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こらぼでほすと プール2

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 マリューと鷹のボケというかノリに、鋭くツッコミをしてハイネが息を吐く。とりあえず、カタロンの幹部とは顔繋ぎをしておきたい。情報戦は、いかに早く、それを入手するかが重要だ。つまり、どれだけのネットワークを掌握しているかが問題になる。人海情報の担当はハイネだから、クラウスとの接触はさせておかなければならない。




 メシにしましょう、と、大きなテントに用意されたブュッフェスタイルの料理に、みんなが集まる。

 クラウスとライルのテーブルには、さすがに誰も座らないので、これは好都合とばかりに、ハイネが挨拶しつつ座り込む。

「広報担当なので顔繋ぎに。」

「それはそれは、こちらこそよろしく。」

「ハイネって広報なんかしてんの? てっきり、兄さんのストーカーかと思ってた。」

「おい、ライル。おまえ、後で凹な? 誰が、ストーカーだ。そりゃ、おまえんとこのダーリンにへばりついてるヤツのことだろ? 俺は、間男。」

「クラウスーーハイネが苛めるぅー。」

 きゃうんきゃうんと、ライルはクラウスにすがり付いているが、クラウスのほうも慣れたものだ。よしよしと頭を撫でている。

「それで? 」

「まあ、あんたのとこの広報さんを後日、紹介してくれよ。こちらとしても、お願いしたいこともあるし、そっちと提携できそうなことは提案させてもらいたいんだ。」

「ああ、なるほど。そういうことなら、明後日の会議に出てくるから紹介させてもらおう。それでいいかな? ハイネさん。」

「ハイネでいいよ。」

 広報というのが、何を指しているのか、クラウスのほうも解っているのか、ニヤリと笑っている。お互い、いろいろな情報網は整備しているが、それらを繋ぎ合わせるのは、いろいろな問題もある。そこいらの実務レベルの話し合いとなれば、情報関連の人間と付き合わせるほうが容易い。クラウスが、いくら、オープンに、と、宣言しても実際には、できないこともあるからだ。

「では、ハイネ。私としては、できれば、この関係は良好に保ちたいと希望するんだ。」

「まあ、俺たちも、そう願っているが、うちはいろいろと厄介なことがあるのさ。」

「くくくく・・・・確かに、前大戦の英雄とも呼ばれる人たちが、ホストしてるなんてスキャンダラスだろうね。」

 ほとんどのホストが前大戦の時の有名人だ。特に、キラとアスランは、居場所を知られるのがまずい。「白い悪魔」と「元プラント施政者の御曹司様」だ。政治的に利用しやすい名前だから、できれば、ひっそりとしていたいというのが、当人たちの希望だ。それに人間でないのも交じっているし、イノベーター純粋種までいる。

「そういうこと。・・・・・そこいらは、スルーの方向で頼みたい。うちは、戦争不参加が基本なんでね。ついでに、あんたらみたいに表立って、世界平和への礎になろうなんて殊勝な心持ちの人間もいないから、そういう要請は受け付けられない。」

「私と、きみらのオーナーの接触については? 」

「公式には、どんどん使ってくれていい。非公式にはスルーしてくれ。ただし、あんたらの理念と、オーナーの考えが違ってきたら、こちらから拒否するかもしれない。」

 組織が大きくなったり、権力に近い位置に立つと、いろいろな思惑が生じてくる。純粋に世界をひとつにするというなら、喜んで協力できるが、どこかの大国の意思が尊重されるような活動を始められたら、こちらは手を引くしかない。歌姫は平和の使者だ。それは、どこの組織にも国にも傾かない公平な天秤でなければならないからだ。

「つまり、見限られたら、その時は危険だということか・・・・わかった。努力はさせてもらう。」

「いや、どういう形でも戦争をおっ始めなければ問題ないと思うけどな。それから、CBとうちとの関係も非公式の枠なので、これは、そちらの幹部連中にも公開しないで欲しい。それが破られたら、報復はさせてもらう。」

「そちらは問題ないだろう。うちとCBも公式には無関係ということになっている。」

「とりあえず、ここでできるのは、その程度の話だ。」

 あまり詳しい話をするには、場が騒がしい。背後をバタバタと年少組が走り回っているから、生臭い話はできない。

「ハイネって、普段はエージェントもやってんのか? 」

 ようやく、話が着いたので、ライルも会話に参加する。ライル自身も、何年かエージェントとサラリーマンの二束草鞋だったから、その苦労は知っている。

「俺は、普段はヘリの運転手とホストと、おまえの兄貴のアッシーだ。・・・・そうだ。おまえ、こっちに降りてる時は、兄貴のアッシーもしてやってくれよ。レイたちが忙しい時は人手が足りなくてさ。」

「うん、それはやるよ。てか、だいたい、うちのダーリンがやってるぞ。」

「せつニャンと一緒じゃない時とか、あいつが連れ出されてる時とかあるだろ? 」

「あーはいはい。」

「あれ? お兄さんって運転できないのか? ライル。」

 元MS乗りで、クルマの運転ができないなんてのは不思議だから、クラウスが口を挟む。

「いや、できないことはないんだけど、ちょっといろいろあってさ。一人で運転禁止になってんだ。」

 過去四年に、いろんなことがあって、歌姫様とハイネが、ニールに運転禁止を申し渡した。それからは、誰かがクルマが入用な時には付き合うことになっていると説明した。

「なんか、いろいろやらかしてるわけ? うちの兄さん。」

「そのうち、語って聞かせてやるよ。お陰で、俺は間男なんて地位を獲得したからな。」

「あはははは・・・・・いいじゃん、間男。なんか、似合ってるぜ? 兄さんとハイネ。」

 三蔵さんと兄さんほどのしっくり感はないけどさ、と、ライルは微笑む。ノンケ同士の茶飲み友達夫夫と呼ばれているが、三蔵と兄は、とてもぴったり馴染んでいる。ある意味、熟年夫夫みたいな雰囲気だ。

「ありゃ、おまえ、三蔵さんの独り勝ちだ。毎度腐れ、呼び出して寺に住まわせてたからな。一緒に住んでりゃ、ああなるさ。」

 刹那たち子猫がいなくなると、途端に具合が悪くなるので、そうならないために、三蔵が寺へ呼びつけて、自分たちの世話を押し付けた。それで、気を紛らわせていたから、ニールとしても自宅の感覚になってしまったが正解だ。同性同士の気楽な共同生活というのが正しい。

「でも、ハイネ。お兄さんには人妻の色気があるんだが? 」

「クラウスも、そっちだもんなあ。あれは違うんだ。あれ、色気じゃなくて・・・・・諦観の表情なんだよ。」

 その気のあるのは誤解するが、ニールには色気はない。あれは、四年かけて常の表情になっているポーカーフェイスだ。刹那たちのことで動揺しないように、当人が作った仮面みたいな表情なのだが、どこか憂いがあるから誤解されている。ここんとこの一年は、それがいつにも増して、酷かったから、余計に艶っぽく見えたらしい。

「諦観? 穏やかじゃないな? 」

「そっ、穏やかじゃなかったぜ。こいつら、みんな、いろいろとやらかしてくれるからさ。その情報が入ってくると、あんな顔してたんだよ。」
作品名:こらぼでほすと プール2 作家名:篠義