のび太のBIOHAZARD『ENDLESS FEAR』
と言った。そして燐は、バリケード代わりにしていたデスクを退(ど)かした。そのデスクは、多数の弾丸が命中しており、ボロボロだった。燐がバリケードを退かしている間、のび太は本棚の方を調べていた。
「のび太さん?何やってるんですか?」
聖奈がそう尋ねると、のび太は応える。
「本棚の奥が怪しいから、ちょっと調べてるんだ」
のび太はそう応えながら、本棚の奥を調べていった。
やがて、黒い"何か"を発見したのび太は、本棚の欠片(かけら)を退かした。すると、壁に埋め込まれた黒い金庫が姿を現した。
「よ、よく気づきましたね」
聖奈が驚いてそう言うと、のび太が言う。
「僕等の学校の図書室の書庫にもこれと同じ様な物があったからね。まぁ、書庫の方は、本棚がレールで横に動く物だったけれどね」
のび太はそう言うと、その金庫が開くかどうかを確認した。その金庫は、勿論、錠が掛かっていて、開かなかった。その金庫は、ダイヤル式の錠ではなく、ピンタンブラー錠を開錠する為の鍵と同じ様な形状の鍵を差し込んで回す事で開錠するものだった。すると、のび太は聖奈に話し掛ける。
「聖奈さん。さっきの鍵を貸してください。あの鍵で、この金庫が開くかもしれません」
のび太のその言葉を聴いた聖奈は、懐からさっきの鍵を取り出し、のび太に渡した。のび太は、鍵穴に鍵を差し込み、回した。鍵はすんなりと回り、開錠された音がした。のび太は鍵を抜くと、金庫の扉を開けた。金庫の中には、一つのCDケースと何かの資料があった。のび太はまず、CDケースの方を調べた。CDケースは、何の変哲もないケースだった。のび太はCDケースを開いて中のCDを見た。中に入っていたCDはどうやら、記録された『CD-R』のようであり、表面には『N.A.C.B.C.W.性能データ』と書かれていた。のび太は次に、資料の方も見た。その資料は、数枚のA4用紙をステープラーで留めた物だった。その資料には、こう書かれていた。
『《制式配属『N.A.C.B.C.W.』総移行について》
この度、戦力コストの削減の為に、旧式の『N.A.C.B.C.W.』を全て廃棄処分する事が、会議によって決まった。この事は、会長のスネ吉や、参謀総長のドラえもんにも伝わっており、双方の正式な署名と判もある。以下に、処分する対象の『N.A.C.B.C.W.』のリストを挙げる。
・ケルベロス
・クロウ
・ブレインディモス
・キメラ
・ハンター
・バイオゲラス
・フローズヴィニルト
・ブラックタイガー
・タイラント
・ヴァイオレントプラント
・シェルプルーフ
これ等十一種の『N.A.C.B.C.W.』を焼却処理するが、『アドバンスドB.C.W.』開発の為、設計資料は残しておく事。
《制式配属『N.A.C.B.C.W.』について》
新たに制式採用された『N.A.C.B.C.W.』についてここに記す。以下のリストは制式配属された『N.A.C.B.C.W.』の名称である。
・ディソルブ
・スプリット
・ウェブフライヤー
・センシティブ
・ティンダー
・デストロイヤー
・ヴァイオレンス
・ヴィルレント
・グレートスパイダー
・クラーケン
これ等の『N.A.C.B.C.W.』の詳細な性能については、データディスクを参照する事。(但し、Lv2以上のライセンスを所持していない場合、全てを参照する事は出来ない。)
《被委託開発生物兵器について》
我々『ナムオアダフモ機関』は、同じく裏の世界で秘密裏に生物兵器を開発、販売している、『マイクロソフトシステムズ』と繋がりがあり、資金援助を受けている。今回、その『マイクロソフトシステムズ』から、『マイクロソフトシステムズ』が開発中の生物兵器のサンプルと設計資料が送られてきた。即ち、委託開発を任されたという事である。我々『ナムオアダフモ機関』は、『V(ヴァリアント)-ウィルス』を投与し、あらゆる実験を繰り返した。そして、改良に改良を重ね、実用段階まで進化した。以下にその『N.A.C.B.C.W.』のリストを挙げる。
・ウェブフライヤー
・ティンダー
・ヴィルレント
・クラーケン
』
のび太は、その資料を読み終えると、呟いた。
「・・・・・ナムオアダフモ機関の他にもこんな企業があったのか」
すると、横で資料を見ていた聖奈は喋る。
「『『N.A.C.B.C.W.』総移行』って事は、より強く実用性が高い生物兵器が生み出せたって事ね。でも、この、『V(ヴァリアント)-ウィルス』って何かしら?」
聖奈がそう言うと、のび太は、聖奈の言葉に応える様に言う。
「『ナムオアダフモ機関』が開発した、『T-ウィルス』に代わる新しいウィルスかもしれないな」
のび太がそう言うと、扉の傍にいた燐がのび太達に近づいてきて言う。
「のび太、これを見てみろ」
燐はそう言いながら、日記帳の様な物をのび太に差し出した。のび太はその日記帳の様な物をよく見た。その日記帳の様な物は、ハードカバーが付いたB5サイズのノートであり、表紙には、『地下研究施設管理人の手記』と書かれていた。のび太は徐にそのノートを開いた。そのノートの中にはこう書かれていた。
『2003年4月30日
今回、『マイクロソフトシステムズ』から『ナムオアダフモ機関』に、生物兵器が4体程送られてきた。どうやら委託開発用の生物兵器らしい。『マイクロソフトシステムズ』と『ナムオアダフモ機関』は互いに資金援助や隠蔽工作、特殊部隊の派遣等を行ってきた。基本的には、『マイクロソフトシステムズ』が『ナムオアダフモ機関』に資金援助を行い、『ナムオアダフモ機関』は『マイクロソフトシステムズ』に対し、特殊部隊の派遣や、事故が起きた際の隠蔽工作等をやってきた。その『マイクロソフトシステムズ』が、4体の生物兵器を委託開発用生物兵器として、『ナムオアダフモ機関』に差し出してきた本意は今だ解らない。表向きは資金援助の増加という事だが、噂によると、『マイクロソフトシステムズ』は、恐るべき生物兵器を開発したらしい。それは、伝説上の怪物を真似た生物兵器であり、対戦車ミサイルである、『TOW』が直撃しても、傷一つ付かなかったらしい。互いに深くは干渉しないのが契約である為、詳しくは解らないが、『マイクロソフトシステムズ』は、『ナムオアダフモ機関』の『N.A.C.B.C.W.』を上回る生物兵器を開発している事は間違いないと言えるだろう。
'03年6月8日
遂にこの『ナムオアダフモ機関』にも、光明が見えてきた。今まで、『アンブレラ』から『奪取』した『t-ウィルス』や『B.O.W.』、『マイクロソフトシステムズ』からの『委託開発生物兵器』をその儘使っていたが、『t-ウィルス』の欠点を解消し、改良した、新たなウィルスが完成した。このウィルスは、生物の能力を最大限に活かす性能を秘めており、『t-ウィルス』よりも遥かに凌駕した性能を持っている。現在は試作段階で、実用化はまだ遠いが、実験を繰り返し、改良を行えば、画期的なウィルスと成り得るだろう。そして、このウィルスは、我が『ナムオアダフモ機関』の目玉商品になるだろう。
'03年10月28日
作品名:のび太のBIOHAZARD『ENDLESS FEAR』 作家名:MONDOERA