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こらぼでほすと 夏休み1.5

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「ははは・・・・俺は毎日、刹那といちゃいちゃしてるから、今更、改まってデートする必要はねぇーんじゃね? 」

「・・・そういうもんかなあ。」

 ぱくぱくとスイカを平らげている面々を眺めながら、ニールは相槌をうっている。日の長い夏とはいえ、すでに、とっぷりと日が暮れている。ライルの食事が終わる頃に、来客があった。マーズとヘルベルトの護衛組だ。

「カガリ姫、迎えに来たぞ。」

「おう、じゃあ行こうか? フェルト。」

 ラクスの本宅に泊まることになっているから、ラクスが戻ったから迎えに来てくれたらしい。

「お疲れ様です、マーズさん、ヘルベルトさん。冷たいものでもいかがですか? 」

「いや、今日は遠慮しとく。」

「明日、こっちから迎えに来るから、勝手にエアポートへ行くなよ? 」

「そう慌てるわけでもないんだ。麦茶を飲むぐらいの時間はあるぞ? マーズ、ヘルベルト。」

 カガリとフェルトは自分たちの食べ終わった食器を台所へ下げている最中だ。

「そうも言ってられんだろ? カガリ姫。ラクス様がお待ちかねだ。」

「そうそう、早く戻らないとな。・・・・・それからな、ママ。明日は四時ぐらいに迎えが来るんで、それまでのんびりしててくれ。」

「四時? 」

 もっと早い時間だと思っていたので、ニールは聞き返す。夜半に出航といっても、準備やチェックやらと、いろいろあるから午後一番には出ると思っていたのだ。

「ああ、オーヴからの出航だから、なるべく人目のない時間になるんだ。」

 正式にオーバーホールの依頼をしているので問題はないのだが、歌姫様の艦なので、プレス陣が煩いから、そういうことになっている。視界に捉えられる時間は避けるのが基本だ。さらに、今回は、刹那たちも乗り込むので時間を遅らせた。

「ニール、カレーうどんは絶品だった。じゃあ、フェルトは借りてくぞ。おまえたち、またな。」

 カガリは、これで、明日はマイスター組と会うことはないので、挨拶した。とはいっても、大袈裟ではなく、さらりとしたものだ。今後も、組織が継続するとなれば、オーヴも陰ながら、それには力を貸すつもりだ。世界が平和になるために、必要であるなら武力行使もやってくれ、と、思っているから、これからも会う機会はある。それに、フェルトは友人だ。これからも、その付き合いは続いていく。



 いってきまーす、と、フェルトも出て行ってしまうと、ちょっと沈黙した。さすがに、五人だけなんていうのは、ないことだ。

「お風呂沸かすね。」

 アレルヤが、とりあえず動き出すと、刹那も布団を敷く、と、客間のほうに動く。ティエリアは、ニールの片付けを手伝うつもりで、自分の皿を台所へ運んでいく。

「口直しは、ラッシーとアイスティーがあるけど? 」

 食べ終わったライルに声をかけると、「ラッシー」 という返事なので、そちらを用意する。その間に、ティエリアがライルの前に仁王立ちして、「はこぶにゃ。」 と、食べ終わった食器を指差した。

「はいはい、小さくなっても教官殿は厳しいな。」

 命じられて、ライルも自分の食器を運ぶ。それと入れ替えるようにニールがラッシーを差し出す。

「洗い物なら手伝うぜ。」

「いや、とりあえず一服しろ。・・・・なあ、ライル。風呂上りにビールでも飲まないか? ギネスがあるんだ。」

「いいな、付き合う。」

 とってもではないが眠れそうにないので、強制的に眠れる方法を、ニールは自分で用意した。ぐっすりと寝て、明日は笑って送り出してやらないといけない。自分は、まだ一緒に働ける状態ではないのだから、寺の女房をやるしかないからだ。

 

 全部の後片付けをして、順々に風呂に入る。そして、上がったものから、これまた順々に冷蔵庫から飲み物を取り出して寛ぐ。居間はクーラーが効いているので、風呂上りでも暑いことはないが、やはり水分補給は必要だ。

「くーーっっ、この一杯が染みるなあ。」

 ライルが、ビールを一気飲みして、ぷはーっと息を吐く。傍で、アレルヤに麦茶を飲ませてもらっていたティエリアが、「おやじくちゃいにゃ。」 と、じろりと睨む。

「えーえー、俺は、もう三十路で親父ですよ。」

「にーりゅはおやじくちゃくにゃい。」

「ぬぁーに言ってるんだよ、可愛い教官殿。あれは、おばさん。」

「にゃにをいうにゃっっ。」

 てとてととライルの元へ走り寄ってティエリアは、びしっと蹴りを見舞う。まあ、身体が小さいので威力もないから、ライルもヘラヘラと笑っている。だが、これがイノベーター様となると、強烈だ。どすっと頭に手刀が入ると、ライルでも転がる。ちょうど、風呂から上がってきたらしい。

「俺のおかんを侮辱するな。あれは、おばさんではない。」

「なんで、余計なことを言うんだろうね、ライルは。」

「身体三十路で、頭の中身は、十代なんだろ? あほライル。」

 加勢するように、アレルヤとハレルヤも毒づくが、暴力までは発展しない。刹那も一発で終わると、冷蔵庫からスポーツ飲料を取り出して、ごくごくと飲んでいる。

「刹那、きみの荷物はどうするつもりだい? 半分持って帰るんだろ? 」

 今回、一番の荷物は刹那だ。重量は軽いが、箱物だからかさばる。あれを積んで人間も積むとなると、一台では乗り切れない。

「朝からクルマを返しに行って来るから、ついでに、あちらへ運んでおく。おまえのも、そうするか? ティエリア。」

「しょうだにゃ。」

 身一つで降りてきたから、他は、これといって大きなものはない。それを考えていて、ああ、そうか、と、アレルヤはポンと手を叩く。

「どうした? アレルヤ。」

「なんか物足りないと思ってたんだけど、買出しがなかったからなんだね。」

 以前は、休暇で降りると、クルーたちの個人的な買い物を頼まれることがよくあった。だいたいは、戦術予報士の酒とか酒とか酒とか、クリスの化粧品なんてものが主だったが、ラッセのプロテインとか、リヒティーの雑誌とか、まあ、そういうものだ。細々としているし、数も多くないので、休暇で降りる人間が買ってきていたのだ。この任務は、刹那はしてくれないので、概ね、アレルヤとニールの担当になっていた。

「ねぇ、刹那。僕らもニールもいなくて、買出しはどうしてたの? 」

 四年前、アレルヤたちは捕縛されてしまったし、ニールは地上で療養していたから、その買出しはできなかった。他にやってくれそうなメンバーは、トレミーにはない。

「俺は、おまえをロストしてから組織から外れていたので知らない。」

「おりぃとふぁりゅとでやっていちゃじょ、ありぃりゅら。」

 ニールの看病も兼ねて、地上へ降下していたのは、フェルトとティエリアだったから、もれなく、その仕事も押し付けられた。とは言っても、このふたりでできない買い物もあるし、売っている場所もわからないから、実際は、買出しメモをニールに渡して、用意してもらうという子供のおつかいクラスではあったが。

「しゅめりゃぎ・り・のりえぐわはとちゅうでおりちゃから、しゃけはなくなったんでらくだったにゃ。」