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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第12部 前編

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057話 居候と思い出す『自分』の姿と新たなスタート






ミッドチルダの高速道路に黒いミニバンが高スピードで走っていた。

運転席には時空管理局執務官「フェイト・T・ハラオウン」
そして、助手席にはアンクが座っていた。

アンクは窓を全開にし、そこに肘をかけずっと外を見続けていた。


「…おい」

「ん?なにかな」

「…俺を、何処に連れて行く気だ?」


あのあと、フェイトとティアナが強引にアンクを監獄所から連れ出した。
もちろん正規の手続きを終えてのことである。
結局アンクは行き先を聞かないままフェイトの車に乗っている。


「えっとね、私達の家」

「…何?」




私…達?

こいつ、結婚したのか?





その時始めてアンクは運転しているフェイトを見た。
フェイトは運転中だったため、前を見ながらそのまま話し続けた。


「アンク、住むところないんでしょ?…だったら見つかるまで私たちの家にいると良いよ!」

「ふん…勝手にしろ…」


アンクは再び外を眺め、黒のミニバンは走っていった…。




−−−


「ただいまぁ~!」

「あ、お帰りフェイトちゃん!!」

「お帰り!!フェイトママ!!」




「おいおい…マジかよ…」


先ほどのフェイトの言葉を聞いてアンクはその旦那との3人で暮らす…という予想を立てていた…が、今、目の前に映る光景を見てアンクは驚愕してしまった。

玄関から出てきたのは
3年前とその容姿はほぼ変わらない 高町 なのは と、
すっかり成長した ヴィヴィオの姿だった。


「おい、お前…」

「なに、アンク?」

「『私達』って…もしかして…」

「うん、私と なのは とヴィヴィオの3人だよ!!」


お前、もう良い歳だろ…
それより…!!


「高町、ママってことは…お前結婚したのか?」

「え?うぅん、まだ結婚とかしてないけど…」


アンクは軽いため息をし、ふと、13年前に出会ったユーノの顔を思い出した。
まさか、自分の予想が当たってしまうとは…。


「まぁ外で話すのもあれだし、2人とも家の中で話そう!!…あ、…ほらヴィヴィオ!アンクさんに挨拶しなさい!」

「えっ!?…その…こんにちは…」


ヴィヴィオは なのは の懐からひょっこり現れ、少し挙動不審気味にアンクに軽くお辞儀した。


「…あぁ……」


どうやらヴィヴィオはアンクを見て怖がっているらしい。
…その姿に、13年前のフェイトの姿が重なった。







………


「ああぁっ!!?アギト酷いですよぉ!!そのおかずは最後に食べようととっておいたのに!!」

「へ~んだ!!早く食べない方が悪いんだよ!!」

「ミウラちゃん、ご飯おかわりどう?」

「あ!お願いしますっ!!シャマルさん!!」


ミッドチルダ南部、八神家では ミウラを含めた計8人で夕食を食べていた。
大きなテーブルには所狭しとメニューが並べられていた。


「おっ…シグナム、だいぶ料理の腕あがったんちゃうか?」

「あ、ありがとうございます、主はやて!」

「…これでシグナムもいつでも嫁に行けるな」

「ッ!!お、おいザフィーラ!!止めないか!!」

「ま!シグナムは嫁というより鬼嫁になりそうだがな!!」

「ヴィータ!!!!貴様ぁ!!!!」


シグナムが席を立ち、ヴィータが冷や汗をかきながら家の中へと逃げていった。
それを見た者達から笑い声が響き渡った。


「はははっ!腹痛い…」


はやて は笑いながらチラっと、その大きなテーブルに一つ余分に空いていた椅子を眺めた。
この場には8人しかいないのだが、椅子は9つあったのだ。

これは、八神家にいつでも帰ってきても大丈夫なように皆が設置した映司の為の椅子だった。


(映司くんの椅子はこれからもずっとここに置いておく…だから早く帰ってきてな、映司くん…)


八神家の窓から見えていた夕日は海へ沈んでいった…。



………

「それでね~?アインハルトさんがね!?」

「ふふっ!アインハルトちゃんって意外に天然なんだね!」

「………」

「そうか、インターミドルも近いんだね、頑張ってヴィヴィオ!」

「うん!フェイトママ!!」


高町家でもちょうど夕食の時間帯だった。
なのは、フェイト、ヴィヴィオの三人は今後開かれるインターミドルシップの話題で盛り上がっていたが、アンクは終始無言だった。

アンクはご飯を半分だけ食べ、なのはに「美味かった…」とつぶやいた後、リビングのソファに寝転がった。


(フェイトちゃん、今日のご飯美味しくなかったかな?)

(そ、そんなことないよ!!なのは のご飯はいつも絶品だよ!?…ただ…)

(…?)






(ただ…アンクには色々ありすぎて、心を閉ざしているんだよ。…私たちがアンクの心を開いてあげなきゃ!)

(…うん!!そうだね、フェイトちゃん!!)


思念通話で 2人が会話をしている最中、先に夕食を食べ終えたヴィヴィオがソファで寝ているアンクの元へ駆け寄っていった。


「あ、アンクさん!!」

「…なんだ?」

「そのっ…さっきは上手く自己紹介できませんでしたけど…、私、高町ヴィヴィオって言います!!よろしくお願いします!!」


ヴィヴィオは焦り気味にアンクへ頭を下げた。
自分が不機嫌な理由が最初に上手に自己紹介できなかったから…と考えているのだろうか。


「あぁ…こちらこそな」

「っ!!は、はい!!」


アンクはソファに寝ながらヴィヴィオへ流し気味に挨拶した。
だが本人は嬉しかったのか満面の笑みが顔へ出ていた。


「あ、あと今度私の友達も紹介しますね!!皆良い人達だからきっとアンクさんもすぐ仲良くなれますよ!!」

「…あぁ……」

「それと、これ私のデバイスで名前はセイグリッドハート!!クリスって呼んであげてください!!」

「…あぁ……」


俺を気遣ってくれているのか?
親も親なら子も子だな…

…悪いが正直鬱陶しい…。


その後もヴィヴィオは懸命にアンクと話し続けた。
アンクはずっと流していたが、ヴィヴィオは諦めることなくアンクに話し続けた。

するとその状況をみた なのは とフェイトがヴィヴィオの元にやってきて話の中に混ざり始めた。


「それでですねぇ…、この前遊んでいたら なのはママが大事にしていたコップ割っちゃったんですよぉ~!」

「え…ヴィヴィオ、私それ聞いてないよ!!」

「あ…」

「こら、ヴィヴィオ~!!」

「ふぇ~ん!ごめんなさぁ~い!!」

「ふん…自分でバラしてどうするんだ」

「ふふっ!ヴィヴィオったら!」


いつの間にか、自分も話の中に混ざっていた。
不思議だ。
話題は全てくだらないのに、自然と自分から話したくなる。

3年前に繋がりは全て切ったと思っていた…と、思っていたが、
なぜ、お前達はそうまでして俺に絡む事ができるんだ?


「あ、もうこんな時間!ヴィヴィオ、一緒にお風呂入ろう!」

「うん、なのはママ!!フェイトママも一緒に入ろう!!」

「いいよ!…アンクも一緒に入る?」

「入る訳ねぇだろ!…俺はいい、先に入ってこい」


3人は笑いながら風呂場へと向かっていった。