化物語 -もう一つの物語-
疑問を持ったことを一蹴した戦場ヶ原は(なぜか無表情で)、深呼吸をして、改めて僕に向き合い、にっこりと微笑み、
「おかえりなさい、阿良々木くん」
と言った。
その言葉に、僕は嬉しさを抱き、思わず飛び跳ねそうになったが、そんな衝動を抑え、僕もまた、戦場ヶ原に言うのだった。
「ただいま、戦場ヶ原」
と。
戦場ヶ原ひたぎ。
心配させて――待たせて、悪かったな。
言うとは恥ずかしかったから、心の中で、思うだけにしておいた。
いつか――言える、その時が来るまで。
作品名:化物語 -もう一つの物語- 作家名:神無月愛衣