DISC0RD
―Ⅱ―
麦わらの一味はフォクシー海賊団とのデービーバックファイトになんとか勝利した。
仲間を取られずホッとしたのも束の間、目の前に大将青キジが現れた。
明らかな動揺を見せるロビンの様子にクルー達もただごとではないと感じ取る。
「お前等に会いたかった。」
ロビンが氷付けにされ、ゾロが腕をやられ、サンジは足をやられた。
「一騎打ちなんて無茶だろうがっっ!!!!!!!」
「うるせぇ、お前等行け。」
「ルフィッッッッ!!!!!!」
「行くぞ。」
「・・ゾロ!!??」
「コイツを早く戻さねぇとやべぇ。」
「分かった。行け。」
「おいコック!!」
「おれは足が駄目だ。先行け。」
「・・・・・分かった。」
ロビンを抱え、ゾロが走り出す。
サンジはその場に留まった。
「サンジっっ!!!お前も行けっっ!!!!」
「悪ぃが、船長。おれは走れねぇ。」
一騎打ちと強引に約束したルフィは、圧倒的な力を持つ青キジに挑んでいった。
サンジはその戦力差に目を閉じたくなるのを必死に堪えた。
何かあったら・・・
おれが――――
「ルフィーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
それは一瞬のことだった。
一瞬でルフィが全身凍った。
止められなかった。
「邪魔者は消えたな。」
「・・・っ・・・・・てめぇっっ!!!!!!!!」
「うまいこと残ってくれたもんだ。」
「・・・・・・ぶっ殺してやる・・っ!!!!!!」
凍ったルフィの横を通り過ぎ、青キジがサンジに近づいてくる。
サンジも動かない足をかかえつつ、戦闘態勢に入る。
「そう興奮するんじゃない。」
「・・・・許さねぇ!!!!!!!!」
「おめぇが倒すのはおれじゃねぇよ。」
すると青キジはバサリと紙の束をサンジに向かって放り投げた。
チラリと見るが、細かい字ばかりでよく分からなかった。
「なんだそれは。」
「お前自身の事だ。」
「はぁ?ふざけんなっ!!!!」
「近々、迎えに行く。」
「・・・?」
「それまでに復習しておくんだ。」
「・・・いったい何言ってっ――
「まっせいぜい楽しむこった。」
「待ちやがれっっっっ!!!!!!!!!!」
「じゃぁな。」
青キジは止めをささずにその場を後にした。
サンジは足を引きずりながらルフィの元へ向かう。
「ルフィっっ!!!・・・くそっ」
急いでチョッパーの所へ連れて行かなくてはと、抱える。
だが、凍った足が邪魔をして上手く歩けなかった。
この足をどうにか・・・と考えていると、先ほど投げられた紙の束が目に入る。
「おれ自身の・・・こと。」
サンジはその紙の束をシャツの中に隠した。
ハッタリだろうが、罠だろうが・・あのままにしておけなかった。
ぐずっぐずずずずっ・・・・・うっ・・・・うぅっ・・・
ルフィを抱えなおし、急いで船に向かおうとしたとき、
何か何処かで聞いたことのあるものが聞こえ、
辺りを見渡すと、随分離れた場所に佇むウソップの姿。
「・・・ウソップ?」
「・・お前等が無茶しやがるがらっ・・・でも・・おれ・・っ・・・」
「・・・・・ったく、お前が一番無茶してんじゃねぇかよ。」
「サンジ・・・・・」
「いいから、お前こっち来い。」
「・・・・はい。」
抱えていたルフィをウソップに渡す。
だが、重みに耐え切れず、膝がブルブルしている。
「・・・・・使えねぇ。」
「ずびばぜんっっっっ!!!!!!」
遠くからゾロの声が聞こえた。
「ゾローー急いでくれっっ!!!!!」
ゾロにルフィを抱えてもらい、ウソップはトボトボとその後に続いた。
チョッパーにルフィを預けたゾロがまた引き返す。
その手にはぬるま湯。
「平気か?」
「大したことねぇよ。」
「よし、戻るぞ。」
「おんぶ。」
「・・・・・は?」
「おんぶ。」
「・・・・・。」
「おっ優し~い。」
「落とすぞ。」
「ぅおいっ!!!!!」
「・・・ぐぇっ!!!首っくびっっっ」
「あっはははは」
ゾロにおぶわれ船へ向かう。
遠くでルフィの復活の声がする。
「良かった・・・・」
「当然だろ。」
「おれ・・・・何も・・」
「お前は悪かねぇ、」
「・・・犠牲なんかにさせるかと思ったのによ、結局・・」
「おれが残ってても同じだろうよ。」
「・・・・さんきゅ。」
あの時、俺があれを拾わずにいたら…
違う未来が待っていたんだろうか?
幸せな日々が続いたんだろうか?
それは違うと思うんだ。
だってこれは俺の運命で、宿命。
変えることの出来ない導―――
「飯だってよ。」
「・・・ったく、あいつは。」
「コックは忙しいな。」
「まったくだ。」