ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第5部 後編
だが、シグナムの顔をみて、今の緊張が一気に吹っ飛んだ。
「もう、シグナムったら…」
「ははッ…すまない…シャマル…」
シグナムは攻撃が当たったのではなく、ただ単に力尽きてその場で寝っ転がっただけであった。
(すまない…映司…増援には行けそうもない…私の代わりに主はやてを守ってくれ…)
『家族との約束のためという欲望に…俺の…俺の欲望が負けているとでもいうのか!?』
「そうだよ…俺たち家族は…今、『約束』という欲望によって戦っているんだ!!その欲望は、どんな欲望に勝るものはない!!たった一つの道しるべなんだ!!」
オーズは再びアンジュに突っ込み、渾身の蹴りを放つ!!
『グオオオオォッ!!…ふざけるな…終焉という欲望が約束という欲望に負けるだとぉッ!?』
アンジュも負けじと電光弾を放った…が、威力は漠然と落ちていて、当たることもままならない。
アンジュはボロボロだった。
『もう良い…もう良いッ!!俺の…俺のすべてをかけたッ!!この一撃で、貴様たちの欲望を破壊しつくしてやるッ!!!!』
アンジュは腰のオーズドライバーからメダルを抜き取り、腕のユニスピナーにセットし、スキャンする!
『ユニコーン!ペガサス!ドラゴン!ギン!ギン!ギン!…メガスキャン!!』
『さあ、死ねぇ!オーズゥゥゥゥッ!!!!』
「はやてちゃん…みんな…アンク…!俺に、俺に最後の力をッ!!」
オーズは腰のオーズドライバーからメダルを抜き取り、タジャスピナーにセットし、オースキャナーでメダルをスキャンする!!
『タカ!クジャク!コンドル!ギン!ギン!ギン!…ギガスキャン!!』
オーズの周りには身体全体が覆いかぶさる炎がまとい、次第に不死鳥の形になっていった!!
「いくぞ、セイヤァァァァァァァァァァッ!!!!」
その瞬間、一角獣と不死鳥がぶつかりあった!!
『グオォォォォォォッ!!!!』
「ハァァァァァァァッ!!!!」
両者とも互角の勝負だった!
−…映司−
−映司ッ!!−
−映司くん!−
−映司ぃッ!!−
−映司くん…ッ!!−
−映司ぃぃぃぃッ!!!!−
みんなの…みんなの声が聞こえる…ッ!!!!
「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」
『ッ!?!?グオォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!!!!!!』
オーズの「マグナブレイズ」が勝ち、そのまま天高く飛んでいく!!
『クソォォォォォッ!!!!アァァァァァァァァァァァァッッ!!!!』
「はやてちゃんお願いぃぃぃッ!!!!」
上空では、はやて が渾身の一撃を決めるため、詠唱を唱えていた。
周りには無数の魔法陣が現れていた。
「皆…映司くん…皆がつなげてくれたこのチャンスは絶対無駄にせぇへんッ!!」
『はやてちゃん!きます!!』
「ッ!!」
下から炎の塊、オーズがこちらめがけて飛んできた!!
『はやてちゃん、いつでもOKですぅ!!』
「いくでぇッ!!」
その瞬間、はやて の前には巨大なベルカ式の魔法陣が現れ、高濃度の魔力が充満された!
「これで…これで決める!!」
次の瞬間、魔力の充満が頂点に達した!!
「響け、終焉の笛!ラグナロクッ!!」
ベルカ式の魔法陣の頂点から3つの異なる魔力砲が発射され、アンジュに目掛けて放たれる!!
「いまだッ!!」
オーズは当たる直前にアンジュから離れ、ラグナロクはアンジュに放射された!!
『まさか…まさか…俺に…終焉が…訪れるとは…』
アンジュの体内にあるすべてのメダルが一斉にひびが入る…
−じゃあな…映司…−
「ッ!!アンク!?」
その瞬間、アンジュは大爆発を起こし、すべての透明のコアメダルは粉々に砕け散った。
数え切れないほどのセルメダルが雨のように降り注がれ、その場からアンジュの気配は完全に消え去った。
「はぁ…はぁ…」
「だ…大丈夫かぁ…映司くん…」
二人は地上へと降下し、はやて はユニゾンを解いた。
オーズが降り立った瞬間、変身が解けた。
そして…持っていたすべてのコアメダルがいつのまにか消滅していた…。
「映司くん、変身が…」
「うん、最初からわかっていたよ…」
映司は空を見上げた。
ミッドチルダは救われた…それと同時に…大切なものを完全に失ってしまった…。
「映司くん…」
はやて は後ろから映司を抱きしめた…
「は、はやてちゃんッ!!」
リィンフォースⅡは場の空気を読み、二人の正反対の方向へと身体を向けた。
「私にはなにがあったのかよくわからへん…だけど…頼むからそんな辛い顔で泣かないでくれな…」
「え…!?…あ…」
映司は声も出さず、悲痛な表情を浮かべ涙を止めることなく流していた。
アンク…
ごめんな…
「あん?これはどういうことだ?」
ッ!!!!
三人は急いで声がした方向へ振り向く!
なんとそこには…
「なぜだ?透明のコアメダルは完全に砕けたのに、なぜ俺は実態を保っているんだ?」
赤いパンツ…黒いジャケット…
「だ、誰やッ!?」
「こわいですぅはやてちゃぁん!!」
金髪で…異径な形をした「赤い腕」…
「あ…ア…」
「よぉ、映司。」
「アンクぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!!」
映司はアンクの元へと走り、飛びかかった!
「おい!いきなり何するんだ映司!!離れやがれ!!!!」
「アンクぅぅぅぅぅぅ…あぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
映司は嬉しくてたまらず大泣きしてしまった。
ずっと探していた腕と、ついに再開を果たすことができたのだ…!!
「はやてちゃ~ん…」
「大丈夫やで、リィン」
はやて の後ろに隠れているリィンフォースⅡを撫でながらアンクと映司のもとへ近づいていく。
「あなたが映司くんの言っていたアンクか?」
「あん?お前…たしかずっと映司のそばにいた女か?」
「そや、私の名前は 八神 はやて ていうんや、よろしくな!」
はやて は握手をしようとした。
…しかしアンクはそのままそっぽをむいた。
「ふん!別にどうだっていい…」
はやて はガクッっと体を崩し、頬を引きつった。
(確かに…映司くんの言っていた通り…とっつきにくい奴やなぁ…)
「は、はやてちゃんを困らせないでくださいぃ!!」
リィンフォースⅡが はやて の肩から身を出し、恐れながらもアンクに起こった。
「なんだ?このチビは…」
作品名:ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第5部 後編 作家名:a-o-w