二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

遠かったあなた。

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 






「………? どうしたの?」

先輩はすぐ横にたつ僕を不思議そうに見上げた。


「もうひとつ


もうひとつ、あるんです。」


その夢の中で、僕はあの遣隋使の小野妹子だった。

そして貴方は、あの人にそっくりな貴方は

「聖徳太子、だった」



沈黙が、またやって来た




ぽかんとした先輩の口角が、少しあがった。

「おもしろいな、小野君は。」

ぷっ、と吹き出した先輩。本当なのに。
あの変なおっさんが聖徳太子だなんて信じられないけど、確かに僕は彼を聖徳太子として認識していた。
そして彼は僕を妹子と呼んだ。僕はそれに答えた。

でも、おっさんが先輩に似ていると言ったのは、顔もそうだが、青いジャージを着ていたからだった。
浮いている、と目覚めてから思った。僕が勝手に先輩を当てはめているんだと思ったが、もしそうならわざわざ老けさせる意味が無い。
ありえない。
でも。だったら、どうして?
もしかして、もしかして。いやそんなはずは……



「小野君。」

「!」

ごちゃごちゃ考えていると、先輩が声をかけてきた。


「大丈夫? 何かあったのか?」

「え……」

顔に手をあてると、何か冷たいものに触れた。
汗?  いや、これは

「(泣いて・・・?)」

「つらいことがあったなら、無理しなくていいぞ。
部活、行くんだろ?  早くいかないと、終わっちゃうぞ ツナが大好き小野妹子。」

先輩はそう言ってイタズラっぽく笑った。
年上のくせに、幼く見えた。
ていうか別にツナ好きじゃないし。嫌いでもないけど。


でも、なんだこれ。

「……はい。さようなら、太子。」

この感覚。



暖かい春の風が、僕をせかすように吹いていった。


◆◆◆◆


「遅いぞ小野~!」

「ごめんごめん!ちょっと話し込んじゃってさぁ!」

「話?誰と?」

「副会長だよ」

「あの変人的に頭いい人か…。なに話してたんだ?」


「変人って……。

 ……あれ?」

「どうした?」

「いや…





                         なに、話してたんだっけ?」


なにか、大事なことを 思い出した気がしていた。

作品名:遠かったあなた。 作家名:大月