非懐疑的人間の考察
「あ、宍戸だー」
そして、登場が待たれていた当人が現れた。
「なんだ、お前ら集まって」
「あのね、鳳が探してたよ~」
と、芥川が伝えるや否や、後ろで
「あっ!!」と声がした。
「宍戸さん!」
勿論鳳であった。
宍戸を見掛けやしないかと、上級生の教室の周辺を休み時間のたびごとに歩いていたらしい。その努力が今ここで漸く結実した。
「ああ、良かったなぁ、やっと会えて」
忍足が労った。
「電話とかすればいいのに」
芥川が呟く。
「宍戸さんの電話、知らないんですよ」
そりゃ意外だ、と皆が思った。電話やメールくらいはしている程度に仲が良いに違いないと考えていたからだ。
ひょっとすると、想像以上にこの二人は接近するのに時間が掛かっているのかもしれない。
「宍戸さん、教えてもらえますか?」
「ああ、いいよ」
宍戸は携帯を取り出して、鳳に番号とメールアドレスを教えた。
「良かったねー、鳳」
芥川が、自分も嬉しそうに言った。