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神無月愛衣
神無月愛衣
novelistID. 36911
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化物語 -もう一つの物語-

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「忍の、怪異としての――吸血鬼の力が上がっているってことだ」
「じゃあ、阿良々木先輩も……?」
「そう言うことになるな」
「…………」
 神原は暫く沈黙した。
 ……しかし。
 もし、これが本当だったら……今の僕達は、一体どれだけ吸血鬼的能力が上昇しているんだろう。
 不死身能力、回復能力、治癒能力などが、どれだけ上昇しているかによって、明日からの過ごし方が変わるんだよな……。
 吸血鬼に近づく――戻っていくに連れ、日光に当たると軽い火傷とかじゃ済まないからな……。
 学校も休みかねないし……。
「なあ、阿良々木先輩」
 ――と。
 今まで沈黙を保っていた神原が、唐突に口を開いた。
「つまり、私の言っていることは――当たっていたんだな?」
「ああ……」
 何だ、そんなことか――とか思ったけれど。
 しかし、僕の予想は違った。
 神原は、言葉を続けた。
「……阿良々木先輩」
「ん? 何だ?」
「阿良々木先輩は今、吸血鬼に近づいているんだよな……」
「ああ、そうだ」
「なら、私は――私の猿の腕はどうなんだ?」
「…………!」
「やっぱり、私が何かを願えば――」
「恐らく、そうじゃろうな」
 いきなり電話に忍ぶが割り込んできた。
 ……びっくりしたー!
 まあ、こういうことだったら、僕より忍の方が適任か。
「その声……忍ちゃんか?」
「うぬが言った通り、うぬが何かを願えば――うぬはまた、猿――レイニー・デヴィルに憑依されるじゃろう」
 神原の疑問を無視して説明し続ける忍だった。
「折角悪魔が去っても、こうして怪異の能力が上がっているとなると……何かを願えば、あの悪魔は帰ってくるじゃろう」
「やっぱりそうか……」
「ただし、これは『何か』を願えばの話じゃ。うぬが何かを願わなければ、悪魔は帰ってこぬし、左腕の能力も発動はせんじゃろ」
「そうか……感謝する、忍ちゃん」
「ふん。じゃあ、あとはお前様に任せた」
「ああ……」
 そう言って忍は影に帰った――かと思ったら、僕のベットに座り、足と腕を組んだ。
 ……成長しているのも手伝って、威厳さが増している……。
「ま、そういうことだ、神原。だから気をつけろ」
「ああ、そうだな。私としても、二の舞しはなりたくないな」
「そうだな」
「じゃあ、阿良々木先輩、また明日」
「ああ」
 そう言って、僕は電話を切った。
 羽川曰く、『電話を掛けた方から切る』のが礼儀だからな。
「しかし、我があるじ様よ……」
 電話を切った瞬間、今度は忍が喋り出した。
「何だ、忍」
「見て分からんか。お前様は馬鹿じゃのう」
「……分かってはいたさ。ただ――言いにくかっただけだ」
「果たしてそうかの? かか――さて、どうしたものかの……儂にも本当に分からんわ」
 そう。忍はまた姿が変わっていた。
 さっきは十二歳の姿だったのに――今度は十四歳の姿へと成長していた。
「じゃがの、我があるじ様よ。これは申告じゃぞ? さっきよりも、成長するスピードが上がっておる」
「……本当か?」
「うむ。このままいけば――儂は明日には、ほぼ全盛期の頃に戻っておるじゃろう。お前様が言う――外見年齢は、二十二歳と言ったところかの?」
「それって……ほぼじゃねーか……」
 まずいぞ、これは……。
「じゃあ、明日は外には出られないな……それどころか、カーテンも開けれねえ……」
「多分、太陽の光に当たったその瞬間、蒸発するじゃろう」
「嫌だな……あれだけは」
 今までは、血を与えたら、日光が少しキツいぐらいだったのに……。
「儂らは、明日この部屋から一歩も出られんぞ? 蒸発するからの」
「まあ、戦場ヶ原や羽川には言えば、ある程度は事情を知っているから理解してくれるだろうが……・」
「お前様の妹御には……理解してもらえんじゃろうな」
「困ったな……」
「じゃが、ここまで来ると……とても人間が意図的に怪異を集めているとは言えんぞ……これじゃあ、何かの『現象』としか言えん」
「だよな……」
「明日になると、さらに分かるかもしれんが……」
「僕達は迂闊には動けないし……」
「かか。もしこれが誰かの陰謀だとしたら――儂らは嵌められたの。してやられたわい」
「暢気だな……」
「とにかく、我があるじ様。明日、詳しく決めんか? この状況でも、明日にならんと、よく分からじゃろ?」
「そうだな……じゃあ、忍。おやすみ」
「ふん。儂は本来なら、今から活動するんじゃがの……」
 と、適当に文句を言って、忍は影に戻っていった。