2011お年賀公開(reborn)
恋するきみに恋をした(綱髑)
嘘偽りない言葉で君に伝えよう。
俺は、君を愛している。
だけどきっと君はこんな俺から逃げてしまうだろうから。
「ボス…っ」
「逃げるな」
自分の抱きしめた腕の中、もがいて必死に逃げようとしているクローム。
そんな抵抗を無に返すように一言“命令”を告げれば、彼女は大人しくなった。
そのことにありがとう、とお礼を言えば華奢な肩が震えた。
「クローム、君は俺が嫌い?」
「っ、そんなことあるわけないわ!」
「じゃあどうして俺から逃げるの?」
ぐっと堪えるように口を噤んでしまった彼女を見つめる。
ただ見つめていれば彼女の大きな瞳から忽ち雫が零れ落ちる。
「クローム、愛してる」
そう囁けば、また涙を流した。
腕の中、泣き続ける彼女に何度も囁いた。
そして彼女もまた、ただ泣くだけ。
「好きだ、好きなんだ」
「ボ、ス…」
自分から逃げて、他の男の元に行く彼女なんて、見たくない。
今はいない男のことなんて早く忘れてしまえ、そう言えたら楽なのに。
あの男と自分を思って泣いている彼女の涙が綺麗で、言えない。
そして俺はまた懲りずに彼女を追い詰めて、泣かせてしまうんだ。
「クローム、愛してるよ」
end.
「どっちかが片思いor一方通行(綱髑)」
作品名:2011お年賀公開(reborn) 作家名:煉@切れ痔