のび太のBIOHAZARD『THE NIGHTMARE』
AREA3『エレベーター』
のび太と真理奈は南舎3階に着くと、真っ直ぐ制御室に向かった。やがて制御室の前まで来た。しかしその時、異変が起きた。
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
すぐ近くの教室から扉を叩くような凄まじい音が聞こえてきた。咄嗟の事に、真理奈は驚いて、
「きゃあ!ちょっと何よ!怖い!!」
驚いた真理奈がのび太に飛びついた。
「恐らくはあのドアの向こう、・・・5年の教室にゾンビが居るな。今の所は大丈夫みたいだけど、破られないとも限らない。早く動こう。」
と言うとのび太は、真理奈の手を引き、急いで制御室の鍵を開けた。そして中へ入った。入った後すぐ、のび太は扉をしめて鍵を閉めた。
「取り敢えずこれで一安心だな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
真理奈はまだしばらく震えていた。たがのび太はここは幾らかは安全だと思っていたので、真理奈の事は気にせずに、制御室を見渡した。制御室には何かの機械と、グレネードランチャー用の弾薬が一つあった。のび太はその弾薬を拾った。
「・・・こいつは榴弾だな。取っておくか。」
と言ってのび太は何かの機械に近づいた。その機械は『P.S.C.S.』と書いてあり、ディスプレイと幾つかのキーがあった。のび太はその機械の電源を付けた。
『システム起動中・・・・・』
暫くすると、ディスプレイに文字が表示された。
『解放及び閉鎖するシャッターを参照して下さい。
解放中シャッター:S1L,S1R,N1L,N1R,N2L,N2R
閉鎖中シャッター:S2L,S2R,S3L,S3R
シャッターを個別に指定して解放及び閉鎖する場合は対応するキーを押して、解放及び閉鎖のボタンを押してください。全てのシャッターを解放及び閉鎖する場合は『ALL』と書かれたキーを押しながら解放及び閉鎖のキーを押してください。』
「成る程、これでシャッターを操作できるということか・・・。」
と言うとのび太は『防火シャッター制御システム』を操作した。無論、全てのシャッターを解放するので『ALL』キーを押しながら『解放』キーを押した。するとディスプレイに、
『全ての防火シャッターを解放します。』
と表示された。
「どうやらこれで全てのシャッターが開いたようだな。4階の探索をしよう。」
と、のび太は真理奈に話し掛けた。
そして2人は制御室から出ようと扉に近づいた。しかしその時のび太はあることに気がついた。
制御室の扉の窓に緑色の"もの"が見えたのだ。のび太はそれに瞬時に対応した。
「危ない!!!」
と言うとのび太は真理奈の手を引っ張り、横に避けた。その瞬間、緑色の怪物が扉をぶち壊して制御室の中に入ってきた。
「KIYAAAAAAAAAAA!」
怪物は唸り声を上げている。のび太は落ち着いて怪物を狙い撃つ。『ベレッタM92』から放たれた一発の『9mmパラベラム弾』は怪物の頭を直撃した。
「KYAA!」
それだけで怪物は止まらず、尚ものび太に向かって来る。のび太はすかさずグレネードランチャーに持ち換え、榴弾を撃ち放った。榴弾は怪物に直撃し、怪物は破裂した。辺り一面に放射状に血液が飛び散った。
「・・・ふぅ、びっくりした・・・・・・・。」
と呟きながらのび太はその場にへたり込んだ。
「・・・のび太君、大丈夫?」
「あ?あ、ああ。大丈夫だよ。さぁ先を急ごう。」
と言うとのび太と真理奈は制御室から出た。そして、驚きの事実に直面した。
「!!何でこんなに大量のゾンビがいるんだ!?」
廊下には今まで居なかったはずのゾンビが大量にいた。5年1組と5年2組の扉が破壊されて、そこからゾンビが湧いて出ていた。
「真理奈ちゃん!君は早く4階へ上がるんだ!」
「のび太君はどうするの!?」
「僕はここでゾンビを食い止める!大丈夫だ、こんな危機なんて前に幾つも経験してきたんだ!」
「わ、判ったわ。のび太君も早くね。」
「ああ、判っている。上にも何かいるかもしれないから真理奈ちゃんも気をつけて。」
と、会話を交わすと、のび太は向かい来るゾンビ共を撃ちまくり、真理奈は4階へ上がっていく、のび太の方は大分手慣れた様で、ゾンビ共を効率よく掃討していく。最早事態が収まるのは時間の問題だった。
一方真理奈はその頃、4階へ上がっていき、丁度階段の踊り場に着いたところだった。
「ふぅ、慎重に上がっていかないと。もしかしたら上がった瞬間に「ウ゛ァー」って来るかもしれないし・・・。」
と呟きながら真理奈は慎重に階段を昇っていく。そして階段の上にあるものを目視した。
「あれは、さっき制御室にいた怪物!このまま上がったら気づかれちゃう!」
と、真理奈は引き返そうとしたが、その瞬間、階上にいた怪物が真理奈に気がつき、襲い掛かってきた。
「KYAA!」
雄叫びを挙げた。
間一髪真理奈には直撃せず、服の端を掠めただけだった。しかし、その衝撃で真理奈は踊り場まで吹き飛んだ。
「きゃあ!!」
悲鳴を挙げる真理奈であったが、そんなものは気にもせず怪物は突っ込んできた。
「KYAAA!」
戦いに不慣れな真理奈はこの状態に混乱していた。だが、武器を構えることは出来た。半ば自棄で引き金を引いた。ショットガンから放たれた弾丸は至近距離で命中した。怪物はその場で破裂した。ぴくりとも動かなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
真理奈は暫く放心状態になっていた。やがてのび太が4階に上がってきた。のび太は死んでいる怪物とボーっとしている真理奈を見ると、全てを把握したようだ。そしてのび太は真理奈に話し掛けた。
「大丈夫?」
「・・・・・・・・・あ、ああええ大丈夫。」
「じゃあ4階の探索を進めよう。」
と言うとのび太と真理奈は4階に昇った。4階は1〜3階までと違い、北舎と南舎に分かれておらず、南舎分しかない。階段のすぐ傍のところには、選択教室が2部屋あり、のび太達はまずそこを調べた。
しかし、ドアが打ち付けられているらしく、開かなかった。気を取り直し、北側に進んで行くと、そこには男子便所、女子便所そして、男性職員用更衣室、女性職員用更衣室があった。するとのび太が真理奈に話し掛ける。
「僕は男子便所と男性職員用更衣室を探索するから、真理奈ちゃんは女子便所と女性職員用更衣室を探索してくれ。くれぐれも気をつけて。」
「うん、解った。」
と言うとのび太と真理奈は分かれて探索をした。のび太はまず、男子便所の探索をした。
男子便所には12ゲージショットシェルが2つだけだった。その場を後にして、のび太は男性職員用更衣室に入った。男性職員用更衣室のロッカーは殆ど全てが歪んで、壊れていた。しかし、中央のロッカーを見ると、確かに歪んではいるものの、戸が半開きになっており、中を見ることは出来そうだった。
「・・・このロッカー、力を込めれば開きそうだな。・・・・・よし、やってみるか。」
と言うとのび太は手に持っていた銃をポケットにしまい込み、両手で取っ手に手を掛けた。
作品名:のび太のBIOHAZARD『THE NIGHTMARE』 作家名:MONDOERA