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最高総司令官
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海賊戦隊インフィニット・ストラトス

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セシリアの余りにも正しすぎる正論に対して、全員が「うっ」と呻る。確かに、男子だから・珍しいからといった理由で選出するのは、あまりにもおかしすぎる。

それを見かねてか、イチカがすくっと立ち上がった。


「ふん。まどろっこしい事は無しだ。正々堂々ハンデ無しでぶつかれば実力もわかるってもんだろ」


イチカがそういった瞬間、クラス中で大爆笑が起きた。


「マ、マーベラス君!そ、それ本気で言ってるの!?」


「男が強かった時代なんてもう何年も前の話だよ!?」


どうやら彼女達は『男=弱い』という方程式を本気にしているらしい。


「はぁ・・・・・。しz『ガァアン!!』かに・・・?」


千冬は今の世の中では当然の事であり、自分がこんな世界に変えてしまった事を内心悔やみながら、それを表にだすことなく、他の生徒を鎮めようとした。しかし、目のハイライトを消した真耶が、イチカと弾が持つゴーカイガンと同型のゴーカイガンをぶっ放した方が先だった。


シュゥゥゥゥゥ・・・・・


「クスクスクス・・・、誰ですか?今マーベラスさんを笑った野郎は・・・」


「「「ヒィッ!?」」」


真耶はクスクス笑いをしながら銃口から煙の出るゴーカイガンを生徒達の方へと向ける。


「ストップだ真耶。これ以上はやめとけ。それにガレオンの中じゃいざ知らず、此処じゃお前は教師だろ?ちゃんと授業をしような。わかったか?」


「マーベラスさん・・・、はい。わかりました。織斑先生、授業を始めてください」


「あ、あぁ・・・。わかった。いつまでぼぅっとしているお前達!!授業を始めるぞ!!」


流石に見かねたイチカは、ゴーカイガンを下に降ろさせて真耶を宥めた。そして千冬は突然の真耶の豹変に驚きながらも号令を発して、授業を再開させた。


~食堂~


「お兄ぃ、マーベラスさん、大丈夫ですか?」


「ん、心配ありがとう蘭。俺は大丈夫だ。問題は弾の方だ」


「・・・・・・・・」


シュゥゥゥゥゥ・・・・・


「あ~、確かに」


昼休みになり、イチカ、蘭、弾の三人は食堂で昼食を摂っていた。正確にいえば弾は頭から煙を上げて机に突っ伏しており、蘭は苦笑い、イチカは『鳥頭でもわかる!IS基礎知識!!(著:餡九《アンク》)』というタイトルの本を熟読しながら、カレーを食べていた。

ちなみに三人のメニューは、

蘭→きつねうどん

弾→和風ハンバーグ定食

イチカ→かつ丼&カレーライス大盛り

といった感じである。なお、弾と蘭の方は完食している。


「でもよ~、イチカは大丈夫なのかよ~」


「これ読めば何とかなる」


そう言ってイチカは懐から小説サイズの本を取り出し、弾に渡す。


「ん~?『これっぽっちのIS知識で大丈夫か?大丈夫だ問題ない』・・・なんだこのフラグ的な本は」


「題名の通り本自体は薄いが、要点をきちっと捉えてる。それに著者欄見てみろ」


「ん?」


イチカに言われて弾が著者欄をみるとそこには『著:早川裕作』と書かれていた。


「これ書いたの裕作さん!?このネーミングセンスは明らかに裕作さんのじゃないだろ!?」


「話聞いたら健太さんがつけたらしい」


「・・・・成程、健太さんなら納得だ」


弾はふーっと溜息を吐き、その小説を物珍しげに眺めながら、蘭は何かをメモするようにペンを手帳に走らせ、イチカはいつの間にか完食した食後の緑茶を啜っていた。


「ちょっといいか?」


「ん?・・・お前、箒か」


「あぁ、久し振りだな。一夏」


箒と呼ばれた少女は少しだけ笑って返す。彼女の名前は『篠ノ之 箒《しののの ほうき》』という。一夏が誘拐される前に知り合いだった少女である。


「・・・ここじゃまずい。場所変えるぜ箒。弾、蘭。教室でな」


「ちょい待てマーベラス。ほれ」


ヒュッ


「ん?おっと!さんきゅ!」


弾はイチカを引きとめると、懐から分厚い携帯電話を取り出してイチカに向かって放り投げる。イチカはそれを危なっかしげに受け止めると、弾にお礼を言って場所を変える為に歩を進めた。


~屋上~


「久し振りだな。大体6年ぶりか?」


「あ、あぁ・・・」


イチカの質問に対して上の空のような返答を返す箒は、内心困っていた。彼女はイチカを見つけてすぐに声を掛けようとしたが、セシリアと名乗る淑女(笑)が邪魔をして話しかけられず、ようやく話し掛けて屋上に連れ出したものの、いざ話すとなると頭が真っ白になって、何を話して良いか分からなくなってしまったのだ。

そんな箒の心境を悟ったのかどうかは分からないが、イチカが助け舟を出した。


「そういや、この間剣道の世界大会で優勝したんだってな。おめでとう」


「な!?な、何で知ってるんだ!!」


「何でって・・・、新聞で読んだからに決まってんだろ」


「何で新聞なんか読んでるんだ!!」


「そんな無茶苦茶な。大体海賊たる者『情報は常に最新のものを仕入れろ』だからな。必然的に新聞は読むんだ」


イチカは胸を張って言うが、箒にはその『海賊』という言葉が引っかかった。


「一夏、その海賊というのは何だ?」


「あ?そのまんまの意味だ。俺は12の時に海賊に鍛えてもらってな。それで今は俺自身も海賊をやってるんだ」


「海賊!?」


これには余り動揺しない(笑)箒でも流石に驚いた。というよりこのご時勢、海軍にもISを使って船を守ったりしているため、正直この世界には海賊が存在していないのだ。


「おっ、予鈴なったからそろそろ教室いくか。戻ろうぜ箒」


「え?あ、あぁ(変わったな、一夏は・・・・)」


そう言ってスタコラと戻ってしまう幼馴染を見て、箒は何処となく悲しいような寂しいような感情を抱いた。


~放課後・職員室~


「さて、俺は何を話せばいいんだ?」


放課後、イチカは千冬に言われたとおりに職員室に来ていた。といっても、他の者達にこの話は聞かせられないということで、他の者達からは見えない兼聞こえない、職員室の端っこだが。


「・・・・・数年前に家から出て行った後のことを話してもらいたい。手紙には『これ以上迷惑を掛けられないから出て行く』としか書かれていなかった。だから、その後の事を聞かせて欲しい」


「・・・・・分かった。ただし俺が話せるようなことだけになるがな」


そう言ってイチカは自分の過去を話し始めた。


「俺は姉さんの下を離れた後、ある人物の下について修行や旅をしてた」


「修行?それにある人物とは・・・」


「修行はそのまんまの意味だ。その人の名前に関してはいえねぇ」


「そうか・・・・」


そのほかにも色々のことを聞いてきたが、イチカはそれらをはぐらかすか答えるかで往なしていた。そんな事を話していると、外が暗くなっているのにイチカが気づいた。


「・・・姉さん、今日はここまでにしないか?外も暗くなってきたし」


「む?そ、そうだな・・・(もっと一夏と話をしていたかったのに・・・)」


ブラコン千冬はイチカとの会話が終わってしまうのを心残りに思いながらも、千冬は立ち上が