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町内ライダー

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「怪盗……ねぇ」
「そいつが、大介のグリップを狙ってるんです。何か、色が被ってるとか、どう考えても販促上の数合わせで作劇上の存在意義が分からないとか、ゼクトルーパーにやられる位ヘタれるくせに美女とのロマンスがあるなんて許せないとか、意味の分からない事言って……」
 少女はゴンと名乗った。カリスマメークアップアーティスト、風間大介のアシスタントとして彼と行動を共にしているのだという。
 亜樹子が紅茶を出すと、丁寧にありがとうと言い、小さく頭を下げてから口を付けた。しっかり者のようだった。
 風間大介というメークアップアーティストの事を翔太郎は知らない。メイクなどあまり興味がないので、有名にも関わらず知らないのかと思ったが、ゴンによれば、業界の中では知る人ぞ知る有名人だが、目立つ事を嫌い、一般にはほぼ知名度がないのだという。
「……で。何で、盗みの相談で探偵なんだ? 警察に相談した方がいいんじゃないか?」
「だって、怪人二十面相と対決するのは明智小五郎じゃないですか」
「…………そりゃそうだがよ、それは物語の中の話であってだな……」
「君のハードボイルドだって、元は物語の中で描かれている話だろう?」
 事務所の壁の帽子を掛けてある場所は、隠し扉になっている。そこが開き、奥に閉じこもっていたフィリップが姿を現した。
「おいフィリップ、ハードボイルドは物語とかそういうんじゃなくて、男の生き様って奴だ、熱いハートなんだよ!」
「風間大介、その名前、実に興味深い」
「……? 何でだよ。今度はメイクについて検索するんじゃねえだろうな。この状況で関係ない事にハマられたら困るからやめてくれ」
 翔太郎はフィリップの呟きを聞いて、思い切り顔を顰め苦い顔をフィリップに向けたが、フィリップは翔太郎など眼中にないらしく、あらぬ方向を向いて楽しげに笑顔を作っていた。
「照井竜は未確認生命体対策班に配属されているんだったね。そして、風間大介。これは有り得ない、絶対に有り得ない事だよ」
「……? そりゃ、今の状況は有り得ないが」
「僕達に有り得ない事が起こったとして、何の不思議もないという事が分かった。翔太郎、その子の依頼、受けたまえ」
「は? 何でだよ」
 フィリップが一人で納得するのはいつもの事だが、因果関係も分からず依頼を受けろと言われても困る。
 フィリップが言うからには何らかの根拠があるのだろうとは思ったが、それが分からない。それに。
「ちょっと、フィリップ君、受けるかどうかは所長のこのあたしが決めるのよ。勝手に決めない!」
 そう。亜樹子が金にならない依頼を受ける筈がない。
「お金……も、大介と相談します。それに、元から美しい所長さんを、大介の超絶メイクアップ技術で絶世の美女に変身させる、っていうおまけ付きだったらどうですか?」
「絶世の……美女…………。うん、それならまぁ、受けてあげても、いい、かな? ……ね?」
「……ちっ」
 伺うように覗き込んできた亜樹子の顔を横目で見て、翔太郎は思わず舌打ちをした。
 メイクで美しく変身する、というのは女性共通の夢らしい。変身といっても仮面ライダーとは違い随分夢のある話だ。
 その顔で何が絶世の美女だよ、と心の中だけで毒づいて、翔太郎は、しょうがねぇな、と呟いた。
 手がかりが何もない以上、フィリップに何か目算があるのであれば、それに従うしかない。
「そうだ翔太郎、それから、ディケイドを探したまえ」
「ディケイド……って、あのピンクの?」
「そうだ。彼が恐らくは、全ての鍵を握っている。僕等が風都に帰る手がかりがあるかもしれない。そしてもう一つ。恐らく今回の事件には、仮面ライダーが関わっている」
 それを聞いて、翔太郎はフィリップが言っている事の意味が分からずに、きょとんと彼の顔を眺めた。
「……俺達と照井以外の、新しい仮面ライダーって事か?」
「そうとも言えるが、彼等は新しく仮面ライダーになったのではない、元から仮面ライダーである存在だ。説明してもいいが、ちょっと長くなるよ?」
「……ああもういい、分かった、帰ってきてからゆっくり聞く!」
 狙われているというのであれば、一刻も早く風間大介と合流すべきだろう。脇道に逸れてそちらに熱中してしまう事も多いフィリップの話を聞いている時間はなかった。
「行こうぜ。案内宜しく頼む」
「任せといて!」
 翔太郎が立ち上がり、帽子を一つ壁から外して被る。ゴンに続いて翔太郎は外に出て行った。
作品名:町内ライダー 作家名:パピコ