2011お年賀公開(reborn)
僕等のさようなら(綱雲)
僕、知ってるんだ。
『行ってきます』
綱吉が自分で任務に行く度に、僕を抱くこと。
そうやって僕を寝付けて一人で行ってしまうこと。
知っているけれど、何も言わない。
言わないのは綱吉のためと自分のため。
言ってしまったら彼の寂しそうな顔を見てしまうかもしれないから。
”いってらっしゃい”
心の中だけで言って、彼を送り出す。
いつもの、いつものこと。そう自分に言い聞かせて。
また今日も一人行ってしまう彼からの言葉を待っている。
「恭弥…」
優しい声、その吐息が優しく耳に掛かる。
熱くなった体はそれにすら反応して震えた。
だけどここで起きてしまっては駄目だと頑張って堪える。
緩やかに髪を梳いてくれる指の感触が気持ち良い。
頬を撫でてくれるその手の温もりが心地好い。
いつまでも、こうしてほしいと思ってしまう。
だけどそれは無理なことで、彼は行ってしまう。
今日もまた、彼は言った。
「行ってきます」
「綱雲/しっとりとした雰囲気(綱雲)」
作品名:2011お年賀公開(reborn) 作家名:煉@切れ痔