私は別に世話役など…」
「気にする事は無い。これは君の為だけではなく…延いては我が軍の為でもあるのだ」
「ザフトの?」
「君の抱えている仕事の量は相当なものだ。それを一人で処理するとなると当然、時間がかかる。そうなると軍全体の動向が遅れる。今の情勢でそうなってしまう事は非常に好ましくない。それに」
ギルバートがレイの方を向く。
薄く微笑をつくった。
「彼――レイの方からも是非に、と頼まれているのだよ。伝説の英雄と仕事が出来る事など、そうそうあるものではないからね」
青碧の瞳がレイを見た。
すっと、頭だけ下げるに留める。
「嫌かね、アスラン」
苦々しげに唇を引き結んでいたが、諦めたように短く息を吐き出す。
「……判りました」
呟かれた是の言葉。
見えないように、そっとレイは瞳を閉じた。


作品名:Weird sisters story 作家名:ハゼロ