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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第7部

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どうりで見かけない顔だったわけだ。


「そんなことより…ほら!これやるよ!!」


はやて は翔から袋に入った何かを受け取った。
それは、普通のサイズより少し大きめの「どら焼き」だった。


「このデパートで一日300個しか売られない貴重などら焼きなんだ!もちろん味も格別なんだぜ!!」

「す、すごいなぁ、てか翔くんこの街来てから数日しか滞在していないってのに、なんでそんなことまでわかってるんや!?」

「翔ちゃんって何かを調べるの凄い上手いんだよ!!」

「お、おいメガネ!あまり余計なこというなよ!!…ま、まぁとりあえず、それが俺たちからのお詫びの印ってやつだ!はやて に一個やるよ!!」

「あ、ありがとな!翔くん、メガネくん!!」


はやて は二人の気持ちが嬉しく、たまらずそのどら焼きをお構いなしに食べ始めた。
そのどら焼きはとにかく甘く、どら焼き好きには一度は食べてもらいたいと思えてしまうほど美味しかった。


「っ!、美味しい…」

「な!だろ?」


翔は はやて にニカッと笑った。
それにつられて はやて も自然と笑顔になった。








−−−



「遅い…遅すぎる…」

「シグナムさん、顔怖いよ…」


映司達は今だに喫茶店に滞在していた。
居座り初めてもう3時間…
さすがにこの人数だと店に迷惑ではないかと映司は感じ始めた。
しかし帰ろうとすると…

 
主はやて を置いて先に帰る騎士がどこにいる!?この愚か者!!


…と、シグナムに怒られてしまい、仕方なく今も滞在し続けていた。


「ごめんね、映司くん。シグナムったらたまに過保護になりすぎるところがあるのよ」

「まぁ本人には何も悪気はねぇんだ、許してやってくれ、映司」

「うん。シグナムさんもそれだけ はやてちゃんが大切ってことだし、もうちょっと待ってみようか!」









しかし…その時だった…。





「………?」

ザフィーラが何かを感じた。


ザフィーラが椅子から立ち、デパートの方向を見た。
そこには…


「…ッ!!おい、お前たち!!」


ザフィーラが珍しく慌てた口調で映司達を呼んだ。


「どうしたんですか?ザフィーラさ…ッ!!う、嘘、火事ッ!?」


映司の目に映ったのは、デパートの一箇所から火が立ち上っていて、黒い煙を止めることなく流れ続けていた。





−おいおい、あれちょっとヤバくない!?−

−う、うそ!?あれ本物!?−

−おい!だれか早く警察と消防車よべ!!−



周りにいた人たちが次第にそれにきづいていった。
火はかなり早いスピードで広がっていった!!


「おい!マジかよ!?まだ中に はやて がいるんだぞ!?」


ヴィータは慌て始め、懐からデバイスモードのグラーフアイゼン を取り出した。


「ま、待て!ヴィータ!!ここで騎士甲冑を纏うのはマズイ!!」

「なんでだよ、シグナム!!…あ…」


ヴィータは周りを眺めた。
店の中どころか、外も既にパニック状態だったのだ。

人前で変身は流石にマズい。
だからといってこのままではいられない!!

「とりあえず、誰もいないところで…ってあれ!?映司くんは!?」

「なに!?…火野!?」


シグナムは辺りを見回した。
その場に映司の姿はすでになかったのだ。

映司は…











「はやてちゃ~んッ!!!!」

既にデパートへと猛ダッシュでむかっていた!
そこから逃げようとする人盛りの波に刃向かいながら、無理やり進んでいった!

「痛たッ、すみません!!…はぁ…はぁ…、マズイな、はやてちゃん車椅子だから絶対逃げ遅れてるに違いない!!待ってて!!はやてちゃん!!」






その頃、屋上では…


−嘘!?火事なの!?−

−あぁ!俺たちも早く逃げよう!!−





「な、なんや!?火事なんかぁ!?」

「いや!どうやら本当らしいぜ!!」


翔がある方向へ指を刺した。
その方向にはドス黒い煙を絶えず流れ出ていた!!

「ど、どうしよう翔ちゃん!早く逃げないと!!」

「あぁ、そうだな!!はやて、しっかり捕まってろよ!!」

「え!?あぁ、頼むわ!!」


翔は はやて の車椅子を押しながら急いでその場から逃げていった!
エレベーターは案の定使えず、
幸い途中に階段があり、翔とメガネが協力し、なんとか2階まで降りることに成功した。

しかし完全に3人は逃げ遅れてしまい、肉眼で火の手が見えるほどまわっていた。


「翔ちゃん!火がもうすぐこっちまで来ちゃうよ!!」

「大丈夫だ!あともう少しの辛抱だ!!」


3人は最後の階段を降りようとした。
しかし…!


「ッ!!危ない!!」

「え?きゃぁぁっ!」

「うわぁぁぁッ!!!!」


突然3人の頭上から天井が落ちてきた!!
なんとかよけることができたが、階段側にメガネ一人が残されてしまった。

「おい、メガネ!!大丈夫か!?」

「う、うん!!僕は大丈夫!!こっちから降りられるよ!!」


「そうか…、ということは」

「マズいのは…私達のほうか…」


はやて達の目の前にある階段はがれきが邪魔してもう行くことが出来ない。


「メガネ!!お前は先にここから脱出して誰か助けを呼んできてくれ!!頼む!!」

「で、でも翔ちゃんと はやてちゃん は…!!」

「メガネくん!!私達なら大丈夫や!!とにかく早く逃げるんやぁ!!」

「…!!わ、わかった!!」


かすかに走っていく音が聞こえた。
おそらくメガネが助けを呼びに行ったのだろう。


「さて、翔くん。どうする?」

「えっと…たしかこの逆方向にもう一つ階段があったような気がしたんだ。でも…」


翔はその方向をみた。

…そこは既に火の手が回ろうとしていた。


「一発の掛けだけど…、はやて、大丈夫か?」


翔は はやて を見た。
はやて は親指をだし、ただ「大丈夫や」と笑顔で答えた。


「よし……なら、いくぞ!!!!」

「おう!!」


翔は必死に車椅子を押しながらもう一つの階段の方向へと走った!!
途中からやたらと息が切れかける。

火に酸素をもっていかれている証拠だ。


翔は目が霞みながらスピードを殺さずただ走り続けた。




「はぁ…はぁ…あと…ちょっと!!」


階段まであと数メートルという距離だった。

「えッ…うわぁ!!」

「ッ!!翔くん!?」


だがその瞬間、翔はつまづき、転んでしまった。
立とうとするが、派手に転んだためなかなか立つことができない。

「翔くん!…ぐぬぬ…」

「おい、はやて!!」


はやて は身体を下げ、翔の手をつかみ、もう一つの手でなんとか階段まで引きずった。


「へへ…サンキュ…」

「もう…こんな時に…」










−チリリリリリリリリィィィィッ!!!!−

『ッ!!』


突然その場でベルの音が鳴り響いた。
そして はやて 達の真上からいきなりシャッターが降りてきた!

ちょうど翔は階段側に、はやて は店内側にいた。


「あ、あかん。急いで中に…ッ!!」

はやて は冷や汗をかいた…。