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のび太のBIOHAZARD『ENDLESS FEAR』

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 玲がそう言うと、聖奈はグリーンハーブとレッドハーブとブルーハーブとイエローハーブをそれぞれ一本ずつ摘んだ。すると3人は倉庫から出た。そして、行っていない通路へと進んで行った。右に折れている曲がり角に差し掛かると、玲達の足下に死体があった。その死体をよく見てみると、首が無く、切断面を見てみると、鋭利な刃物で刈り取られた様な傷跡があった。それを見た聖奈は言う。
「これ、何かの生物兵器にやられたって事でしょうか?」
 聖奈がそう言うと、玲は言う。
「おそらくそうね。それにさっきのゾンビの事もあるし、気をつけて行きましょう」
 玲がそう言うと、3人はさっきと同じ様な警戒態勢で、通路を右に曲がった。通路はすぐに左に折れ曲がっていた。玲は、警戒しながら、その曲がり角を左に曲がった。すると、通路の奥の方に、『スプリット』がいた。
「あれは確か、スプリットっていう生物兵器ね。どうやらこちらにはまだ気づいていないようだわ。残しておくと厄介だわ。一気に決めましょう」
 玲はそう言うと、懐から『S&W M29』を取り出し、スプリットに照準を向けた。そして、一拍置いて発砲した。バレルから放たれた『.44マグナム弾』は右回りに回転しながら直進し、スプリットの頭部に命中した。
「KISHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
 スプリットは悲鳴を上げて倒れた。すると、玲が曲がり角の陰から出て、周囲を再び確認した。天井にも何もいない事を確認すると、通路の構成を確認した。玲が見ている通路は、約10m程延びており、そこで行き止まりだった。その行き止まりには扉があり、玲達のすぐ傍の左側の壁にも一つの扉があった。左側の扉には、『机上研究室』と書かれていた。玲達はまず、すぐ傍の左側の扉から調べる事にした。先程と同じ様に、扉の前にスタンバイし、一拍置いてから、扉を開けて部屋の中に入った。部屋の中は意外と広く、3m×10mぐらいの広さがあった。そして、両側の壁に沿って長テーブルが並んでおり、その長テーブルの上には、研究資料らしき紙が大量に置かれていた他、パソコンらしき端末機が全部で12台程あった。その部屋の床には大量のコードが張り巡らされており、そのコードは、長テーブルの上にある12台のパソコンと、部屋の一番奥にある、一際大きな汎用コンピュータに繋がっていた。玲達はまず、両側の壁側にある長テーブルの上を調べた。そのテーブルの上には、専門的な数式が書かれていた資料が散らばっていた。その資料は、相当な専門知識がなければ理解できない物だったが、その中の幾つかは、素人でも解る資料があった。聖奈はその資料の一つを手に取り、その文面を読んだ。それには、こう書かれていた。
『《ブラックハーブ及びホワイトハーブの効能について》
・ブラックハーブ
『4色ハーブ』を直接調合する事で生成出来るハーブ。そのままの人間が摂取しても何も変化は無いが、このハーブから抽出したエキスを細胞に吸収させる事で、その細胞に全能性を付与させる事が出来、ES細胞(胚性幹細胞)を簡単に作り出す事が可能。

・ホワイトハーブ
『四色ハーブ』の遺伝子を組み合わせて、精製した結果、生み出されたハーブ。毒性が強く、普通に摂取すると、全身に癌細胞が発生し、死に至る。しかし、稀に、適正因子を持つ者がおり、その者に摂取させると、どんな外傷も瞬時に再生する能力を得る。

『ブラックハーブ』と『ホワイトハーブ』には、上記のような効能があり、新たな兵器開発の元になるだろう。』
 それを見た聖奈は呟く。
「ES細胞?」
 聖奈がそう呟くと、玲が説明する。
「ES細胞ってのは、初期胚から採取された細胞であり、全能性を持った細胞の事よ。全能性って言うのは、どんな細胞にもなれる性質の事。初期胚の段階では、細胞に全能性があり、そこから肉体全ての細胞を造っていく。しかし、肉体が形作られると、細胞の全能性は失われる。だから腕の細胞は手の細胞を作れないし、どの細胞も内臓の細胞は作れないわ」
 玲がそう言うと、燐も言う。
「細胞が全能性を失うってのは、設計図の一部分の情報がなくなるって考えればいい。細胞には、その個体のすべての細胞の設計図があるが、一旦肉体が作られると、一部分以外の設計図の情報は失われる。だから、腕の皮膚の細胞は腕の皮膚しか作れないって訳だ」
 燐がそう言うと、聖奈が言う。
「解ったような解らないような……。……それなら、ブラックハーブは、どんな細胞でも作り出せる細胞を生み出せるって事ね」
 聖奈がそう言うと、玲が言う。
「現在の情報では、そう考えるしかないわね。もしかしたら、クローン技術の一環かもしれないけどね」
 玲がそう言うと、聖奈は、クローン技術について訊こうとしたが、話が長引くと思った聖奈は、敢えて訊かなかった。
 玲達は次に、部屋の一番奥にある汎用コンピュータを調べた。そのコンピュータのディスプレイも数式で埋め尽くされていたが、手元には、紙媒体の資料があり、それにはこう書いてあった。
『《ハーブの細胞変異性質について》
『ナムオアダフモ機関』と『PCIA』の共同開発で生み出した特殊なハーブは、生体の細胞を変化させる効能を持っているが、その程度の度合いは、種類によって全く異なる。初期型であり、全てのハーブの雛形となった『グリーンハーブ』は、損傷した部位の細胞を瞬間的に増殖させる効果がある。
『レッドハーブ』は、『グリーンハーブ』の効能を向上させる効果がある。
『ブルーハーブ』は、人体の肝臓の解毒能力を高める効果がある。
『イエローハーブ』は、心拍数を平常時より僅かに低下させ、赤血球内部にあるヘモグロビンの酸素結合効率を高め、肉体の持久力を高める事が出来る。
『ブラックハーブ』は、このハーブのエキスを細胞に吸収させる事で、その細胞に全能性を付与させる事が出来、ES細胞(胚性幹細胞)を簡単に作り出す事が可能。
『ホワイトハーブ』は、毒性が強く、普通に摂取すると、全身に癌細胞が発生し、死に至る。しかし、稀に、適正因子を持つ者がおり、その者に摂取させると、浅い外傷であれば、瞬時に再生する能力を得る。

各種類の効能を持つが、その全てに共通する事は、生体の細胞に何らかの影響を与えると言うことだ。即ち、正常な細胞に特殊な細胞を発生させる事も可能という事であり、この効能による新たな商品の開発が期待できる。』
 上の資料を見た玲は言う。
「これは、驚いたわね。あのハーブにこんな効果があったなんて思いもしなかったわ」
 玲がそう言うと、聖奈が言う。
「確かにそうですね。これ等のハーブは、世界的にもそれなりに知られてますしね」
 聖奈がそう言うと、燐が言う。
「全てを明かしてる訳じゃないって事だろ。何を企んでるかは解らないけどな」
 燐がそう言うと、玲は部屋を一通り見回した後、聖奈と燐に向かって言う。
「――もうこの部屋には新しい情報は無いみたいね。次の場所に移動しましょう」