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AREA7『新型B.C.W.』

ジャイアン達4人は急いでロビーへ向かった。ロビーには大量の人の死体があった。
「・・・・・こんなに一杯の人が犠牲に・・・・・」
と、スネ夫が呟いた。
「さっさとナムオアダフモ機関へ行こうぜ。犠牲者をこれ以上増やす訳には行かないからな」
と、ジャイアンが言う。しかし、聖奈はこの状況を不審に思っていた。
(・・・・・でも、私達が病院に来た時はロビーには誰も居なかった筈。なら、この死体はゾンビになった人って事になるけど、ゾンビがこんな短時間で死ぬ事ってあるのかしら。)
と、聖奈が考えていると、ジャイアンが聖奈に話し掛けた。
「おい、聖奈さん！何やってんの。早く行こうぜ！」
そのジャイアンの言葉を聴いた聖奈は、慌ててジャイアン達に着いて行った。
そして、扉のすぐ傍に着くと、玲は扉を開けた。










しかし、扉は全く開かなかった。
「・・・・・・・おかしいわね。扉が開かないわ」
と、玲が言うと、ジャイアンが喋る。
「ちょっと俺に貸してみな」
ジャイアンのその言葉を聴いた玲は、ジャイアンに扉を開けさせた。




しかし、ジャイアンが扉を開こうとしても、扉は開かなかった。
不審に思った聖奈は後ろを振り返った。すると、後方には驚愕の光景が広がっていた。
「あ、あれは何！！」
と、聖奈が思わず叫んだ。すると全員は後ろを振り返った。

なんと、後方の死体から植物が生えていたのだった。
「な、なにあれ！！」
と、スネ夫が叫んだ。
「また、新しいバケモンか！？」
と、ジャイアンが叫ぶ。
すると、死体に生えていた小さな植物が一気に成長した。そして、植物同士が結合し、巨大な樹木に成長した。
「も、もしかして木のB.C.W.？」
と、聖奈が驚いていると、突然向こうの樹木から蔦が伸びてきた。そして、その蔦はスネ夫達に正確に向かってきた。
「うわ、わ！！」
スネ夫は驚き、慌てて銃を構えようとするが、それより前にジャイアンがスネ夫の前に出た。そして、蔦を両手で掴み、引き千切った。
「来るなら来やがれ！全て叩き潰してやるぜ！！！」
と、ジャイアンが叫んだ。そうこうしている間にも何本もの蔦が伸びてくる。ジャイアンは次々とそれを掴み、引き千切っていく。一方、ジャイアンが掴み損ねた蔦は玲がナイフで捌いていく。ジャイアンと玲はその調子で蔦を迎撃していく。











最初は順調に蔦を処理出来ていたかの様に見えたが、何時まで経っても蔦の勢いが衰えないので、次第に疑問を感じていた。
「ちっ、キリがねぇ！」
と、ジャイアンが言う。すると、聖奈が呟く。
「もしかして、損傷している所をすぐに再生しているんじゃないかしら」
と、聖奈が言った。聖奈が言った通り、蔦は恐るべきスピードで、損傷した部位を瞬時に再生していた。
「あの再生力をどうにかしないと何時までも堂々巡りだわ！！」
と、玲が叫んだ。すると、スネ夫が何かを思い出したように叫ぶ。
「そうだ！確か植物は炎に弱い筈！ススキヶ原の地下坑道で聖奈さんにもらった火炎瓶が使えるかも！！！」
と、スネ夫が言うと、その事を思い出したジャイアンと聖奈は、ケブラーバッグから火炎瓶をそれぞれ2つずつ取り出した。
そして、樹木に向かって、一斉に火炎瓶を投げ付けた。6つの火炎瓶が直撃した樹木は一気に炎上した。
そのまま消し炭になるかと思われたが、予想に反して炎はすぐに消え去り、樹木は何事も無かったかのようにしていた。
「ほ、炎が効かない！？」
と、スネ夫が驚くと、玲が言う。
「・・・・・信じられないけれど、炎を揉み消した様に見えたわ」
と、玲が言うと、聖奈が呟く。
「T-ウィルスのB.C.W.ならこんな芸当が出来てもおかしくない・・・・のかな？」
と、呟いている隙にも蔦は伸びてくる。そして、伸びてきた蔦が聖奈を掴み、引き寄せてきた。
「聖奈さん！！」
と、スネ夫が叫ぶ。すると、玲が左腕を前に突き出した。すると、右手首にある器械から、何かのワイヤーが射出された。そしてそのワイヤーが聖奈に巻き付いた。すると、蔦の聖奈を引く勢いが止まった。
「取り敢えずはいいけど、ここままじゃ危険だわ！」
と、玲が言う。そう言っている内にも、樹木から伸びてくる蔦は次々と聖奈を掴んでいく。すると、ジャイアンが玲の近くまで来て、ワイヤーを掴んだ。そして、
「俺様に貸せ！！」
と、叫ぶと、ワイヤーを思いっ切り引っ張った。すると蔦はジャイアンの力に耐え切れず、千切れた。そして、無事聖奈を引っ張り出す事に成功した。
「やったぜ！！」
と、ジャイアンは得意気に言う。
「でも、事態は一向に良くなっていないわ。あの植物の蔦の攻撃と、異常に高い再生能力をどうにかしないと！」
と、玲は言った。
「でももうどうしようもないじゃんか〜！！」
と、スネ夫が喚く。すると、玲がある提案をする。
「1つだけ手があるわ。さっき火炎瓶を投げた時、蔦の動きは止まったわ。となれば、焼夷手榴弾を投げて蔦の動きを止めた後、一斉に射撃して粉砕するしかないわ！」
と、玲が言うと、聖奈が言う。
「それしかないなら、やるしかないわね」
と、聖奈が言うと、玲が言う。
「すぐに射撃の用意をして！今すぐにも手榴弾を投げるわ！！」
と言うと玲は、焼夷手榴弾を取り出し、ピンを抜き、向こうの樹木に向かって投げた。
数秒すると、焼夷手榴弾は炎上し、蔦の動きは止まった。すると、聖奈とスネ夫は一斉に銃を連射した。玲の方はというと、バックパックから何かの部品を取り出し、それを組み立てていった。
数秒すると組み立てが終了し、巨大な設置型のガトリングランチャーになった。そして玲はそれを一気に撃ち放った。
シリンダー状に連なった6つの銃身が回転しながら、大口径の弾丸を次々と連射していく。次第に、向こうの樹木は欠けていき、やがて、バラバラになった。樹木が動かなくなったのを確認すると、玲はガトリングランチャーを分解して、バックパックにしまった。
「やったあ！！」
と、スネ夫が嬉しそうにする。しかし、玲は呟いた。
「今回はたまたま運が良かっただけね」
と、玲が言うと、聖奈は、
「え？」
と、疑問の声を漏らした。すると、玲が応える。
「・・・・・・あの樹木の大きさに比べて、養分となる死体の数が圧倒的に少なかった。だから、充分に再生能力が発揮されず、あの程度の攻撃でも粉砕できた」
と、玲が言うと、スネ夫が言う。
「じゃあその事を知ってて、あの作戦を考えたんだ」
すると玲が応える。
「・・・・結構危ない賭けだったけれどね。まぁ、結果オーライってやつね」
と、玲が言うと、玲は後ろを振り返って言った。
「・・・あとは、このドアをどうするかね」
と、玲が言うと、ジャイアンが喋る。
「俺様に任されよ！こんなドア如き抉じ開けてやるぜ！！」
と言うとジャイアンは、腕捲りをしてドアに手を掛けた。そして、思いっ切り横方向に引くと、ドアは割と簡単に開いた。
そして、4人は徐(おもむろ)に病院から出た。全員出ると、玲が3人に話し掛けた。
「まずは、この近くに停めてある私の車まで行こう」
と、玲が言うと、スネ夫が陽気に言う。
「やっと光明が見えてきたんじゃない？」
と、スネ夫が言うと、ジャイアンも言う。