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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第11部 前編

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「うん、皆からよく言われるんだ!」





そうだ、こうすれば今でも掴める。
たとえ感じられなくても、俺たちは『見えない手』で繋がっている。


前に自分で言ったくせに忘れてたよ…。







それに、俺には力が無くなった訳じゃない。



今までアンク、それに伊達さんや後藤さん達と長い間ずっと戦ってきたじゃないか。





俺の身体には、長い戦いの記憶がきっと覚えている。








そうだ!





俺は、まだ戦える!!











………





「…帰ったぞ…」


アンクは誰にも聞き取れない小さな声でハラオウン家に帰宅した。
その瞬間、リビングから一人の少女がドタドタと走ってきた。


「お帰り!アンク!!」

「…おいガキ、なんで俺が帰ってきたとわかったんだ?」

「えっなんでって…なんとなくかな?」

「お前…最近ストーカーになってないか?」

「そっ!そんなことないよ!!」


そのまま二人はリビングへと移動し、そこにはクロノ達と なのは とユーノがいた。
クロノには「今までどこにいたんだ!?」…と怒られたがアンクは気にすることなく無視した。

「あ、アンクさん!ユーノ君とアイス買ってきたから一緒に食べよう!」

「あぁ、悪いな」


アンクは冷凍庫からアイスキャンディを取り出し、そのままベランダへ移動した。
フェイトはすかさずその後を追った。


「おいガキ、風邪ひくぞ?」

「うぅん、大丈夫」

「ったく、なんでお前は俺の後を追うんだ?鶏のヒナか…お前は」

「だって、今日アンクとあまり一緒にいられなかったし…」


鳥の『ヒナ』で一瞬思い出した…。


あいつ、俺があの男の身体を奪っていたとき…
一体どんな気持ちで毎日生活していたんだ?


「おい、ガキ」

「なに、アンク?」







「もしも…俺が恐ろしい怪物に身体を乗っ取られたとする…」

「うん」

「その怪物は自分の野望の為、どういう訳かお前と一緒に生活することになった」

「うん」

「見た目は俺なのに…性格や考え方は俺とは全く違った」

「うん」

「ガキ…お前はその時…







俺に対して、どんな気持ちになる?」

















「すっごく、辛いよ」




アンクは少し、驚いた。
答えはなんとなくわかっていたが、フェイトの口から出た言葉の意味、重さを感じ取り、なにも言葉が出なかった。


「アンクなのに…アンクじゃない。私の好きなアンクが目の前にいるのに…中身は全然別。…思いを伝えたくても、目の前にいる人物はアンクじゃない…辛すぎて、一日一日を過ごすことなんて…できないよ」





「そうか…」








あいつには、悪いことしちまったな。







アンクはアイスキャンディを舐めきり、フェイトに自分のジャケットを着せてあげた。

「えっ、アンク?」

「寒いんだろ、足震えているのバレバレだぞ」

「あっ…」

「ほら、中に入るぞ」

「…う、うん」


二人はマンションの中に入った。

その時、アンクがなにげない気持ちでテーブルに目を移すと、
そこには奉仕に包まれた2つのプレゼント箱が置かれてあった。


「ガキ、これはなんだ?」

「これ?今度 はやて にあげるプレゼントだよ。この前なのは と一緒に買いに行ったんだ」

「はやて?…待て、はやてって今入院している女のことか!?」

「うん、そうだけど…なんでアンクが知っているの?」

「いや…なんでもねぇ…」



タイミング悪いな…。

まぁ、何も起こらなければいいがな…。






………


12月24日


あれからまた時間が経った。
はやてちゃんの麻痺は石田先生が言った通り、進行の速度が一気に落ち着いた。
とりあえず、余命6日という方程式は崩れ去ったようだ。

これは、不幸中の幸いというべきなのだろうか?

はやてちゃんは毎日辛い検査や治療を受けていたけれども、
俺の前では一度も辛い表情を見せたことはなかった。

本当に強い子なんだね、はやてちゃん。


結局、シグナムさん達は俺たちの前には一度も姿を現すことなく、クリスマス・イブを迎えてしまった。
明日はクリスマスなのに…覚えているのかな、皆。




「はぁ…まだ一安心とは言えないけれども…問題は歴史の修正力か…」


映司は病院の廊下を歩いていた。
天井を見ながら、3日前にアンクに言われた歴史の修正力の件で悩んでいた。


「今日は石田先生か…、俺の苗字、忘れられてたな…はやてちゃん達も、そのうち俺の事忘れていくんだな…」


アンクの予測で行けば、自分達がこの世界から消えるのはあと2日、12月26日である。
クリスマスを迎えた次の日に自分が消滅してしまうなんて、なんとも皮肉な話だろうか…。

歴史の修正力は、その速度を遅める事無く、進んでいた。
この病院の看護師や職員からは完全に自分の存在を忘れられていた。さらに、石田先生からも自分の苗字が忘れられ、改めて自分が消滅していく恐怖心を体感した。


「…でも!まだ 皆から忘れられたわけじゃないし、まだくじけるのは 早すぎ『そうか!良かったな、はやて!!』…て、この声…」


映司の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
その声は はやて の病室から放たれていた。

映司は走り、思わず病室のドアをおもいきり開けてしまった。


「お、映司じゃねぇか!!」

「あら映司くん!久しぶり」

「…火野か」

「久しぶりだな、火野」


「映司さん!やっと皆帰ってきたで!!」

映司の目に写っていたのは、最近全く顔を見せなかったヴォルケンリッターの4人が目の前に立っていた。


「シグナムさん、ヴィータちゃん、シャマルさん、ザフィーラさん…皆!!いつ帰っていたの!!?」


映司は居てもたってもおられず、ヴィータを掴み、思いきり自分の上へと持ち上げた。


「お、おい映司!!恥ずかしいから下ろせ!!!!」

「ははっ!本当に皆久しぶり!!元気にしてた?」

「わかった!わかったらとりあえず降ろせよ!この馬鹿!!」


映司はヴィータを地面へと降ろし、続いてシグナムの元へと駆け寄った。


「いやぁ、お久しぶりですねシグナムさん!あぁそうだ!おかえ『主はやて にはなにも異常はなかったか?』…え?」

「聞こえなかったか?主はやて にはなにも異常はなかったか?火野」

「え…は、はい特に…」

「そうか、ならよかった…ん、どうした火野」


映司にはなにか違和感を感じた。

なぜか、ここにいるシグナムは自分の知っているシグナムではない気がする…。
彼女の表情は、自然なものではなく、…まるで作りものみたいだった。

…久しぶりに見たからだろうか?



「あ、そうや映司さん!さっき石田先生が私のところにきてなぁ、このまま順調に行けば明日にも退院できるって!!」

「え?…あ、あぁ!そうなの!?よかったね!はやてちゃん!!」

「はぁ…久しぶりに はやて のご飯が食べれる!!」