2011お年賀公開(reborn)
幸福論者の彼は言う(綱雲)
「雲雀さん、もうそろそろ離してくれないと俺がリボーンに怒られちゃいますよー…」
お腹にがっちりと回されている腕を抓りながら少し後ろを見れば。
にやりと笑っている雲雀さんの顔がすぐ目の前にあった。
「恋人の前で他の男の名前を出すなんて、もしかして浮気?」
「なんでそうなるんですか!」
自分をからかっているのは分かるけれど、どうも雲雀さんの策に引っかかる。
罠に掛かりやすいのは昔からだけど、こんな情緒的なことはあんまりなかったのに。
浮気の単語を聞いてすぐに反論した俺を見てくすくすと笑っている雲雀さん。
「雲雀さんっ」
「ごめん、君があまりにも可愛いから。つい、ね?」
つい、って何ですか!
この人、本当性格が悪い。思い切り俺で遊んでる。
俺なんか時間が時間で冷や冷やしてるのに。
今日は朝からリボーンに呼ばれたから早く行かなきゃいけないのに。
「雲雀さん!俺、急いでるんです!!」
ふんっ、と力を入れて雲雀さんの拘束か逃げようとした。
けどやっぱり男と女の力の差、加えて雲雀さんには叶わない。
「駄目、行かせないよ」
ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる雲雀さんを邪険にしているわけじゃないけれど、今だけは本当に絶体絶命。
リボーンを無視するなんてこと出来ない。そんなこと命が幾つあったって、出来やしない。命の危機だ。
もうどうしたらいいのか分からなくて、若干半べそ状態。
「うう…」
「赤ん坊には僕から言っておくから」
いや、そういう問題じゃないんですよ…。
そう心の中で思いながら、雲雀さんの腕を抓っていた手を止めた。
もう諦めよう。リボーンからは後で叱られるだろうなぁ…と考えながら、この時間に縋りつくように彼の腕に手を重ねた。
「大丈夫だから、今は僕だけのことを考えてなよ」
end.
「雲雀のわがままに付き合うツナ(雲ツナ)」
作品名:2011お年賀公開(reborn) 作家名:煉@切れ痔