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PN悠祐希
PN悠祐希
novelistID. 37045
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魔法少女おりこ★マギカR

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 その瞬間、突然、辺りが光に包まれた。
「…!」
 それ程、強い光ではない。おそらく、建物内の電燈が灯っただけだ。
 それでも、暗闇に目を凝らしていた時に突然では、充分に眩しすぎた。

「ようこそ、ほむらさん」

 そう呼びかけられた。
「…!」
 ほむらは、驚きながらも、ようやく慣れてきた光に、目を凝らしながら、辺りを見回す…
 すると、玄関正面にある階段の、一階と二階の間の踊り場に、誰かがいるのが解った。それも…三人。まどかに似た少女に…織莉子と、その連れの少女だ。
 しかし、その格好…織莉子は真っ白なドレス、連れの少女は黒いジャケットに右目を覆う眼帯と、おそらく魔法少女スタイルに変身し、まどかに似た少女を隠すように立っていた。
 かつて、見たことのある…まどかの命を狙って襲ってきた、白い魔法少女…織莉子と、その連れの黒い魔法少女、その者だった。

「やはり…罠だったのね…」
 ほむらは、理由はともかく、そう判断すると、左手に弓を出現させた…
「おっと…物騒なマネは、やめた方がいいと思うよ」
 だが、すぐ背後から、そんな声が聞こえる。同時に、首筋に、刃のような物が当てられた。
「…っ!」
…もう一人いた?…
 そう思ったが、すぐに違うと判った。踊り場から、黒いジャケットと眼帯の少女がいなくなっている。彼女が、一瞬で移動し、ほむらの後ろをとったのだ。
…速いっ!…
 かつて、対した時、ほむらは、この黒い魔法少女とは、ほんのわずかな時間しか手を合わせていない。その、わずかな間ながらも、確かに、動きが速いと思った。
…だけど、ここまででは…
…あの時は、本調子ではなかったということ?…
 そう…あの時、この黒い魔法少女の身に起こったことを考えると、それが妥当な考えだろう。
 この黒い魔法少女…呉・キリカは、かつて戦った時、ほむらと対する前に行っていた、巴・マミとの戦闘で、致命傷に近い怪我を負っていた。キリカは、そんな状態であり、そもそもマミ一人にも勝てなかった自分は、ほむら達四人を相手に、魔法少女のままでは織莉子を守ることはできないと絶望することで、織莉子を守る為だけの魔女と化し、ほむら達を追い詰めた。
 ちなみに、魔法少女が魔女化するのを目の当たりにし、マミと杏子…特にマミが、激しく動揺し、絶望しかけたことは、言うまでもあるまい。

 なんにせよ、後ろをとられ、刃物を突き付けられている、そんな状態になってしまったら、それこそ時間停止の能力でもない限り、どうにもできない。
ほむらの頬を、冷たい汗が流れた。

「キリカ…あなたこそ、乱暴はおよしなさい。お客様に対して、失礼でしょ?」
 織莉子が、まるで子供をなだめるように言った。

「え〜…だって、こいつ、変身して乗り込んできた上に、いきなり弓なんか出してさ〜」
 ほむらの後ろで、キリカが、そう反論した。

「とにかく、その方には、お話したいことがあって、ここまで来て頂いたの。あなたは、この子と一緒に、お茶とお菓子の用意でもしてくれないかしら?」
 織莉子は、キリカの反論は聞き入れず、逆に、そう支持を出した。

「はいはい…わかりましたよ〜」
 キリカは、ダラダラとした歩みで、一度、踊り場に戻ると、変身をといた。その姿は、見滝原中学の女子の制服姿だった。隻眼でもなさそうだ。そして、織莉子にいわれたとおり、まどかに似た少女を促し、階段を下りて、屋敷の奥の方へ行ってしまった。
 その間、まどかに似た少女は、チラチラと、ほむらに視線を向けてきた。

「あ…」
 ほむらは、そんな彼女に対し、何か呼びかけてみようと思いながらも、結局、なにも声をかけられなかった。

「さて…」
 織莉子が、階段を降り、ほむらの前までやってきた。
「あなたが、ここに来たということは…お誘いに、気がついてくれたということで、良いのかしら?」
「ええ…それに、色々と訊きたいこともあるわ」
 ほむらが、そう答えた。
「だとしても、変身をしたうえで侵入なんかしようとしないで、普通にチャイムを鳴らして下されば良かったのに…罠か何かと思ったのかしら?」
 織莉子が、可笑しそうな笑みを浮かべながら、そう訊いてきた。
「そういう、あなただって、あんな誘い方して…しかも、魔法少女姿に変身して…私を魔法少女と知った上で、待ち構えていたのではなくて?」
 ほむらが、不機嫌そうな表情で、そう訊き返した。
「普通にお呼びしたとして、あなた、私達に、素直についてきてくれたのかしらね?」
「・・・・・・」
 おそらく、ついてくることはなかっただろう。頭で解っていても、それでも、彼女に対する不信感は、拭いきれていない。意図が判らない以上、なおさらだ。
 ゆえに、あのような形だったからこそ、逆に探りを入れてみようと思い、ここまで来たのだ。
「それに、私達が変身していたことに関しては、まったくの誤解だわ。あなたが変身してきたから、こちらも…と思っただけよ。心構えもなしに、いきなり襲われたりしたら、いくら魔法少女の身体が特殊でも、死んでしまうかもしれないじゃない?」
「・・・・・・」
 その答えに、ほむらも、何も返せなくなった。
「とにかく、お話ししたい事があって、ここまで来てもらったわ。あなたが、《あの子》を知っていることを、どうして私達が知っているか…ということも含めてね」
「…!」
「さあ、変身をといて、中にお上がりなさい」
 織莉子は、そう言って自分も変身をとき、白女の制服姿に戻ると、屋敷の中へ、ほむらを誘った。
 ほむらも、変身をとき、織莉子の後についていった。