DISC0RD
―Ⅲ―
ロングリングロングランドを出発した麦わらの一味が辿り着いたのは水の都ウォーターセブン。
到着してすぐ、クルー達はそれぞれ別行動となった。
ナミ、ウソップ、ルフィは換金し造船所へ。
チョッパーとロビンは市街へ。ゾロは船番となった。
「寂しくないかい?」
「・・・てめぇなぁ。」
「寝てねぇで、しっかり船番しろよ?」
「・・・。」
寝る体勢になりながら手を振る。
確実に寝るんじゃねぇか・・・と思うが、信用があるので大して心配はない。
「じゃっ行ってくる。」
「・・・・おー。」
「・・・・。」
目を閉じて今にもいびきをかきだすんじゃないかというゾロのおでこにキスをする。
驚いて目を開けるゾロに向かってニィッと笑う。
「んじゃな。」
「・・・さっさと行け。」
「へーーーい。」
今度こそサンジは船を下りる。
向かう先は市場・・ではなく、何処か一人になれる場所。
適当な店に入り、青キジの置いていったあの紙の束を取り出す。
その紙の束の厚みにどこか信憑性を感じずにはいられない。
サンジは緊張しつつ、書かれた文字を読み始めた。
その頃、船では敵襲を受け、
ロビンが姿を消し、大事な2億ベリーが盗まれていた―――
サンジが覚束ない足取りで戻ると、ウソップがボロボロになっていた。
それを見た瞬間、足がしっかり地に着くような感覚が戻る。
先程まで襲っていた恐怖が怒りで消えていく。
誰よりもメリーを直してやりたいと願っていたウソップ。
奪われたお金を取り戻そうと一人乗り込んでいったウソップ。
そんなウソップをこんな姿にした奴等を許せるわがない―――
それはサンジだけでなく、ルフィ、ゾロも同じ気持ちだった。
奪っていった奴等のアジトに襲い掛かるが、時既に遅かった。
奪われた2億ベリーはその場にはもう無かったのだ。
納得いかない気持ちを抱え、船に戻るが、
そこでさらに信じたくない事実を知らされる。
メリーがもう直らない―――
ウソップが船を降りた。
誰も止められなかった。
ウソップ以外のクルー達が荷物を持ち、船を後にする。
泣き続けるチョッパーをサンジは抱きしめ、
その小さな背中を撫で続けた。
宿をとり、それぞれ部屋へ散る。
チョッパーはまだ泣き続けているのでゾロとサンジの部屋に留まった。
「チョッパー、大丈夫だ。絶対に戻って来るから。」
「ぅぅ・・っ・・・ほんとか?」
「あぁ、本当だ。」
「・・・・・ウソップ・・ぅ・・」
「よしよし・・・」
「お前、食料調達に行ったんじゃねぇのか?」
「・・・あぁ、下見してきた。」
「下見?」
「そう、下見。ところでロビンちゃんは・・」
「知らねぇよ。」
「・・・・探さねぇとな。ゾロ、チョッパー頼む。」
「・・お前、顔色悪いぞ。」
「・・・・・・平気だ。」
「おいっ――
ゾロが呼び止めようとするが、
サンジはロビンを探しに行ってしまった。
ポスンとチョッパーがゾロに抱きつく。
「なぁ、ゾロも戻ってくると思うか?」
「・・・・あぁ。」
「ほんとか?」
「あいつにはおれ達が必要だ。」
「そう・・か・・。」
くてりと体重がかかる。
ゾロの言葉に安心したチョッパーは泣き疲れたのだろう、眠ってしまった。
眠ったチョッパーをベッドに寝かせる。
その横に腰掛、ゾロも祈る。
ウソップ戻って来い―――