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　　舞人　「どうした？ジェイデッカー。」

　　ジェイデッカーのカメラアイが、エネルギー生命体の反応とは別に、人間の生体パターンを捉えたのだ。

　　ジェイデッカー　『彼は・・・・人間？！どういうことだ！？』

　　マイトガイン　『人間！？』

　　舞人がマイトガインの捉えたデータをモニターで分析する。

　　舞人　「たしかに人間のようだ・・・だが何故人間の生体反応がファイバードから？それもファイバードの体全体からだ。だが、今は何よりも彼の戦いを見させてもらおう！！勇者としての戦い方に何か学べるモノがあるはずだ！！」

　　疑問符がよぎる頭を現状に切り替える舞人。今は勇者の戦い方を少しでも客観視したかったのだ。

　　マイトガイン　『支援しなくてもいいのか？』

　　舞人　「あの戦闘のカタチ・・・・正に一対一の勝負だ！！ここは見届けよう！！」

　　ジェイデッカー　『舞人の言うとおりだ。私もＪバスターを失っている。今はファイバードの戦いを見守ろう。』

　　舞人達はファイバードの戦闘を見守る。

　　ファイバードとＤ‐１４Ａが互いの刃を交え、フレイムソードの刀身と槍状の鎌が火花を散らす。

　　　　ズギャギャイイイイインッ！！！

　　ファイバード　『・・・・・しゃあああああっ！！』

　　　　シャウンッ・・・・ギャアアアアアアンッ！！！　シュキャッ、ザガギイイイイインッ！！！

　　　　グググググ・・・・・ギャアアアアアンッッ！！！

　　Ｄ‐１４Ａ　「ギギギィイイィッッ！！！」

　　Ｄ‐１４Ａの鎌を捌くファイバード。そこから横薙ぎの斬撃に繋げる。

　　　　ズシュバアアアアアアンッ！！！

　　　　ギャズゥドォゴォオオッ！！！

　　ファイバードの斬り払いに吹っ飛ばされるＤ‐１４Ａ。胸部にはフレイムソードの刃による斬り傷が確認できる。

　　Ｄ‐１４Ａ　「ギギギギギィ・・・・。」

　　　　ビュヴドォッ！！！

　　腕をかざして液体弾を発射するＤ‐１４Ａ。ファイバードは相手を睨みつけながらかわして斬り掛かる。

　　ファイバード　『中らねぇよっ！！！おおおおおっっ！！！』

　　　　ズバギャシャアアアアアアアンッ！！！

　　Ｄ‐１４Ａ　「ギュギイイイッ！！」

　　フレイムソードの袈裟斬りの斬撃が、硬い皮膚を損傷させる。

　　そこから反撃に転じたＤ‐１４Ａがファイバードに鎌を突き刺そうと攻撃するが、これもフレイムソードで弾かれる。

　　　　ギュフォンッッ！！！

　　　　ガズギャアアアアンッ！！！

　　後ろへと飛びながらファイバードは胸の中央に装備されたリング状の斬撃系武装、サンスライサーを左手で取り外してＤ‐１４Ａ目掛けて投げた。

　　　　ガキンッ！！

　　ファイバード　『サンスライサーッ！！』

　　　　ヒュフォゴォアアアアッ・・・・・・ズバシャァアアアアアンッ！！！

　　右腕の鎌がサンスライサーによって先端から半分が切断された。

　　舞い戻ってきたサンスライサーを再び装着すると、ファイバードは再度フレイムソードで斬り掛かる。Ｄ‐１４Ａも攻めの姿勢になり鎌を揮う。

　　　　バキャアアアアアアンッ・・・！！！

　　フレイムソードの斬り払った一振りが、Ｄ‐１４Ａの鎌を弾き返す。そして両手でフレイムソードを握り締め、横一文字の左薙ぎの斬撃で本体を斬りつける。硬い皮膚が砕けて内部の柔らかい皮膚が露になった。筋肉の筋のようなものが確認できる。

　　　　バギャシャアアアアアアアッ！！！

　　Ｄ‐１４Ａ　「ギッギギギイイィッッ！！！」

　　砕けた皮膚の破片が飛び散っていく。Ｄ‐１４Ａは先程までの優勢から一気に劣勢に立たされた。

　　すると、背中の羽を広げ上空へと飛び立つ。

　　奇しくも向かった方向は、澪達が安全と思って非難していた高台がある場所だった。

　　ファイバード　『この期に及んで逃げる気か？！！逃がすかよ！！』

　　ファイバードもフットバーニア全開で飛び立つ。

　　飛び立つＤ‐１４Ａであったが、澪達を見つけたのか高台付近に着地を試みてしまう。

　　律　「ん・・・？お、おい、怪物がこっちに来るぞ！！」

　　それを確認した律が声を上げた。

　　蓮　「マジかよ！？・・・そんな・・・！！！」

　　蓮もまさかと思った。ここに来るはずがないという確信のない確信を懐いていたモノが一変する。

　　澪　「う・・・い、嫌だ・・・こ、恐い！！！」

　　再び澪が混乱しそうになる。目を強くつむって顔を背ける。やはりこのような状況下に置かれるとどうしてもあの日の恐怖やトラウマが過ぎってしまう澪。そんな澪の手を親友の律が引っ張る。

　　律　「いくぜ！！澪！！」

　　澪　「律・・・私・・・私・・・・！！」

　　蓮　「ヤツがここに来るのも時間の問題だ！今は逃げることだけ・・・。」

　　　　ズウウゥウウウウウンッ！！！

　　蓮が澪をなだめようとしていた矢先に、Ｄ‐１４Ａが高台の斜面に着地してしまう。

　　クワガタの顎のような口の中央からイソギンチャクのような器官を出し、３人を捕食しようと試みる。

　　　　ぎちゃああああ・・・・

　　澪　「きゃあああああああ！！！嫌だああああああっ！！！」

　　律　「澪っ！！すくんでる場合じゃないぞ！！」

　　へたりこむ澪の腕を引っ張ろうとする律。その時蓮がバッと二人の前に出た。

　　蓮　「チキショウがっ！！喰うなら俺をくええええええ！！！」

　　蓮が勇気を振り絞り二人をかばうように立ちはだかる。迫る捕食器官。

　　律　「蓮！！あんた何バカなこと・・・！！」

　　蓮　「なーに、勇士朗のヤツが来てくれるさ！！それにこんな所で死ぬならな、せめて律っちゃん達を生かしたいのさ・・・・カッコつけさせてくれ・・・。」

　　律　「蓮・・・！！」

　　その時だった。澪の脳裏にクリスマスのサプライズライヴの時のことがよぎった。お互いに勇気を分け合ったあの日の夜が。

　　澪　(最後まで望みは捨てない・・・勇士朗君はきっと助けてくれる・・・・！！)

　　澪は叫んだ。力の限り勇士朗を信じて。

　　澪　「ゆ・・・・勇士朗くうううううぅぅぅぅぅぅんっっ！！！」

　　ファイバード　『・・・・・ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおっ！！！』

　　　　ズガドォオオオオオオオオオオオンッ！！！

　　それに呼応するようにファイバードがフレイムソードを突き出しながらＤ‐１４Ａに突っ込んできた。吹っ飛ばされるＤ‐１４Ａ。それに目もくれずに高台にいる澪達に声をかけるファイバードこと勇士朗。

　　このシチュエーションはあたかも桜高での戦いの時のようだった。

　　ファイバード　『３人とも無事か！！？』

　　蓮　「ギリギリだってんだよ！！ちきしょおおお！！」

　　そう言いつつも何気に蓮は嬉しそうだ。

　　律　「うああああ・・・マジで寿命縮まった！！」

　　一気に気が抜ける律。

　　澪　「勇士朗君・・・・！！」

　　ホッと胸を撫で下ろすと同時にファイバードに微笑む澪。