町内ライダー
結局、睦月の鍛錬は今まで通り橘が面倒を見る事となったので、結局は睦月の気まぐれに周囲が振り回されただけの形となった。
実際には睦月の名護に対する尊敬の念が気まぐれだったのかどうかは、時間が経ってみないと分からないが。
元の鞘に収まってめでたし、の筈だったが、何とも釈然としない。
剣崎にとって良かった事といえば、コーヒーの美味しい喫茶店が身近にあると知った事位だろうか。恵や渡と知り合って、顔を合わせると雑談などするようになったのも、良かった事といえばそうかもしれない。名護啓介と恵が夫婦というのはびっくりしたが。
とにかく、橘さんも元気になったし、まあいっか。
一つ息を吐いて、それで剣崎はこの件についての蟠りを忘れる事にした。
橘と睦月に、スポーツドリンクでも差し入れしよう。研究所を出ると空はよく晴れていた。