のび太のBIOHAZARD『THE NIGHTMARE』
「ああそれ。だってのび太君が意外に強くてさ、いざとなったら守ってくれそうで。だったらそんなに脅えてても仕方ないから。」
(・・・・・・つまり人任せね。)
「でもいざという時一人で戦えないと・・・・・・」
「い〜のい〜の。さぁ早く行こっ。」
(・・・・・・・・まぁいいや。こういう時は隣に元気な人がいたほうが気を紛らわせられるし。)
のび太達は生徒指導室を出た。そして、奥の方に進むと、貯水管理室に続く梯子を発見した。のび太達は梯子を降りて行った。降りた先は勿論、貯水管理室で、奥の方にエレベーターがあった。それを視認すると、のび太達はエレベーターに近づいて行った。
「・・・・・・このエレベーター、何処へ行けるんだろう?・・・・・・・・・・・・・・起動しないな。」
エレベーターを弄(いじ)っていたのび太が呟いていた。だが、暫くすると横に何かがあるのに気が付いた。
「ん!この窪みは何だろう?・・・・・・・エレベーターの横にあるんだからバッテリーか何かか。」
と言うとのび太は真理奈に向き直り、真理奈に言う。
「どうやらここは何もなさそうだ。」
「そのエレベーターは?」
「電圧が落ちていて動かない。恐らくバッテリーが無いからだと思う。」
「そう。・・・で、次は何処に行こう?」
「家庭科室だ。実はさっき鍵を見つけたんだけど4階から探索していこうと思って言ってなかったんだ。」
「じゃあ早く行こう。」
と言うとのび太達は1階へ向かった。
やがて1階に着いた。そして、家庭科室へ行った。家庭科室の前まで行くとのび太は鍵を取り出し、扉を開けた。
「よし、中に入ろう。」
と、のび太達は中に入った。しかし中は真っ暗だった。
「・・・・・・電気を付けなきゃいけないようだな。扉の近くにあったはずだけど。」
と言い、のび太は手探りで電気のスイッチを探した。
カチッ!
スイッチが切り替わる音と共に部屋の電気が付いた。しかし、次の瞬間恐ろしい事態に気が付いた。
部屋の奥にあの緑色の怪物がいたのだ。電気が付いた瞬間、その怪物もこちらに気づき、向かってきた。
「KYAAAAA!」
怪物はテーブルを乗り越えて一直線にのび太達に向かってきた。のび太はハンドガンを構えた。そして、
ドン!
当たったのはハンドガンの弾丸ではなく、真理奈の投げた『ミシン』だった。それに当たった怪物は一度体制を崩し、しかしすぐに体制を立て直してのび太に向かって行った。その時のび太は、グレネードランチャーを怪物に向けていた。そして撃った。
ドォン!
ジュワアァァ!!
怪物に見事に当たり、当たった瞬間怪物から煙が上がり、熔け出した。
「・・・・・熔けた?」
真理奈が不思議そうにしていたのでのび太が説明した。
「先刻、生徒指導室で銃の手入れをしていた時に、グレネードランチャーに装填していた榴弾が弾切れしていたから硫酸弾に切り替えたんだ。」
すると、怪物は一発で動かなくなった。
「・・・硫酸の威力は凄いな。一発であの怪物を倒すとはね。・・・・・他に怪物も居ないようだし、手分けして探索を進めよう。」
と言うとのび太達は探索を始めた。
暫くして、のび太達は探索を終えた。結果、見つかったのは、『バッテリー』と赤い本だった。赤い本の表紙には、『Bandage With Blood』と書かれていた。
「こっちの『バッテリー』は恐らく4階のエレベーターのものだろうけど、この赤い本は何だろう?中には何も書かれていないようだけど。」
と言いながらのび太は、考え込んだ。その時・・・・!
ガチャ。
いきなり扉が開く音がした。
「何だ!」
と言ってのび太は扉の方を見た。そこには何度も見ている顔があった。
「スネ夫!聖奈さん!」
扉を開けたのはスネ夫と聖奈の2人だった。
「のび太!それに真理奈ちゃん!」
と、スネ夫が言った。するとのび太が喋る。
「そうだスネ夫。今ここで赤い本を見つけたんだけど訳が判らないんだ。」
と言うとのび太は赤い本をスネ夫に差し出した。
「・・・・なんだこれ?」
赤い本を見たスネ夫は何がなんだか判らない様子だった。
しかし、それを横から見ていた聖奈が言った。
「あっ、この本は!」
聖奈が何かに気が付いた様子だったのでのび太は聖奈に訊いた。
「この本の事、知ってるんですか?」
すると聖奈が返す。
「ええ、確か図書室の書庫にこんな本が大量にありました。」それを聴いてのび太が言う。
「じゃあ図書室の書庫へ行こう。」
と言うとのび太と真理奈とスネ夫と聖奈は図書室の書庫に向かった。校舎の丁度反対側にあったが、特にアクシデントも無く、短時間で無事に書庫に着いた。のび太達は更に奥の方に進んで行った。そこには赤い本で一杯の本棚があった。しかし、一箇所本が抜けていて、そこだけ不自然に空きがあった。
「ほら、ここの本棚です。さっきの本と大分類似していると思うんですけど・・・。」
と、聖奈が言う。するとのび太が言った。
「じゃあ早速嵌めてみるか。」
と言うとのび太は赤い本を抜けているスペースに嵌めた。
すると・・・・・・・・、
ズズズズズズズ・・・・・・・・・。
赤い本を嵌めた瞬間、本棚が左に移動した。よく見てみると、床と本棚にレールが付いていて、本を差し込むと本棚が移動するように出来ていたようだ。そして、本棚が元あった場所には、長方形の穴が開いており、そこに金庫がピッタリ挟まっていた。
「・・・・・この金庫開くかな?」
と言ってのび太は金庫を開けようとした。金庫には鍵穴が付いていて、尚(なお)且(か)つダイヤルも付いていたので、開かないと思って、大した期待もせずに金庫を開けたが、意外にも容易く開いた。中には2丁の回転式拳銃があった。
「何、これ?」
真理奈が疑問を投げ掛けた。するとのび太が、2丁の回転式拳銃を手に取り、他の3人に喋った。
「これは、2丁共『大口径銃(マグナム)』だな。」
「『マグナム』って何だ?」
「『マグナム』っていうのは、口径が大きく威力の高い弾薬を撃ち出す銃だよ。だけどその分撃った時の反動が『ハンドガン』とは桁違いに大きいから汎用性は『ハンドガン』には劣るね。今は何が起こるか判らない状態だから、使い安さとしては『ハンドガン』の方がいいね。」
と、のび太が言うとスネ夫が喋る。
「ふ〜ん。そうなんだ。・・・・・・で、その2つの銃は何ていう銃なの?」
「ああ、こっちのが『コルトパイソン』だ。」
と言ってのび太は『コルトパイソン』を見せた。それは木製のグリップに6発装填のシリンダーがあった。グリップ部分以外は青みがかった色をしていた。
次にのび太はもう一つの銃を見せた。
「で、こっちの方は『スタームルガーレッドホーク』だな。」そういって見せた銃は、同じ様な木製のグリップがあり、6発装填のシリンダー、そして銃身、シリンダー、トリガー含め、グリップ部分以外は銀色をしていた。
するとスネ夫がのび太に質問した。
「それってどっか違う所あるの?装弾数が同じだから大して違わないように聞こえるんだけど。」
作品名:のび太のBIOHAZARD『THE NIGHTMARE』 作家名:MONDOERA