2011お年賀公開(reborn)
愛のベクトル(白ユニ)
「白蘭…」
ニコニコ。ニコニコ。
目の前で笑っている男。
さっきからずっと笑みを絶やさないでいる恋人が、気持ち悪い。
「なぁにユニ姫?」
「その呼び名は止めてください」
γに姫と呼ばれることは多々あって慣れているのですが、彼に姫と呼ばれることにはまだ抵抗があって。
気持ち悪いけれど別に嫌ではないから、慣れない恥ずかしさで思わず顔を逸らしてしまう。
「あっれー?ユニちゃんが照れてるー。かーわいー!」
「か、からかわないでくださいっ」
…この白い男が悪いのです。白蘭が私を見ているから。
意識してしまうのです。この笑みが自分に向けられていると。
「本当に可愛いんだから」
そう言いながら彼は私の頭を撫でる。
その手の大きさに、彼の温もりが好きだ。
この人は自分を大切にしてくれていると、実感できるから。
「…もっとしてください」
だけど私はまだ知らない。
「なあにユニちゃん。甘えん坊タイムの始まった?」
彼が発する言葉全てに私以外のものが出ない。
その意味は今はまだ計り知れないものがある。
「ユニちゃん、ユニちゃん」
私の前で彼は笑顔しか見せない。それが何かなんて知らない。
だけどきっと彼は私を愛してくれている。それだけで十分です。
「今度は僕がユニちゃんに甘えたいなあ」
FIN.
「ほのぼの/少し狂愛(白ユニ)」
作品名:2011お年賀公開(reborn) 作家名:煉@切れ痔