化物語 -もう一つの物語-
そしてそこは、忍野忍――キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが原因で、よくないものの吹き溜まりと化している所である。
そこへ行けば、神原は気分が悪くなる(僕は少し吸血鬼のため、忍に血を飲ませれば、大丈夫である)。
つまりそれは――
「この町に――よくないものが集まっている……ということか?」
「分からないが、私はそう思う。こんな気分になる場所は、あそこぐらいだからな」
そんな神原の顔色は、悪そうである。
北白蛇神社に行った時みたいに。
「そうか……、分かった。ありがとう、神原。貴重な情報を教えてくれて」
「いや、いいんだ阿良々木先輩。お役に立てて光栄だ。……しかし阿良々木先輩、どうするきだ?」
「調べてみる――というか、聞いてみるよ、忍に。夜になったら起きるだろう。あいつも何か知ってるかも知れないし。怪異絡みだからな、多分。だから――早ければだが――夜には分かるだろう」
「そうか、分かった。なら阿良々木先輩、何か分かったら教えて貰えないだろうか。私も回復したいのでな。これだと、少しコンディションが悪い」
「分かったよ。じゃあ、一応夜になったら、こっちから電話するから」
「ああ、よろしく頼む」
そう言って、神原は――BL小説を買うべく――駆けていった。
しかし――どういうことだ?
この町に、怪異――よくないものが集まっていると言うことは。
何か――あるのだろうか?
また、始めるのだろうか――怪異絡みの物語が。
「――ま、全ては夜になったら分かるか」
それより早く帰らなければ。
いつもより遅いんだし。
そんな軽い考え事という程度に済まし、僕は、――もうあいつと会うことのない帰り道を歩いた。
作品名:化物語 -もう一つの物語- 作家名:神無月愛衣