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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第11部 完結編

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「…いっちゃ…やだよ…」


その時、始めてフェイトの口が開かれた。
その声はとても弱々しく、今にも砕けそうな悲痛な声だった。


「…まだ…近くにいてよ…アンク…いっつもいきなり過ぎなんだよ…私、まだ気持ちの整理がついていないのに…酷いよ…」



「…ガキぃ…」











アンクは振り向きそのままフェイトを抱きしめた。
その時、自分の目頭が熱くなった。

いつの間にか、一筋の涙が自分の目から流れ落ちていた…。



















「ガキ…遊園地は…誰といった?」

「…ッ!!…アンク…」

「その時、一緒に『クレープ』…食べたよなぁ…」

「……うん…」

「…ッ…そうか…」








「クレープ」じゃない…「アイス」だ…。


いよいよ、始まっちまったか…。








「ガキ…俺って『豚肉』が嫌いだから…いつもお前に食べてもらってたよなぁ…」

「…………うん…」









…違う…
俺は「鳥肉」が食えないんだ…。













「ガキ…俺は『早起き』だから…いつもお前を起こしていたよなぁ…」

「………うん…」

「…がきぃ…俺って…うっ…く……」







止まらねぇ…止まれよ…







「お前達に…迷惑かけっぱなしだったよなぁ…あ…あぁ…」

「…ひぐっ…う…うん…」






ふざけんなよ…こんなの俺のキャラじゃねぇだろ…

ガキの前で…泣いちまうなんて…








「がきぃ…おまえ…さっきから『嘘』いってんだろぉ…!!」

「…忘れてない…忘れてないよ…!!」

「…ばぁか…誰も忘れたのかなんて聞いてねぇだろ…」

「…ひ…ひどいよぉ…アンク……」








駄目だ…これ以上ガキといると…
本当に離れたくなくなる…。











アンクは涙を拭い、フェイトの目線までしゃがみ、右手をフェイトへ差し出した。


「…アンクぅ…?」


「約束しろ…












もし、『10年後』に俺の事を覚えていたら…







今まで見たいに接してほしい…




『家族』として…な…」










フェイトは何も言わずアンクの右手を精一杯握った。
そして何度も何度も首を縦に振った。


「…ぐず…絶対に…思い出す…前にアンクが私のこと忘れないって言ってくれたみたいに…私も絶対思い出すよ…」

「そうか…」



アンクは少しだったが、微笑みを浮かべ、その場を立った。
そして…優しくフェイトの手を離し、その右手でフェイトの頭を何度も撫でてあげた。






「未来で…待っているぞ…『フェイト』」

「ッ!!…アンク…今…」

「じゃあな…」





その瞬間、アンクは満足気にそこから歩いて立ち去っていった。アンクは一度も後ろを振り向くことなく、そのまま暗闇へと消えていった…。

フェイトはもう、アンクを追いかけようとはしなかった。
その瞳には、もう涙はなかった。


「アンク…私は絶対アンクの事思い出すよ…絶対に…」





少女は遠い未来の約束を守るために、また会う日まで涙は流さないという決意をした。
今までの生活、思い出はいずれ消えてしまう運命…。
だが、確実に消えないもの…大切な『家族』の繋がり。





「また、会う日まで…私は泣かない…今度泣く時は…アンクの中で…








………アン……










え………あ………






























………私、ここで何してたんだっけ……」







そして…
公園には…静寂が訪れた…。






………


「……あ?…お前達…」

「あっ…アンク…」


アンクは偶然にも映司とリィンフォースに出会った。



…いや、偶然ではなかった。


「…もしやとは思ってこちらへ来たのだが…もう別れの挨拶は良いのか?」

「…チッ…やっぱり…最初からわかってたのか…」

「…アンク…」


アンクは軽い舌打ちをし、リィンフォースに睨みつけた。
だが、その眼差しには憎悪は一切なかった。


「おい、俺と映司に残された時間…一緒じゃねぇんだろ?」

「え!!?…ちょっと、どういう意味だよ、アンク!!」

「そうだ…鳥の王、もうお前に時間は無い…今すぐ元の世界に帰らなければ…お前は消滅する…」

「はんッ!!やはりなぁ…」


その時、アンクの身体から光の粒子が放ち始めた。


「ちょ、ちょっと!!こんなこと聞いてないよ!!どうして黙っていたんだよ!!」

「俺も知らなかったんだよ!!…さて、夜天の書!お前は確かディケイドの奴みたいに世界を渡り歩けるんだったよなぁ?悪いがその力で俺を元いた世界への道を開いてくれ!!」


リィンフォースは真剣な表情で軽く頭を縦に振り、息を整えた。


「あぁわかっている…安心しろ…」


リィンフォースがその場に手をかざすと、そこに灰色のオーロラのカーテンが出現した。


「これを潜り抜けると、十年後の世界…つまりお前達がいた世界に帰れる。だが、今の私の力では数分しか出現させられない。さぁ、行け…」

「あぁ…よし、映司。俺は先に行くぞ!!お前は別れを済ましてからこっちに…」





























「いや、俺は行けないよ」


































その言葉にアンクとリィンフォースは言葉を失った。
自分の聞き間違いだったろうか?


「おい映司…冗談は止せ…」

「うぅん…冗談じゃないよ…これは俺が決めたこと」

「…あまり俺をからかうなよ…」

「からかってない…これは俺の答え」

「…いい加減にしろ!!映司ぃ!!」


アンクは映司の胸ぐらをつかもうとした!!
…だが…

「ッ!!?」

「…アンク…」


胸ぐらを掴もうとした瞬間、アンクの手は映司の身体をすり抜けてしまった。


「…どうやら…もう本当に時間がないらしいな…だが…どういうことだ…欲望の王!!」


リィンフォースも先ほどの映司の言葉には意味が理解できなかった。

この世界に留まる?
一体何を考えているんだ。

この世界にいれば、間違いなく消滅する…
なのに…何故?


「ごめんアンク…俺は…」


その瞬間、映司はリィンフォースの手を掴んだ。
突然のことに、リィンフォースは目を大きく見開いて、映司を凝視した。


「大事な…大切な『家族』が消えていくのに…自分一人だけ運命から逃れるなんてこと…できないよ…」

「ッ!!欲望の王…お前…」

「ふざけんなッ!!馬鹿ッ!!!!」


アンクの叫びが住宅街へと響きわたった。
だが映司は顔色一つ変えず、アンクを見続けた。


「困ってる奴全員救って自分の命簡単に投げ捨てやがって、お前英雄でも気取っているつもりなのかよ!!?いい加減に…」

「違うよ…アンク…」

「…なに?」