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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第12部 中編

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インターミドルのとある試合でミウラは負けてしまった。
はやて は彼女を慰めてあげようとしたが、特にその必要はなかったらしい。


「ふふっ!ミウラは強い子やなぁ!」

「い、いいえ!はやてさんほど強くなんてないですよっ!」

「えっと…私がか?」


そんなことないんよ…。
私は別に…強くなんて…。









………


「もう秋なんですねぇ~」

「なんだリィン、発言が老人くせぇぞ!!」

「な、なんですかアギト!どういう意味ですかぁ!!」

「こらこら二人とも!喧嘩するんやったら今日のおやつ抜きやでぇ~!!」

「「っ!!!」」









−ほらほらっ!二人とも仲直りの握手!−





「ほら、映司君の言うとおりや!二人とも、わかったかぁ?」




「え…はやてちゃん?」

「映司……?」


「あ…え……いや、なんでもないわ…はは…」




なんや…。
全く、近頃の私、なんかおかしいわ…。









………


「む、雪が降ってきたな」

「え?本当だ!!ザフィーラ、マフラー!!」

「落ち着けヴィータ、まだ降り積もるとは決まった訳ではないだろう」





「雪…」





はやて は家の窓から手を伸ばし、空から降り注ぐ雪の結晶を受け止めた。
しかし、体温によって結晶はすぐに解けてしまった。


「もう、一年の終わりか…」


今年も、彼は自分たちの元へ帰ってこなかった。
再び、また新しい春がやってくるのだろう。


「ははっ…今年も帰ってこなかったなぁ…」

「…あ、あの…主はやて…」

「ん?どないした、シグナム…」


シグナムは完全に弱りきっていた はやて に戸惑いながら話しかけた。
はやて はこの一年で、少しずつだが元気が無くなっていった。

今では、昔のようにあの暖かい笑顔はもう見ることができなかった。


「もう、無理はしないでください…」

「…無理?私は無理なんてしてへんよ…」


はやて はシグナムに笑顔で答えた。
だが、彼女の目には光はなく、それを見たシグナムは変わり果てた自分の主の姿に心が痛かった。


「えい…いえ、火野はもう…私達の元には、帰ってこないんです!!だから…もう…


火野の事は…その…諦めてください…」








「シグナム…」

「…はい?」

「映司君が帰ってこないわけないやんか…」

「っ!!」

「絶対帰ってくる…私はずっと待つ…」

「…いい加減にしてください!!!!」


シグナムはついに身を乗り出し、はやて の肩を何度も揺さぶった!!
突然の行動に、ヴィータ達は驚いていた。
だが、当の本人は全く動揺せず、ただ、遠くを見つめていた。


「主はやて!!いい加減気づいてください!!火野はもう3年前に消滅してしまったんです!!!!もう火野はこの世界に存在しないんです!!!!もう…ぅ…ここには帰ってこないんですよ!!!!」








「…あ…あぁ……」


はやて は遠くを見つめたまま、夜天の書を持ち、その場からゆっくりと歩きながら玄関へ向かった。


「っ!はやてちゃん!!どこに行くの!!?」

「ちょっと…散歩してくるわぁ…」

「っ!!!!主はやて!!!!」

「大丈夫や…シグナム…夕食には帰ってくるからな…」


そのまま はやて は靴を履いて、家から出ていってしまった。










はやて は雪が降る中、歩き慣れた海岸沿いを散歩していた。
日が沈む時間が短くなったためか、まだ4時だというのにもう夕日が昇っていた。


「映司くん…映司…くん……」



シグナム…忘れたんか?
私達は、…見えない手で繋がっているんよ…。

きっと映司君は帰ってくる…。
そうや…帰ってく……。

あれ?
映司君の顔って…どんなんやったっけ?

特徴が…あまり記憶にないなぁ…。


「映司君…あれ?…なんで私は…映司君を待っているんや?…待つ必要って…あるんか?」




そうや…。
リィンフォースだって、結局自分達の元には帰ってくることはなかったんや。
映司君だって、きっと同じや。

現に記憶だって、もう薄々と消えてきている。
あの起動六課で映司くんと共に過ごした時間だって、今じゃほとんど思い出せない。

人の記憶なんてそんなもんや。
昔の事なんて…こうして忘れていく…。

繋がりなんて…消えていく…。









「…もう…えぇんかな…」


はやて は力が抜けたように、その場に膝を着いた。
その時、手に持っていた夜天の書がページを開きながら地面に落ちてしまった。
そんな はやてを気にすることなく、雪は降り続けている。


「あはは…ごめんな、リィンフォース…落としてしまった…」


はやて は弱々しく夜天の書を拾おうとした。
だが、その夜天の書が開かれたページに違和感を感じた。










「あれ…なんや、このページ…こんなページ…あったかなぁ…」