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PN悠祐希
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魔法少女おりこ★マギカR

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■ 第3話 織莉子、回想1 ■



「私が開花させた能力は、未来予知だった…
 キュゥべぇと契約し、その魔法を解き放った時…私は、巨大な歯車の魔女が、この見滝原を破壊している光景を見たの。そして、その魔女に、たった一人で、戦いを挑んでいる魔法少女がいた。それは、あなたなのよね?」
織莉子は、ほむらを見つめながら、まず、そう訊いてきた。つまり、その記憶を、今の ほむらが、持っているか…と問いかけてきているのだ。
「…そうよ。あなたの予知で、結果がどう出ていたかはしらないけど、私は、その魔女…《ワルプルギスの夜》と戦ったわ」
 ほむらは、不機嫌そうな表情で、そう答えた。
 最後の時間軸だけではない…数々の敗北の歴史が、走馬灯のように頭を駆け巡った。苦い思い出だ。
 すると、織莉子は、フッと笑みを浮かべ…
「結果ねぇ…ワルプルギスの夜との戦いに、勝ち負けという概念は存在しないのだけれどね…なにしろ、生みだされる前に、存在が消えてしまったわけだから…今、この再編された世界においては…」
「・・・・・・」
「確かに、その予知をした私も…ワルプルギスの夜と、あなたが戦っている様子を見ていた時は、ハッキリと、こう思ったわ…『あの子は、アレには勝てない。私の力で、どうにかして、この未来を変えなければ』…って。それが、私の運命だともね…
 でもね、すぐに、その考えが間違っている…いいえ、意味をもたなくなることを知ったわ…
 あなたが、ワルプルギスの夜に勝てないと悟り、絶望しかけた、その時…一人の少女が現れ、魔法少女となり、この世界の概念を、書き換えてしまったのだから…」
 その少女が、何を想い、そう祈ったのかまでは解らなかった。だが…
「涙がとまらなかったわ…自分の身を世界に捧げてまで、全ての魔法少女の心を救うことになる、そんな彼女の想いの強さに、感動させられてしまったのね…
 同時に、私の心に、そんな彼女を、なんとしてでも、助けてあげたいっていう衝動がはしったの」
「助ける?…まどかを…あなたが?」
 ほむらは、思わず、そう訊き返してしまった。
 だが、織莉子は、ほむらの質問には応えず、自分の話しを続けた…
「もちろん、あなたに協力して、共に戦えば、ワルプルギスの夜を倒すことができたかもしれない。そうすれば、彼女が魔法少女になる必要はなくなり、普通の人としての生活をすごせたかもしれないわね…
 でも、彼女の祈りによって救われる人達がいる以上、その未来は変えてはいけないと思ったの…
 青臭い考えだと笑われてしまいそうだけど…私には、どちらかを選ぶことなんてできなかった。絶望して魔女と化してしまった数多の魔法少女達も、彼女も…みんな、救われて欲しかった…」
「・・・・・・」
 全てを救いたいなんて、傲慢もいいところ…ほむらは、そう言いたいところを、グッとこらえた。
 何度も繰り返す時間の中で…多くを救おうとした結果、個々に対する意識が希薄になり、誰も救うことが出来なかったことなど、いくらでもあった。だから、まどかだけを救おうと考えるようになっていった。はじめから、他の全てがどうなろうと知ったことではないなどと、考えていたわけではない。
 ゆえに、たいした経験もない輩にありがちな理想論が、本当に嫌いだった。
 織莉子の告白は、そんな ほむらの神経を逆なでするには、充分すぎた。
判っていながら、ワルプルギスの夜との戦いに手を貸してくれなかったことが、本当に許せないと感じた。
 そう…織莉子は、『選ぶことなどできない』などと偉そうなことを言っておきながら、他の数多の魔法少女の救いの為に、結果として、まどか一人を犠牲にするという選択をした。だからこそ、この再編された世界がある。
 ほむらは、そう考え、織莉子をキッと睨みつけた。
「・・・・・・」
 織莉子も、自分の言葉が、ほむらの神経を逆なでしていると察してか、一度、言葉を止めた。
 一触即発…そんな空気が、二人の間に流れた。
沈黙と緊張…まるで永遠とも思える一瞬がすぎ、先に口を開いたのは…ほむらだった…
「…とりあえず、話しは、最後まで聞かせてもらうわ」
 こうして面と向かってしまえば、もはや予知など、役には立たない。以前の時間軸と同じであれば、織莉子自身の戦闘力は、さほど高くはない。戦闘に予知を活かせるのは、キリカの速さがあってこそだ。
 だから、織莉子を殺そうと思えば、この状態からなら、いつでも殺せる。
 だが、まだ本当に知りたい謎が残っている…それが、理性を保たせていた。それを聞くまでは、生かしておかなければならない。もしも、全てを聞いて、納得できる答えが得られないようであれば、その時は…
「…解ったわ。続けましょう…」
 織莉子も、そんな ほむらの心境を察したようで、再び、話しをはじめた…
「あなたの機嫌を損ねさせてしまっているついでに、もう一つ言っておくけど…私は、世界の再編を予知したことにより、結果として、魔法少女の真実、インキュベーターの企みを知ったわ…
そして、こうも思ったの…『これから魔女化してしまう子達、魔女との戦いで命を落としてしまうかもしれない子達も、助けてあげられないかな』…ってね…
 再編された後の世界まで予知できていたわけではないのだけれど…でも、新しい世界なら、私達とインキュベーターとの関わりも、魔法少女のありようも、再編前の世界よりはマシになっているはずだと思ったの。だって、そうでしょ?…彼女の祈りが作り出す新たな世界が、魔法少女にとって酷い世界であるはずがないじゃない?…
 もちろん、全ては不可能だとしても、せめて、私の手の届く範囲の子達は、なんとか助けてあげて、新しい世界で生きて欲しいと考えた」
「…契約直後の、なんの経験もない状態で、ちょっと未来が見えるからって、随分と尊大な思いを抱いたものね。で、その為に、あなたは、何をしたのかしら?」
 ほむらが、そう口を挟んだ。どうせ、考えただけで、実現はできなかったのでは?…という嫌みを含んでいた。
「巴・マミ…それと、佐倉・杏子…」
 織莉子が、唐突に、その二人の名を口にした。
「…ふ、二人が…どうしたっていうの?」
 表情や声は、なんとか冷静さを保たせていたが、ほむらは、あきらかに動揺していた。織莉子が、その二人の名を出した理由が、直感的に解ってしまったからだ。
 織莉子は、ほむらの質問に応える…
「再編前の世界で命を落としてしまったはずの二人が、どうして、この世界に生き返ったのかしらね?…
彼女の祈りには、人の生き死にまでは、含まれていなかった…過去や未来の事象に干渉することはできても、時間そのものを、進めたり戻したりする、というモノでもない…それは、彼女の祈りの場にいた、あなたが一番よく解っていることよね?…
つまり…彼女の祈りのままに世界が再編されたならば、死んでしまった人までよみがえらせるというのは、願いの範疇に含まれていないはず」
「…まさか…あなたが?…でも、どうやって?」
「ソウルジェム…それさえ無事なら、魔法少女は死ぬことはない…あなたも、よくご存知でしょう?」
「…なっ!…ということは…杏子が言っていた、よその町で起こっていた魔法少女狩りも…もしかして…」