町内ライダー
「その大言壮語、いつまで続くか見物だな! どうせ貴様はあれこれと準備に時間を取られるだろうからな、三日の猶予をやろう。せいぜい無駄な策でも弄するがいい」
「その台詞はそっくりそのまま返してやる。三日でこの絶望的な発想がどうにかなるとでも夢でも見ていろ」
作務衣の男は眉も動かさないで静かに言い、矢車は彼を嘲笑うように期日を告げた。
――何か僕、いつの間にか巻き込まれてる……?
そう良太郎が気付いた時には遅かった。矢車はコーヒーの一杯も飲まないで店を後にしていた。
隣のスーツの青年が、両手を合わせてさかんに良太郎に頭を下げている。
律儀な人だなぁ、と思いながら、良太郎はどうやっても苦くなる笑顔を弱々しくスーツの青年に向けた。