ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第11部 中編
ザフィーラが横から突っ込んできた!!
オーズはなすすべが無く、そのまま身体で受け止めた!!
衝撃が凄まじく、胸のオーランサークルにヒビが入った!
「…貴様に何がわかる!!…たった少しの時間を共に過ごしただけで…我らがどのような気持ちで戦っているのか…貴様に何がわかるというのだぁぁぁぁッ!!!!」
「違いますッ!!俺は知っているんですッ!!!皆が、どれほど はやてちゃんを愛しているかッ!!!!だから…
ただ俺は護りたいだけなんですッ!!!!!もう、誰も失いたくないからッ!!!!!」
「もうやめろォォォォォォッ!!!!」
ヴィータが泣きながらオーズにグラーフアイゼンを降り下ろした!!
オーズは耐え切れず、膝を着いてしまった。
「いい加減倒れろよぉッ!!!!映司ぃ、もう倒れろよぉッ!!!!いつまで続ける気してるんだよぉぉぉッ!!!!」
「ッ!!ヴィータちゃ…」
「ッく、クソォォォォォッ!!!!」
ヴィータは何度もオーズを殴った!
しかしオーズは必死にそれに耐え、グラーフアイゼンを掴んだ。
「グぅぅぅぅぅ…ッセイヤァァァァッ!!!!」
「ッ!!あぁぁぁッ!!!」
オーズは無理やりヴィータを投げ飛ばした!
そしてオーズは立ったと思ったら、その場にいたシャマルとザフィーラ、そしてシグナムに向かって、再び地面に膝を尽き、頭を下げた。
「ッ!!」
「…火野…」
「………なんのつもりだ…」
そして、
次の瞬間、オーズの口から放たれた言葉に、
4人は…言葉を失ってしまった…。
「はやてちゃんは…、俺が…、俺が絶対に助けますッ!!!!だから…もう、やめてください…もう…俺は戦いたくない…」
オーズの悲痛な叫びがその場に響き渡った…。
「くぅ…う…うぅぅぅぅぅッ!!!!」
「…シャマル」
シャマルが耐え切れず、泣き出してしまった。
ザフィーラは戦意を喪失し、シャマルを優しく抱き寄せた…。
「お願いします…ッ!」
「…黙れ」
「お願いします…ッ!」
「…黙れ…黙れッ!!」
「お願いします…ッ!!!」
「黙れ黙れ…ッ!!!!」
「お願いしますッ!!!!」
「黙れぇぇぇぇッ!!!!」
次の瞬間、シグナムは土下座しているオーズの腹にキックを放ち、オーズはその場で悶え苦しんでしまった。感覚がないとはいえ、内蔵へのダメージはかなりのものだったらしい。
「…はぁ…はぁ…もう喋るな、火野ッ!!!!…何故だ…何故そこまでッ!!!!」
「『家族』だからッ!!!!」
「ッ!!!?あ…あぁ…」
オーズは倒れたままシグナムの足を掴み、無理やりその場に立った!
「ははっ…家族が…間違った道を…進んでしまったなら…それを…ゲホゲホっ…戻してあげるのが…家族の役目…っ!!…だから、俺は…シグナムさん達を…絶対助け…」
「あ…あぁ…うるさいッ!!もうやめろぉッ!!!!」
シグナムはオーズを突き放し、数歩分後ろへ下がった。
「レヴァンティンッ!!!!ロード…ロードカートリッジッ!!!!」
「シグナムッ!!もう止めてぇッ!!!!」
「シグナムッ!!」
シャマルとザフィーラの悲痛な叫びが響いた。
だが、シグナムには何も聞こえなかった。
「誰も…誰にも邪魔はさせないッ!!!!もう…もうあんな生活は嫌なのだッ!!!!…誰からにもただの物としか扱われずッ!!!!…殺したくもないのに沢山の人々を殺めッ!!!!もう…もう嫌なんだぁぁぁぁッ!!!!」
レヴァンティンに炎が纏い、オーズに走っていったッ!!!!
「やめろッ…やめてくれぇシグナムッ!!!!映司が…映司が死んじまうよぉぉぉぉッ!!!!」
「ごめんアンク…お前から貰った大切なセルメダル…ここで使わしてもらうよ…」
『タカ!クジャク!コンドル!ギン!ギン!ギン!…ギガスキャン!!』
「シグナムさん…あなたの思い…ッ!!俺が全部受け止めますッ!!!!」
「うぅぅぅ…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」
「シグナムさん…ッ!!セイヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!」
その瞬間、シグナムの「紫電一閃」、オーズの「マグナブレイズ」がぶつかりあった…。
「ッ!!…まさか…あの馬鹿ッ!!!」
「ど、どうしたのアンク?」
「おいお前等!!はやく行くぞッ!!!!」
「え、どういうことですか?アンクさん!」
「ちょ、ちょっと!!」
「なんや…今の音…
あれ?映司さん…どこや?
下の階かな?」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
その場には、シグナムが立っていた…。
オーズは、シグナムのすぐ目の前で倒れていた。
「ガハッ…はぁ…はぁ……行くぞ…皆…」
だが、ヴィータとシャマルとザフィーラは既に戦意を喪失しており、ずっとその場で座っているままだった。
「……はぁ…はぁ…そうか…わかった……私一人だけで行こう……」
シグナムは足を引きずりながら病院へと向かっていった…。
…その時だった。
「…ま……ま…だ…です…よ……」
「ッ!!え…」
「…火野…!?」
「…え、映司…?」
シグナムの歩が止まった。
「…もうやめろ…」
オーズは足を震わせ、過呼吸気味にその場に立ったのだ。
「…もういやだ…もう…勘弁してくれ…」
「………ま…まだ…」
「もう…止めろォォォォォォッ!!!!」
シグナムがレヴァンティンを構え、がむしゃらにオーズに向かい走った。
「………。」
オーズは何も構えず、両手を広げた。
もう、彼には戦意はなかったのだ。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」
雪が、止んだ…。
「…ははっ…最初から、…こうすれば…よかったんですね……」
「…な、なんで…」
「シグナムさんが…あの砂漠の世界で…俺にこうしてくれたみたいに…俺も…こうすればよかったんです…」
レヴァンティンはオーズの首元のすぐ手前に止まっていた。
シグナムは目を見開き、力が抜けたのかレヴァンティンを足元に落としてしまった。
その瞬間、シグナムの髪を縛っていた紐がちぎれ、美しい桃色の髪が広がった。
「…良かった…やっぱり心の奥底では…本当のシグナムさんが…存在していたんですね…」
「私…私は…」
オーズはベルトを水平にし、変身を解除した。
作品名:ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第11部 中編 作家名:a-o-w