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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第12部 中編

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そのままユーノはヴィヴィオのコップへとコーヒーを注いであげた。


「これぐらいで良いかな?」

「はい!ありがとうございます、ユーノ『パパ』!…あ……」




ん?


こいつ、今…





「え…えっと…ははっ…」

「…//////」

「うあぁっ!!え、えっと!!そのっ…すいません!!い、今の無しで!!!!…うわぁぁぁ…恥ずかしい…」






「ふふっ!ヴィヴィオったら…」

「…今のは、効果あったのか?」


ヴィヴィオは焦りながら先ほどの発言を必死に訂正していた。
ユーノは突然のことで頬をかきながら苦笑いし、なのは に至っては先ほどからずっと顔を下に向け、真っ赤になっていた。















………







「いくよ!ヴィヴィオ!!」

「いつでもいいですよ!ユーノさん!!」

「二人とも頑張ってぇ~!!」


昼食を食べ終えた後、ヴィヴィオとユーノは鬼ごっこをして遊んでいた。
現在、鬼はユーノである。
なのは は少し離れたところで二人が遊んでいる姿を座りながら見守っていた。


「少しは大人っぽくなったと思ったら、まだまだガキ臭いな、あいつは」

「うぅん、私達は成長しているよ。もちろんアンクも」

「…はんっ……」


アンクとフェイトは3人からさらに離れたところでその光景を観察していた。
なのは達の関係を知らない第3者から見れば、完全に仲の良い家族にしか見えないのだが、
それでもまだ『友達』というのが不思議である。


「あ、そうだ…。この光景、カメラで写真に撮っておこう!アンク、ちょっと車があるとこまで行ってくるね!」

「あ?お前一人で行くのか?」

「うん、そうだけど…」

「一人じゃ何かあったら危険だろうが…、俺も行く」

「え、良いの?」

「チッ…何度も俺に同じこと言わせるな!」

「ふふっ!…わかった…」


アンクとフェイトはカメラを取りに車が停車している場所へ向かい始めた。
再び森の中に入り、アンクはフェイトと二人きりの状態へとなった。


「………」


二人きりで歩くのは、本当に久しぶりだ。
まぁ実際には3年しか経っていないのだが…。


「ねぇ、アンク…」

「なんだ」






「そろそろ…教えてくれないかな?」

「…何を?」

「…3年前の…言葉の意味」



「………」









アンクは歩きながら無言になった。
フェイトはアンクの顔を見続けながら隣りに歩いていた。
…どうやらどうしても聞きたいらしく、一歩も引くつもりはないらしい。


「……もう、良いじゃねぇか…」

「…え?」


数十メートル歩いたところでアンクの口が開かれた。


「今のままで良いんだよ…、俺はそれで満足だ…」

「そう…か……でもね…」


その時、フェイトがアンクの前に立ち、その歩みを止めた。


「もしも…もしも無理しているんだったらね…










我慢しなくて良いと、思うんだ」









「我慢…」







我慢なんてしていない。
話したところでどうなる?
お前は改変された13年前のことなんて知らないだろう。

だいたい、俺はこの生活で満足しているんだ。
もう、…辛いのは、嫌なんだ。




「…お前には、俺が何か我慢しているように見えるのか?」

「…うん、見える。…何か、きっとあるんでしょ?」





全く…
こいつには絶対、予知の才能がある。

いつもこいつには感づかれるんだよな…。
そう、いつも…だ…。



「あったとしてもだ…。おそらく、永遠に俺の口からはその事に関しては言わないだろうなぁ…」

「うん…なら、良いんだ…、けど!」


その瞬間、フェイトはアンクの右手を握った。
突然のことで、アンクは少々驚いてしまった。


「私は、アンクが自分からその事を言ってくれる関係になるまで、諦めるつもりはないからね!」

「っ!…ふん…」


相変わらず、駄々っ子なやつだな…。


「勝手にしろ…ふんっ!…」

「うん!…きゃっ!!」


その時、フェイトは木の根っこにつまづいてしまい、その場に倒れてしまった。
だがアンクと手をつないでいたため、派手に転ぶことだけは阻止することができた。


「お、おい…大丈夫か?」

「うん…ごめんね、アン…痛っ…」


フェイトが足の首を押さえながら、悲痛な表情を浮かべていた。
どうやら、足をひねってしまったらしい。


「おいおい、それでも執務官かよ…」

「ははっ…ごめんね、でもだいじょう…っ!!…う…」

「はぁ、しかたねぇな…」


アンクは自分の背中に無理やりフェイトを乗せた。
フェイトは突然のアンクの行動に驚き、顔を真っ赤にした。


「ちょ、ちょっと待って!恥ずかしいよ…」

「誰もいないから大丈夫だ、車にシップとか積んでただろ?それまで我慢しろ」

「う、うん…」



そのまま、アンクはフェイトを背負いながら車へと歩き始めた。
このような状態なので、お互い無言の時間が続いていた…。








「アンク、ごめんね?」

「ふんっ…気にするな…」

「もう、素直じゃないんだから……」





でも、なんでだろうか?

すごく、懐かしい…。





「ねぇアンク…」

「なんだ」

「私ってさ……」













「昔、アンクにこうやって貰ったことってあったっけ?」












一瞬、アンクの足取りが止まった。
だが、すぐに再び歩き始めた。


「…気のせいじゃないか?」

「そ…そうだよね…うん……」








一瞬、胸が高鳴った。
…いや、ありえる訳がない。

こいつらの記憶は「歴史の修正力」によって修正されている。

いや、記憶とかそんな生易しいレベルのことじゃない。

ありえないんだ…。











「…でも、昔…まだ私が子供だったころ、…アンクみたいな人の背中に乗ったことがあるんだ…そんな気がする」

「…そうかぁ…」











でも、覚えているんだ。
私は、以前もこんな経験をした覚えがある。

…記憶事態は無いけれど…。



あの背中は、本当にアンクの背中の温もりとそっくりだった。
根拠はないけど、その温もりは全ての不安を抜き取ってくれる…安心できる温もり。



そう、…あれは、確か……冬?




海鳴で……雪が降っていて……
























−俺はお前のこと…絶対忘れねぇ…−



















誰?


私を抱きしめて、そう言ってくれた。
駄目だ…顔が思い出せない。











「どうした?」

「う…うぅん…なんでもないよ!」

「そうかぁ……。あ…あとなぁ…」

「え…なにかな?」

「その…あまり強く俺に寄り添わないでくれるか?…胸が当たる…」

「…っ!…アンクのえっち…」

「……ふんっ……お…」


アンクは何かを発見し、道から外れ、森の中へとさらに入って行った。
フェイトは一瞬戸惑ったが、その不安もすぐに消え去った。

目の前には、綺麗な川が流れていた。