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こらぼでほすと プール2.5

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「いや、俺、降ります。」

 よっこいせと渡された相手が、護衛陣のヘルベルトでは、おちおち寝てられないと、ニールも目を開けた。

「まあ、そう言うなよ。いつも、美味いメシを食わせてもらってる礼ってことでな。それに、鷹がものすごーくエロい顔してっから、このまま運んでしばらく見張ってやるぞ。」

「・・・すいません・・・」

 午前中の騒ぎは激しかったから、電池切れするのも無理はない。このまま休ませておかないと、明日が危ないから、お昼寝番のヘルベルトが運んでいく。ティエリアも同様だから、ハレルヤからアレルヤにチェンジして、だっこで運んだ。

 それを見送ってから、年少組は、さて、一休みしたら競泳するぞぉーと、遊びの予定を立て始めている。



 それを眺めていたクリスとメイリンが、「美女と野獣」 と、揶揄して爆笑していたのを、リヒティーが頬を引き攣らせつつスルーしていた。




 最初は、年少組男子のみの競泳大会だったので、フェルトやメイリンたちは応援するばかりだった。

「フェルトもやろうよ? 」

 見ているだけじゃ楽しくないよ? と、キラが誘ったのだが、フェルトは泳ぐのは得意ではない。いや、むしろ、ほとんど泳いだことがなかったりする。正直に、そう告げると、キラはニパッと笑って、「大丈夫。浮き輪で泳げばいいんだ。それでね、フェルトたちは足と手でバタバタ泳いで、僕らは手だけ犬掻きっていうハンデをつけたら、いい勝負になるはずだ。メイリン、クリスさん、ラクスも参加してっっ。」 と、提案してくれたので、一緒になって泳いだ。ちょうどいい感じのハンデで、かなりの接戦で、フェルトやメイリンたちも必死だ。

「うん、なかなかいいんじゃないか? 」

 その混戦ぶりに、アスランは応援しつつ頷いている。どうしても、コーディネーターとナチュラルには体力的な問題があるが、これだと、そういうのは気にならない。むしろ、手の掻き方や足の掻き方で、優劣が決まるからだ。

「なんか、今年は目一杯はっちゃけたいよね? 悟空が参加できないのが残念だけど、これからは、いろんな季節に降りてもらえばいいもんね。」

「そうだね。・・・・これからは、去年よりは遊べるさ。キラも、お疲れ様。」

「アスランもね。なんか、長い一年だったね。」

 キラもアスランも情報収集やら情報管制やらで、忙しい一年だった。各方面の動きを把握して、CBとの接触具合も確認して、と、縦横無尽にネットの海を泳いでいた。隠れてこっそりとCBのバックアップもしていたので、キラたちもほとんど休む暇はなかったのが実情だ。ただ、コーディネーターだから、体力的な問題はなかったが、精神的には張り詰めていたから、ようやく終わって力が抜けたのは、一緒だ。

「この騒ぎが終わったら、二人でゆっくり旅行とかしたいな。」

「そうだな。休み貰って、どこか遠出しようか? リクエストはある? キラ。」

「うーん、どこでもいいけど、リゾート気分がいい。」

 なんにもしない贅沢っていうのを楽しみたいな、と、キラはアスランに笑いかける。たまには、二人で、ぼんやりと綺麗な景色を眺めているという姿を想像して、アスランも微笑む。横にあるキラの唇に素早くキスを贈って、「スケジュールを考えておくよ。」 と、返事した。

「大胆なことを・・・・」

「たまにはいいだろ? 」

「そういうのは夜でいい。」

「なんか嬉しくてさ。」

「もう、しょうがないなあ。顔が火照っちゃったよ。罰として、レモンソーダはちみつ入り。」

「仰せのままに。」

 飲み物を取りに行こうとするアスランの腕に、キラも腕を巻きつけて一緒に、テントの内に入って行く。どこでもいちゃこらバカップルの本領発揮だ。



 大人組または通称じじいーずの面々は、のんびりとデッキチェアから、大騒ぎの水泳大会を眺めている。撤収は四時を予定しているから、それまではのんびりしたものだ。

「カタロンさんは、元気だねぇー。」

「まだミソジーズ突入間際だからな。」

「話はつけといたぜ。明後日、あっちの情報担当さんと顔繋ぎしてくる。」

 ハイネも、最初の競泳には参加していたが、女性陣が乱入してからの犬掻きには疲れたらしく撤退してきた。

「八戒は泳がないのか? 」

 年代的には、まだ若い部類なのに、同じようにデッキチェアで寛いでいる八戒に、ハイネが声をかける。

「誰かがタイムスケジュールをチェックしてないと大変なことになるでしょ? そろそろ、スイカ割りでもやりましょうか? 」

 そろそろ、おやつの時間だ。また、これでも騒ぎになるだろうから、その騒ぎが収まれば撤収時間になるという流れが一番望ましいだろうと考えていた。

「それなら、そろそろ、うちのニールを起こしてこよう。」

 トダカが、そう言ってデッキチェアから起き上がる。ちょうど二時間くらいは寝たから、起こしてもいいだろう。

「それなら、俺がキスで起こしてこようかな? 」

「あら、そういうのは、あたしの担当よ? ムウ。」

 鷹が起き上がったのを掴まえて、マリューも身を起こす。よからぬ起こし方なんぞしたら、立ち眩みを起こすから、マリューが代わりに行くと言い出した。それなら、ワタシも、と、アイシャも立ち上がる。

「普通、こういう場合は王子様のキスじゃないか? 女王様のキスは贅沢すぎるだろ? マリュー、アイシャ。」

「可愛い王子様のお目覚めには、女王様のキスでしょ? 行きましょう、アイシャ。」

 六個も下のニール辺りになると、マリューも弟感覚だ。だから、そういう冗談が言える。もちろん、アイシャとしても、同じ感覚だ。

「女王様には逆らうな、鷹さん。」

 虎が、言い負けた鷹の肩を叩きつつ爆笑する。女性陣に口で勝てる訳がない。それに、実際問題として鷹の過激な起こし方は、ここんとこのニールには刺激が強すぎるというのも事実だ。

「そういや、トダカさん、今日はトダカーズラブの面々は? 」

「今日は来なくていいと言ったんだ。カタロンの人間と、オーヴの軍人を対面させるわけにもいかないからね。」

「ああ、そうか。せっかくなら、カガリも呼べばよかったんだが、それなら、スケジュールが詰まってて良かったってことか。」

 公式には、歌姫の親友として有名なカガリではあるが、私的にオーヴ本体との繋がりがあることは知られないほうがいい。まだ、どう転ぶかわからない相手に、手の内全ては晒さないほうがいいからだ。

「そういうことだ。・・・・・しかし、若いっていうのはいいね。あれだけ騒いで、まだ元気なんだから。」

 朝から全開で騒いでいる年少組を見ていると、トダカはついつい頬が緩んでしまう。こういう時間を持つことが叶わなかった面々が、こうやって大騒ぎで真剣に遊んでいるというのは、トダカにとっては嬉しい限りなのだ。シンもレイも、いろいろとあって『吉祥富貴』に参加してから、こんな遊びをやれるようになった。それについては、キラやラクスに、どんなにお礼を言っても足りないと思う。

「そういう年寄り発言するほどの高齢じゃないだろ? トダカさん。あんた、まだ、孫もいないのに。」