のび太のBIOHAZARD『ENDLESS FEAR』
真理奈はそう言いながら、巌にスプレーの様な物を手渡した。そのスプレーは、形状は救急スプレーの様だったが、ラベルが貼られており、そのラベルには、『Invariable Medicine Version6.0』と書かれていた。
「『Invariable Medicine Version6.0』、………無変化薬剤って事か?」
巌がそう呟くと、真理奈が訊く。
「無変化薬剤?」
真理奈がそう言うと、巌が言う。
「『Invariable Medicine』を直訳で和訳すると、無変化薬剤って事だ。まぁだからどうしたっていわれればそこまでなんだが」
巌がそう言うと、真理奈が言う。
「でも、これはウィルスに関係ありそうね」
真理奈がそう言うと、巌も言う。
「そうだな。確信は出来ないが、ウィルスの方も、『V(ヴァリアント)-ウィルス』って名前なんだから、何かしらの関係はあるだろうな」
巌がそう言うと、巌は続けて喋る。
「この部屋にはもう何も無いみたいだな。入ってない扉が一つあるから、そこを調べるぞ」
巌がそう言うと、巌は一つの扉に近づいて行った。その扉は、『プレゼン資料室』に入って来た時に通ってきた扉と全く同じ形状をしていた。真理奈も扉の近くに移動すると、真理奈は喋る。
「この扉、場所的に、さっき開かなかった扉の奥の部屋に続いてそうだね」
真理奈がそう言うと、巌は言う。
「そうだな。気を引き締めて行こうぜ。お前は一歩後ろから入って来い」
巌がそう言うと、真理奈は肯定し、『スタームルガーP89』を腰の位置に構えた。そして、巌は、『ブローニングHP』を扉に向け、扉を思いっきり開いた。
部屋の中は何も物品が無く、がらんとしていた。ただ一つおかしい所は、先程開かなかった扉の所に、生物兵器の様なものが倒れ掛かっている事だけだった。巌は、その生物兵器の様なものに銃口を向け、警戒しながら近づいていった。
遂に、その生物兵器の様なものに手が届く位置まで接近してきたが、その生物兵器の様なものは、ピクリとも動かなかった。巌はその生物兵器の様なものを調べた。すると、それは、巨大なカマドウマの様な生物だった。更によく見てみると、その巨大なカマドウマの腹部にはショットガンを持った人間がうずくまっていた。
「………どうやら、この生物兵器をショットガンで倒そうとしたものの、相打ちになって両方とも死んだってところか」
巌はそう呟くと、後ろの真理奈に言う。
「どうやらこの部屋はこれだけしかないみたいだな。次の場所に向かおうぜ。…ただ、生物兵器と戦ったにしては、いやに部屋が綺麗なのが気になるけどな」
巌はそう言うと、疑問を残しながらもこの部屋を出た。真理奈も続いて部屋を出る。そして、『プレゼン資料室』を出た所で、奥の通路に二人の人影がいるのを発見した。それをよく見ると、のび太と織恵だった。
「のび太君!」
真理奈がそう叫ぶと、のび太と織恵は振り返った。そしてのび太は言う。
「巌さん! 真理奈ちゃん!」
のび太は思わずそう叫んだ。すると、織恵は言う。
「やっぱりあの通路は、左側の通路に繋がっていたのね」
織恵がそう言うと、巌が織恵に尋ねる。
「どういう経路で此処まで来たんだ?」
巌がそう訊くと、織恵は応える。
「右の通路を少し進むと、大会議室があって、そこの奥の扉を開けると、クランク型の通路があったの。そのクランク型の通路を進んだら、ばったり会ったって訳」
織恵がそう言うと巌は言う。
「そうか。なら、此処からは4人一組で探索を進めよう。どうやら、此処にも何かがいそうだからな」
巌がそう言うと、のび太が巌に尋ねる。
「何かがいそうって事は、巌さん達の方でも何か出たんですか?」
のび太がそう訊くと、巌は応える。
「もう死んでいた奴だが、新型の生物兵器らしい生物がいた。外見はカマドウマみたいだったが」
巌がそう言うと、巌は続けて言う。
「俺達の方でもって事は、のび太達の方では生物兵器がいたのか?」
巌がそう訊くと、のび太は応える。
「ええ、『FN MINIMI』を持ったゾンビが3体程、『大会議室』にいました」
のび太のその言葉を聴いた巌は言う。
「『FN MINIMI』っつーと軽機関銃か。それが3体となればきついな。やはり、4人で行動した方がいいな」
巌はそう言った。すると、真理奈は言う。
「それより、早く探索を再開しようよ」
真理奈がそう言うと、巌が言う。
「そうだな。此処で話をしても無駄だな。よし、行こうぜ」
巌がそう言うと、4人は、通路の奥へと向かった。少し進むと、またもや同じ様な扉があった。巌はその扉を開けようとしたが、扉は全く動かなかった。
「………開かないな。恐らく、向こう側から打ち付けられているんだ」
巌がそう言うと、のび太が言う。
「じゃあ、奥の扉に向かいましょう」
のび太がそう言うと、4人は、奥の扉に向かった。その扉のプレートには、『電圧供給室』と書かれていた。そして、巌は、その扉を慎重に開けた。部屋の中は丁度、左側に延びているL字型になっていて、奥の壁には、4つのレバーがあり、その壁の右端には、何かの張り紙があった。その張り紙にはこう書かれていた。
『このレバーは、この施設の電圧供給用レバーです。左から、第一エレベーター、第二エレベーター、第三エレベーター、下層棟全体の電圧と並んでいます。原則として所定の社員以外の操作は出来ませんので注意してください。また、レバーの不具合を発見した場合、『施設構築ハードウェア課』に連絡をお願いします。』
その張り紙をみた織恵は言う。
「どうやらこれは、電圧供給の為の部屋みたいね。しかも、この張り紙を見る限り、11階から上は、別の管制システムで制御しているようだわ」
織恵がそう言うと、巌が言う。
「そうだな。見た感じ、4つ全て電圧が供給されているようだが」
巌はそう言った。すると、のび太が、他の3人に話し掛けた。
「みんな! ここに扉があるみたいです」
のび太がそう言うと、他の3人も、のび太の所に行った。すると、電圧供給用レバーの並んでいる壁の中央の丁度向かい側の壁に、扉が一つあるのが確認できた。のび太はその扉をゆっくりと開けた。その部屋の中は、大量の長い棚があり、その棚には、大量の配線ケーブルや基盤、工具等があった。
「どうやら此処は、修理用の道具を置いておく為の場所みたいだな」
巌がそう言うと、織恵が言う。
「見た感じ、あまり使われた形跡は無いみたいね」
織恵がそう言うと、のび太が言う。
「修理した事があまり無いって事でしょうか?」
のび太がそう言うと、巌が言う。
「いや、定期点検とかでも、新しい配線や新しい基盤に変える事はある筈だ。恐らく、この様な部屋が他に幾つかあって、その部屋から修理道具を持ってきているから、この部屋の物はあまり使っていないんだろう」
巌がそう言うと、真理奈が言う。
「それって、他の場所にも修理道具用倉庫みたいなのがあって、その場所を使う方が、此処の場所を使うよりも都合がいいって事?」
真理奈がそう言うと、巌は応える。
作品名:のび太のBIOHAZARD『ENDLESS FEAR』 作家名:MONDOERA