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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第11部 中編

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「確かに…俺は消滅します…」

「だったら…」

「それでも!!俺たちはずっと繋がっています!!」


映司は拳に力を入れ、闇の書の意志に訴えかけた。
闇の書の意志はその勢いに身体を後ろへとのけぞらした。


「家族の絆って…そんな簡単に切れることはないんですよ!!だって…ちょっと前だって遠くにいってしまった本当のシグナムさんとまた通じ合うことができたし…皆だってそうです!!思いを必死に伝えてみたら…また、家族の絆を取り戻すことができたんです!!だから!!その場に存在するのが本当の家族ってわけじゃなくて!!!!姿見えなくてもッ!遠くに離れていてもッ!『絆』がつながっていればッ!!家族なんです!!!!」



絆が繋がっていれば…




家族?





…ッ!!!!

な、なんだと…?


どういうことだ!!?





闇の書の意志は今、目に写っている光景に衝撃を受けた。


映司が立っている、その周りには…










−お前、良くそんな恥ずかしいセリフすらすらと言えるな!−





「え…、ッ!!…ヴィータ…ちゃん?」


映司の隣りには、ヴィータが立っていた。

しかし、その姿に実体は無く、半透明な状態だった。



−だが、不思議なことに…火野の言葉は全て説得力がある−


「あ…シグナムさん!」


−…先ほどはすまなかったな火野…その…−


シグナムは実体がなかったが、映司に右手を差し伸べた。


−あぁ…すまない…私に触れることは…−

「いえ…そんなことありません」


映司は全く気にせず、シグナムの手を握る素振りをした。


「…触れなくても…俺はシグナムさんと繋がってます…。だって、こうやってまた話せるじゃないですか!!」

−ふふっ…そうだな…。私はお前と出会えて幸せだ…−








「おかしい…守護騎士システムはとっくに…」



−これが、家族の絆の力よ…闇の書…−

「ッ何!?」


闇の書の意志が後ろに振り返ると、そこにはシャマルとザフィーラが立っていた。


−我らは…大変な過ちを犯していた…。主に執着するあまり、周りが見えていなかった。…そのせいで、私達は『大切な家族』を傷つけていた…−

−そのことを映司君が教えてくれたの…。彼が私たちの欲望を断ち切ってくれたわ。…もし、映司君が家族じゃなかったら…今頃、あの子達とも戦っていたわね−


「蒼き狼…風の癒し手…」


−だから…今度はあなたの番よ…−

「…な、なんだと…?」

−…火野は、必ず受け入れてくれる…さぁ…本当の思いを伝えてみろ…−




その瞬間、シャマルとザフィーラは光の粒子となり、その場から消えていってしまった…





「私の…思い…」













−映司、頼みがあるんだ…−

「何?ヴィータちゃん」

−私達は…なにか重要な事を忘れている−


映司はヴィータの言葉の意味がわからず、少し困ってしまった。


「えっと…重要なことって?」

−あぁ…あいつのことだ−


ヴィータは闇の書の意志に指を刺した。


−あいつ…今は『闇の書』って言われてるけど…なんか…違うような気がするんだ−

「え?…ッ!」


そうか…


ヴィータちゃん達は「闇の書」の本当の名前を覚えていないんだ。


−火野、私もヴィータと同じだ。…昔は私達はそう呼んでいなかった…だが、思い出せないのだ…−

「シグナムさん……わかりました」


映司は決意を固め、目に力を入れた。


「俺が絶対、思い出させます!!だから、安心してください!!」


−ははッ!それでこそ映司だ!!−

−火野…私達の思い…必ず伝えてくれ…−


シグナムがそう言った瞬間、二人は光の粒子となり、消滅していってしまった。









「欲望の王…」



その時、闇の書の意志が映司の元へと歩いてきた。



「お前は…一体何者なんだ?なにか特殊な力を持った人間なのか?」

「えっと…俺は別にただの旅人で…定職とか持たなくて…特殊な力ってのはオーズの力だけであって…後は他の人と何も変わらないただの人間ですよ!」


闇の書の意志はまだ納得がいかなかったのか、困った表情で首をかしげた。


「ただの人間?…だが、主でもないただの人間が我が守護騎士たちとあそこまで繋がりことができるとは…正直信じられない」

「う~ん…本当にただの人間なんだけどなぁ…。あ!あと『ちょっとの小銭と明日のパンツがあれば生きていける』っていうことさっきの説明に付け足してください!特にパンツは重要ですからね!!」

「パンツ?…欲望の王、貴様…変態なのか?」

「ち、違いますよ!!…なんで皆わかってくれないのかなぁ…」





「…ふふっ…」

「あ、やっと笑ってくれた!」

「…え?」



闇の書の意志は、自分が無意識に笑っていることに気がついた。
どうして自分は今、笑ったのだろう…。


「闇の書…いや、『夜天の魔導書』さん!」

「え……」

「これが、本当のあなたの『名前』なんでしょ?」

「っ!!」








「…ずっと、闇の書って言われ続けて…本当は辛かったんじゃないですか?」






全て、この欲望の王の言うとおりだ。

なぜだろうか…この男の笑顔を見ると…胸が、あったかくなる…。
この気持ち…悪くない…。



守護騎士達…お前達もこの男と一緒に生活することで…これを感じていたのか?











「教えてほしい、欲望の王」

「なんですか?夜天の書さん」




「お前達の『家族の絆』の強さとは…一体どれほどの物なんだ?」

「切っても切れないもの…そうとしか言えません」






「そうか…なら…」



その瞬間、闇の書の意志は映司に対し、拳を構えた。
映司にはどういう意味なのか、よくわからなかった。


「夜天の書さん?これは一体…」

「悪いな…欲望の王よ。…私はこういう形でしか表現できないんだ」

「それって、つまり…」

「そうだ…








お前達の家族の絆の強さが、この無限の破壊の力を超えることができるのか…知りたいのだ。だから頼む…欲望の王よ…私と戦ってくれ」


この時、闇の書の意志はただ、純粋な気持ちで知りたかった。

家族の絆とはなんなのか…それは、どれほどの力を持っているのか…



「もし、私に勝つことが出来たら…我が主の元へ行くことを許そう…それならどうだ?」

「あと…ついでにもう一つ!!」

「…え?」


映司は腰に勢い良くオーズドライバーを装着し、コアメダルをセットした!


「もし俺が勝てば…俺の願い、一つだけ聞いてください!!」

「…ふふっ…わかった」



お互い、いつの間にか笑っていた。

この気持ちは、かつて前の世界でヴィータと戦った時の気持ちと全く一緒だ。
戦いは嫌いなのに…全く嫌と感じない…むしろ…わくわくする!


「行くぞ!欲望の王!!」

「絶対負けませんよ!夜天の書さん!!」















−−−




「ぐすっ…アリサちゃん…」

「泣かないでよ すずか!…私だって…怖いのよぉ…」